表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

講義①「それぞれのシナリオが生み出す感情は差別化する」ことを心掛けよ

 補足ぅ補足ぅ~補足だよ~。


 作品の制作作業に苦戦中。

 気分転換がてらに書いてみました。





 結局どうすればユーザーに「おもしろいキャラクター」「独特な世界観」などのように「すばらしい」と絶賛してくれるのだろうか。


 この講義①ではその創作論を述べたいと思います。

 内容としては以下の順で論じていこうと思います。


「シナリオが生み出すおもしろさの注意点」

「設定作成の際に、設定をどう差別化するべきか」

「キャラクターや世界観のシナリオとの相性について」


 では、講義①を始めましょう。




 それでは「シナリオが生み出すおもしろさの注意点」から。


 本編で説明しましたが、シナリオやストーリーは「感情」を生み出し、ユーザーを楽しませます。その「感情の品質」を決定するのが「キャラクター」「世界観」です。もっと言えばそれら二つが持つ「設定」が「感情の品質を決定する」と言っても過言ではありません。


 原則としてこの「設定」が深く、広く、詳しく、細かく、ユーザーに理解されているほど、そのキャラクターや世界観がストーリーやシナリオが面白いと言えるものになります。


 しかし、単純にこの原則を守れば面白いシナリオになるというのはありえません。


 なぜならユーザーは人間だからです。人間は「飽きる」「慣れる」「覚える」などの感情を抱いてしまう生物です。


 食べ物で例えるなら1週間、好きな物を食べ続ける生活を思い描いてください。大概の人は飽きます。ごく一部の人がさらに1週間、1ヶ月は楽しめるといった感じでしょう。このように飽きないように我々は違う食べ物を食べるのです。


 これは「シナリオのおもしろさ=感情」も同じです。


 ユーザーは「似通った感情を楽しみ続けていくといつか飽きてしまう」のです。創作者はユーザーがそうならないように配慮しなければなりません。


 その配慮とはつまり「生み出される感情の質を差別化する」ことです。


 代表的な方法として「キャラクターや世界観の設定を明確に差別化する」があります。これで「発生する感情の品質を差別化する」ことを行ないましょう。


 例を出してみましょう。


 登場キャラクターは「勇者①=アベル」「勇者②=ラッハルト」「魔王」というキャラを使って比べてみましょう。

 まずは明らかにダメなパターンから。




【シナリオの内容】

第一章=勇者①が魔王に挑み、魔王にボコボコにされる話。

第二章=勇者②が魔王に挑み、魔王にボコボコにされる話。


【勇者①の設定】

名前はアベル。

魔王に故郷を襲撃され、幼馴染を目の前で殺される。

第一章の主人公。

【勇者②の設定】

名前はラッハルト。

魔王に故郷を襲撃され、父母妹を目の前で殺される。

第二章の主人公。

【魔王の設定】

魔王。第一章と第二章の悪役。

各地で悪逆非道を繰り返している。

強さは世界最強。


【世界観の設定】

テンプレファンタジー。




 というパターンです。ダメなパターンだというのがわかるでしょう。


 幼馴染が殺されていようが家族を殺されていようが「魔王に親しいものを殺された過去を持つ」という点が共通しすぎて似通っています。第一章も第二章もほぼ同じ設定の魔王に同じようにボコボコにされる点もよろしくありません。


 上記の例だと生み出される感情は「かわいそう」「これは悲しいバッドエンド」などの感情が存在するかと思われます。初見の第一章ならこの感情で問題はないでしょう。


 しかし第二章も「かわいそう」「これは悲しいバッドエンド」などと似通った、あるいは同じと言える感情しか発生しないことが問題になります。


 ユーザーの言葉で言うなら「その感情はさっき味わったから違うのが欲しい」「もうマンネリ展開かよ」「第二章は紛れもなくゴミ」といったものがあると思われます。


 このままの設定を煮詰めていっても感情が深いか浅いかだけの違いでしかないのです。「発生する感情の方向性の向きが同じ」とも言えますね。


 食べ物で言うなら、最初の1週間は普通の牛丼を食べて生活する。次の1週間はちょっとおいしい牛丼を食べて生活する。この程度の違いです。飽きが来るに決まっています。


 上記のパターンにならないように「設定を差別化する」ことで「シナリオやストーリーが生み出す感情を差別化する」ことをしましょう。

 では例として、上記よりはマシなパターンを出してみます。




【シナリオの内容】

第一章=勇者①が魔王に挑み、魔王にボコボコにされる話。

第二章=勇者②が魔王に挑み、魔王にボコボコにされる話。


【勇者①の設定】

名前はアベル。

魔王に故郷を襲撃され、幼馴染を目の前で殺される。

世界でも強者だが、魔王より明確に弱い。

第一章の主人公。

【勇者②の設定】

名前はラッハルト。

魔王に故郷を襲撃され、父母を目の前で殺される。妹は誘拐される。

世界最強の強さを誇る。

第二章の主人公。

【魔王の設定】

魔王。第一章と第二章の悪役。

各地で悪逆非道を繰り返している。

気まぐれで勇者②の妹を義理の娘にしている。

世界でもトップクラスの強さ。ただし勇者②より明確に弱い。


【世界観の設定】

テンプレファンタジー。




 これだけでもそれぞれの「勇者が魔王に挑み、魔王にボコボコにされる話」が生み出す感情の質を差別化されている、あるいは差別化しやすいことが想像できると思います。


 そして同じ「ボコボコにされる話」でも「純粋に戦ってボコボコにされる話」「人質を盾に不意打ちされボコボコにされる話」などのように「ストーリーやシナリオにもわずかな違いを出す」ことも意識すれば、よりはっきりと「感情の質を差別化する」ことに繋がります。




 次は「設定作成の際に、設定をどう差別化するべきか」について。つまり作成時のちょっと具体的な注意点を述べます。


 基本的には単純なことです。「キャラクターや世界観を構成する要素が重ならないように意識して作成する」ことを行なえば問題ありません。


 キャラクターなら「ツンデレ」「クールデレ」「ロリババア」「残酷な王様」といったように「一言で表現できる要素」だけでも設定を差別化できます。


 世界観は色々ありますが、場所がわかりやすいでしょうか。例えば戦闘シーンがあるストーリーを書く際、その場所が「障害物も何もない平野」「魔法が使えない空間」「魔王の戦闘能力が10倍になる城」なら似通ったストーリーであっても、それぞれ発生する感情を異なるものにすることができます。


 こういったように「ツンデレ」「障害物も何もない荒野」などのように「設定を構成する要素」をしっかり差別化しましょう。創作者はこれに注意し、感情を少しでも差別化できるような設定を考えるといいでしょう。


 また、設定を構成する「共通性のある要素」「類似した要素」も可能な限り差別化することを意識することが大切です。


 例えばキャラクター設定の「やさしさ」を例にしましょう。先ほどの「勇者アベル」「勇者ラッハルト」を使って、同じ「やさしい」を差別化してみます。




【ストーリー】

 勇者が魔物に襲われている王国の姫を助ける。


【勇者アベル】

やさしい。困っている人がいたら助ける。

それがどんなに困難な状況でも迷わない。

【勇者ラッハルト】

やさしい。困っている人がいたら助ける。

ただし、自己犠牲になりそうな場合などは自分の安全を優先する。




 といったように設定します。こうすれば似通ったストーリーである「勇者が魔物に襲われている王国の姫を助ける話」を制作しても「発生する感情が異なることでユーザーに飽きさせないようにする」ことができます。


 しかし同時に「設定が異なる」=「ストーリーの成立と不成立の条件も異なる」です。つまり「ストーリーの詳細を違うものにしなければならない」ことに繋がることもあります。ここにも注意しましょう。


 例えば「勇者アベル」なら「逃げている姫を見かけた直後に魔物に突撃する」シーンから始めたりすることなどが筆頭でしょうか。「勇者ラッハルト」なら「有利な状況を確信してから奇襲する」シーンが描かれたりするでしょう。


 これが逆なら違和感が出て来るかもしれません。設定の破綻や矛盾です。例えば「勇者ラッハルトが危険な状況でも突っ込む」なんて描写したら「なんでやねん」「作者は自分の書いたことも矛盾させるのか」という創作者への真っ当な批判が飛んできます。


 それから実際に設定を作る際、明確に文章化するということは難しいです。明確なイメージが頭の中にあれば文章化できますが、これがおぼろげで文章化などで設定を差別化することが難しい場合はどうすればよいか。


 その場合の方法として「数字を使って簡単に差別化しておく」などで対処するというものがあります。応急処置のようなイメージと考えてくれてもいいでしょう。

 これの例を出すと「悪い=1~5=良い」と5段階に分けるなどがあります。


 作成のイメージとしては「キャラクターAのやさしさ=4」「キャラクターBのやさしさ=2」などと設定する感じでしょうか。作業中にイメージが明確になっていけば具体的なことを文章化するなどを行なえばいいでしょう。


 


 次に「キャラクターや世界観のシナリオとの相性について」を論じます。

 言い換えると「キャラクターや世界観の設定を生かすシナリオを考えてみよう」を論じている内容です。


 まず「設定が生かされていないシナリオやストーリー」というのはなんでしょう?


 簡単ですね。「指定された設定があってもなくても代り映えのしないお話」というものが該当します。これを筆者はいちおう「ストーリーやシナリオとの相性が悪い」としています。


 具体的な例を上げるとこんな感じ。先ほどの勇者たちを使いますん。




【ストーリー】

勇者アベルと勇者ラッハルトが食べ物の好みで喧嘩をする話


【勇者アベル】

やさしい。困っている人がいたら助ける。

それがどんなに困難な状況でも迷わない。

【勇者ラッハルト】

やさしい。困っている人がいたら助ける。

ただし、自己犠牲になりそうな場合などは自分の安全を優先する。




 どうツッコめばいいのか自分でもさっぱりですが「間違いなくクソである」と断言できますね。設定の「やさしさ」がどう関係するというのだろうか。


 このストーリーと相性が良い設定は「食べ物関係の設定」が筆頭なのは間違いないです。このお話の地の文の描写で「アベルはやさしい。困っている人を放っておけない性分なのだ」と言われたところで「だからなんなんだよ(怒)」「いいから食い物関係の設定を説明しろよ!」という声が返ってくるでしょう。


 作品制作ではおもしろいものを作りたい、という創作者の欲求から自然と「相性の良い設定とシナリオを選ぶ」と思います。しかし細かいところで上記のようなことが起きていることもあります。そういったことには十分注意して制作を行ないましょう。


 そしてこのシナリオの相性ですが、綿密に考えて制作すると「似通った設定を利用して差別化された感情を発生させる」ことも可能だと筆者は考えています。


 ではまた「勇者アベル」「勇者ラッハルト」「魔王」を使って例を出してみましょう。設定はそれぞれこんな感じに調整します。




【勇者アベル】

やさしい。困っている人がいたら助ける。その人の状況がどんなに困難な状況でも迷わずに助けにいく。

勇者ラッハルトと親友。

魔王に故郷を襲撃され、幼馴染を目の前で殺される。魔王を憎む。

世界でも強者。しかし魔王より明確に弱い。


【勇者ラッハルト】

やさしい。困っている人がいたら助ける。ただし、自己犠牲になりそうな場合などは自分の安全を優先する。

勇者アベルと親友。

魔王に故郷を襲撃され、父母を目の前で殺される。妹は誘拐される。魔王を憎む。

妹には罪悪感の混じった愛情を抱く。生存を願っている。

世界でも強者。しかし魔王より明確に弱い。


【魔王】

各地で悪逆非道を繰り返している。

気まぐれでラッハルトの妹を義理の娘にしている。

世界最強の強さを誇る。

ただし「アベル+ラッハルト」で戦いを挑まれると敗北する。




 といったような設定です。「勇者アベル」「勇者ラッハルト」に共通点を多く持たせてみました。


 まずはこの設定で似通った感情が発生しがちなシナリオを考えてみます。例えば最初の方の説明で用いた「勇者アベルが魔王にボコボコにされるお話」「勇者ラッハルトが魔王にボコボコにされるお話」でしょうか。


 これらは一つの作品の中では一つで充分です。こういったものは片方を削除するほうがよい作品になるでしょう。あるいは片方を「3行で説明する」程度に短くしてみるのもいいでしょう。


 ではここで「勇者アベル」「勇者ラッハルト「魔王」」を使ったシナリオで「勇者が魔王にボコボコにされるお話たち」とは明確に違う感情を発生させるシナリオを制作したい、となった場合はどうすればよいのか。


 最初のほうで言ったようにそもそもの設定をもっと差別化する?

 でもキャラクターは変更したくない。


 なら、徹底的に違うお話を考えればいいじゃない。

 それだけです。


 これを行なうときのコツは「他のシナリオと発生する感情を似通らせない」ことはもちろん「共通していない設定の要素を生かしたシナリオを作る」「共通性がある設定をしっかり差別化しつつシナリオを作る」ことなどが重要だと思われます。


 上記の「勇者アベル」「勇者ラッハルト」が共通していない要素として「自分を優先する」「妹」などがあります。まずこれを生かせるシナリオを考えてみましょう。ついでに「魔王を憎む」はそのままですが、その設定をアベルとラッハルトで差別化しつつ考えてみます。


 というわけでネタを考えました。


 そのお話のネタは「魔王城で、勇者ラッハルトが妹を守るために、魔王がいる目の前で勇者アベルを裏切るお話」です。


 こうすると先ほどの「勇者アベルが魔王にボコボコにされるお話」「勇者ラッハルトが魔王にボコボコにされるお話」のどちらと比べても明確な感情の違いを出すことができると思います。


 そのためどちらと組み合わせた作品を作っても、問題の「それぞれ似たような感情だからおもしろくない」ことを防ぐことができるでしょう。


 以上のように「似通った設定のキャラクターや世界観」があるならば「それらにふさわしいストーリーやシナリオを考える」ことを意識し、ユーザーを飽きさせない配慮をしましょう。




 以上で講義は終わりです。


 いろいろと論じてなにがなにやら、と思われるかもしれないので言いたいことを簡単にまとめてみます。うまく論じている自信もないですからね。

 というわけでまとめです。



「似通った感情だけを発生させるシナリオしかない作品はNG」

「発生させる感情を差別化してユーザーを飽きさせないようにしよう」

「キャラクターや世界観の設定はしっかり差別化しよう」

「相性の良い設定とシナリオを考えて作品制作をしよう」

「似通った設定を使うなら感情を差別化できるシナリオを考えよう」



 以上です。

 よし、お疲れさまでした。




 ………と言おうと思ったのですが、最後におまけを作ってみました。


 上記の「魔王城で、勇者ラッハルトが妹を守るために、魔王がいる目の前で勇者アベルを裏切るお話」を簡単に作ってみました。

 会話文が中心で、地の文は簡略化したものにしています。


 もしよければ、これを「勇者アベルが魔王にボコボコにされるお話」「勇者ラッハルトが魔王にボコボコにされるお話」で発生するだろう感情を想像し、それと比べてみてください。


 筆者的にはこれを読んだことで、読者さんが「ここまで感情を差別化すればユーザーに飽きさせることはねえ」という基準を作る一助になっていれば幸いです。






【おまけ:魔王城で、勇者ラッハルトが妹を守るために、魔王がいる目の前で勇者アベルを裏切るお話】




 魔王城の玉座の間へ、勇者アベルと勇者ラッハルトが辿り着く。

 魔王が玉座に座って悠然と待ち構えている。


「とうとう追い詰めたぞ、魔王!」

「追い詰めた? おもしろいことを口にするではないか、勇者アベルよ。怯えた顔で我の前から逃げ去った弱虫の言葉とは思えんなあ」

「あれは一人だから負けたんだ! 今はラッハルトがいる! ここでお前を倒し、俺たちの復讐を、みんなの無念を、みんなの願いを、今日ここで! 俺たちが成し遂げる!」


 アベルが剣を構える。


「そう慌てるなアベル。我はおまえのために余興を用意したのだ」

「……余興?」

「そうだとも。さあ、後ろを振り返ってみろ」

「なにを──ッ!?」


 背後にいたラッハルトがアベルを襲う。

 斬りかかられたものの、それをなんとか避けるアベル。


「な、なにをするラッハルト!?」

「………………」

「あ、操られているのか……? 魔王! き、貴様──」

「さあラッハルトよ! 勇者アベルを討ち、その忠誠を示してみよ! しかと見届けたのち、貴様の妹に会わせよう! 妹の名は我が娘の口から聞くがよい!」


 ラッハルト、アベルに斬りかかる。

 ラッハルトの何度か攻撃を防ぐも、アベルは反撃ができない。彼の心情を考えてしまい、アベルは親友に手をかけることがどうしてもできない。

 徐々に傷を負っていくアベル。


「人質か! 妹さんなのか!? 本当に!?」

「証拠を見せられたのだ! アベル、ここで死んでもらう!」

「バカ野郎! 騙されるな! 両親の仇を討つんだろうが! ここでやつを倒さなきゃ、なんのためにみんなを犠牲にしてここへ来た!」

「俺は貴様のような善人ではない! 誇りと平和を取り戻すために必要な勇気など、持ち合わせていない!」

「勇気がなきゃ一人で多くの魔物と戦えるわけねえだろがッ! 目を覚ませ!」

「あのとき妹を助けられなかった! その償いだった! 人助けも! 勇者の役目も! だが今なら! 今なら妹を助けることができる!」


 ラッハルトが必殺の構えを整える。

 アベルが危機を察知して距離を取ろうとする。


「──〈竜鳴剣〉!」

「ぐあああ!?」


 アベルが左腕を切り落とされ、剣を落とす。

 アベルが逃亡を図る。目くらましのために炎魔法で視界を遮る。


「今一度──〈竜鳴剣〉!」

「うぐ──」


 アベル、ラッハルトの必殺技で胴体を切断され、致命傷を負う。

 出血で意識が朦朧としているものの、アベルはラッハルトを見上げる。


「──ッハル──ト……」

「…………」

「騙──る──カハ──」


 アベルが絶命する。

 ラッハルトは俯きつつ涙を堪える。

 魔王が魔法を使って二人の元へ移動してくる。合わせてラッハルトが膝をついて礼を取る。


「よくやったラッハルト。約束通り我が娘に会わせよう。存分に兄妹で語らうとよい。外の戦況が落ち着きしだい、機会を設けよう」

「……ありがとうございます」

「これで人類の強者は貴様だけだ。歴史に名を遺す偉人であり、最悪の罪人ともなった気分はどうかな? いや、よい。その心情は奴隷や家畜以下の存在となった人間を見てから、改めて尋ねようではないか」

「…………」

「やはり名誉よりも家族を取るというのは美しいものだ。それが軽蔑や怨念の込められた視線に耐えつつというのであれば、なおさらよ。誇りとせよ」


 魔王が背を向けラッハルトから離れていく。

 途中で歩みを止め、ラッハルトにまた声をかける。


「もっとも我が娘はその誇りを、侮蔑と罵倒の唾を吐きかけるであろうがな──フフ、ククク、フハハハハ!!」







 おまけはとある作家さんの影響を受けましたんじゃあ。バッドエンドしか書けないとか言っていたあの人のことです。

 ……これでわかる人いるんだろうか?


 ちなみにおまけの続きを書くなら「アベルを転生させる」「ラッハルトの心はもうボロボロよ! やめたげてよぉ!」がいいかなあと考えたりします。書きませんけどね。


 「このおまけを元に作品にしてやる」というのはご自由にどうぞ。

 私に許可はいりません。そして読みに行きますん。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ