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第三十話

作者 oga

「でも、私にだって……」


 ポチ子も、今まで王になるために、努力してきた。

トカゲと何度も何度も戦い、それでも、結果は実を結ばなかった。

気がつくと、ポチ子は刀を手にしていた。


「……!」


 先を越され、驚く主任と桜井。

何より、ポチ子自身が、驚いていた。


「ポチ子さん、何で……」


 ポチ子の体が大きく膨らむ。


「……何で私だけ、報われないんだろうな」


 ポチ子は、目に涙を溜めて、桜井の方を見た。


「桜井さん、本物の剣を手にしたら、躊躇わず私を斬ってくれ。 たの、む……」


 ポチ子は始めに会った時のような、竜の姿へと変化した。

しかし、その容姿は以前より禍々しく、全身が針に覆われ、まるで巨大なハリネズミの様だ。


「桜井、俺が奴を引きつける。 その隙に本物の剣を探せ!」


 主任は叫ぶと同時に、ポケットから球を取り出し、投げつけた。

竜の目の前で爆発するも、ダメージはない。

腕で主任をなぎ払うと、今度は桜井に向けて突進した。


「くっ……」


 咄嗟に落ちていた楯を拾い、タックルを凌ぐ。

しかし、楯は弾かれ、桜井も吹き飛ぶ。


「ポチ子さん…… どんな人にだって、幸せになる権利はあります。 あなたのことは、絶対に助けますから」


 桜井の中に、初めて、戦う意思が生まれた。

その時。

竜の突進で生じた振動で、天井が崩れ落ちた。

瓦礫が頭上に落ちてくるも、幸運なことに、2人は生き埋めにならずにすんだ。


「……あれは!?」


 ひっくり返った棺の様なものの中に、骸骨と、刀。

刀は古ぼけていたが、桜井は直感した。

ダッシュでその刀に向かって走り出す。

竜の振り払った尻尾を屈みながらかわし、刀を拾い上げると、叫んだ。


「竜崎さん、あなたの立ち向かう勇気を、私に分けてくださいっ!」


 刀が、まばゆい光に包まれた。


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