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第四章 59話 想いの告白

「レイ……ミュールのこと……どう思う?」


「えっ……? ミュール? どうって……」


 やっぱり、はっきり言うべきか……。


 「レイはミュールのこと好きなの?」


 ちょっと言いあぐねていると、ティアナがすかさず助け船を出してくれた。


「好き……?」


「ミュールのこと女性として好き?」


 いきなり言われたことにやや呆然としていたレイだけど、言葉の意味が飲み込めてくると途端に赤い顔になる。


「なななななな! なんだよいきなり聞いてきて!?」


 レイは照れ隠しで手をバタバタさせてくるけれど、ここでは単に恋話をしたいわけじゃない。


「レイ、僕たち三人はこれから連合国に行くわけだけど、鍛錬場が世界中にある以上、多分その次はまた別の国、そしてその次も別の国に行くだろう」


 僕の真面目な顔に緊張したのか、レイがゴクリとツバを飲む。


「そうなるとここに戻ってくるまでにかなりの時間がかかるわけだし、最悪の場合、二度とここに帰れない場合も考えられる」


「……」


「つまり、レイとミュールが永遠に離ればなれになることだってある。僕たちは遊びに行くんじゃ無いんだからね」


 レイの顔がどんどんうつむき、暗くなってくる。


「君たちが少なからずお互いに好意を持っているってことには気づいていたよ」


「師匠……」


「だから……出発する前に君に言っておきたいんだ。このままでいいのか……それともちゃんと気持ちを伝えるのか」


 残酷かもしれないし、余計なお世話かもしれない。

 けれど、お互いすれ違ったままでティアナと離ればなれになったときのあの辛さは、他の誰にも味わってほしくない。


「ミュールに思いを伝えても、絶対に帰れるって保証はないけれど、少なくとも君が帰ろうって強く思えるキッカケにはなるはずだよ」


 レイはその後しばらくうつむいたまま、じっと口をギュッと結んでいたけれど、ようやく決心したようで顔を上げ、僕をジッと見据えた。


「師匠……いってくる」


 レイの顔はしっかり大人の顔だった。


「よし、行ってこい」


「頑張ってね、レイ」


 僕たち二人の後押しを受け、レイは部屋を出てミュールの所へと向かう。


「僕たちも……行こっか」


「うん……」


 背中を押した手前、結果が気にならないわけがない。

 ゆっくりと後ろをついていき、レイが部屋へ入ったのを確認してから、僕たち二人は扉の隙間からチラリと中をのぞき見る。


「ミュッ……ミュール!」


「……なに?」


 はっきりとは見づらいが、ここからでも二人の横顔はどうにか確認出来る。

 緊張しているのか、顔が強ばっているレイと伏し目がちなミュール。


「あのさ……えっと……そのお……」


「なんなの……? レイ」


「ミュールって……僕のこと……どう思う?」


「――っ! いきなりなんなのよ」


 素っ気ない言葉とは裏腹に、意表を突かれたのか顔に驚きが混じっている。


「えっと……僕……ミュールのこと……」


「待って!」


「えっ?」


 今まさに言おうとしていたレイを、ミュールが手で制す。


「レイ……もしかして、ムミョウお兄ちゃんとかティアナさんに何か言われた?」


「え!? 何でそれを!?」


 言わなきゃいいのに、レイがあっさりと僕たちの入れ知恵であることをバラしてしまった……。


「はぁ……そんなことだろうと思った……でなきゃレイがワザワザこんなこと言いに来るはずがないわよね……」


 わざとらしくため息をつくミュール。


「ムミョウお兄ちゃん! ティアナさん! そこにいるんでしょ? 入ってきて下さい」


 僕たちのいる扉の方を見ながらミュールが叫ぶ。


「バレちゃったか……」


「ごめんね……ミュールちゃん」


 僕たちはばつが悪そうにしながら部屋へと入る。


「こういうことに疎いはずのレイがいきなり来るんですもん……誰だって分かりますよ」


 あきれ顔で僕たち三人を見るミュール。


「余計なお世話かもしれないってのは分かっている。でもね、僕たちはここを出たら長い間帰っては来れない。その前にどうしても二人に思いを打ち明けて欲しかったんだ。それは分かって欲しい」


「分かってます……それは分かってますが……」


 僕の言葉に今度は泣きそうな顔になるミュール、それを見てティアナがそっとレイの背中を押す。


「ミュッ……ミュール!」


「レイ……」


 見つめ合う二人。


「その……こんな時でごめんだけど……僕……君のことが好きだ。ずっと前から好きだった」


「私も……」


「これから長い間会えなくなっちゃうけれど……絶対……絶対戻ってくるから! だからここで待ってて欲しいんだ!」


「……うん……うん――! 分かった! ずっと待ってるから! 絶対に帰ってきてね!」


 二人は思いを打ち明け、僕たちの目の前で抱き合った。

 その光景に僕はうなずき、横にいたティアナを見ると目にうっすらと涙が見えていた。


 これでどうにかレイも心置きなく出発出来そうだな……。 

 しばらく抱き合ったままの二人を部屋に残し、僕とティアナは静かに部屋を出ることにした。

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