俺は本気を……ダシタクナイ!
9。
゛…私、幽霊なんです!゛
顎を引き、両の拳をその顎に添え…相手を上目遣いに視認する…だと?!
…あ、あれは伝説のピーカブースタイル!?。
いや…超古代に失われた秘法゛ブリ。゛…なのか?
えと……幽霊?
………何この人…突然。
…全く…何、言ってるん…。
「!?」
透け、透けるんですけど?!
…透けてるんですけど、この人!?
それに…。
…近い!
近い近い!近い近い近い!!
貞○さんバリに、向かいのドアから這い出て…近付いて来るんですけど!
恐い、恐過ぎ!
゛す、すみません!…私、余り目が良くないもので。…つい…゛
………へ?
確かに、昔懐かし瓶底眼鏡を掛けていらっしゃるが…。
幽霊って…視力下がったまま為るもんなの?
ちなみに俺は、視力下がってないみたいだ…。
見え方に違和感は、ないな…うん。
…………まあ幽霊を自称する、多少イタめの女マジシャンが見えるようにはなったが…問題ない。
そう、全く問題ない。
゛問題あります! 大ありです!…確かに私、女魔術師ではありますが…゛
何が違うの?
゛あなたが仰ってるのは奇術師さんの事でしょう? 私は魔術…゛
あああああうあいあああああああああ!
゛な、何ですか…突然?!゛
聞きたくない聞きたくない聞きたくない!
゛は、話が進まないじゃないですか!゛
いや!進めないでいいから!
もう少しだけ、希望を下さい!
もう少しの間で良いから、異世界転生モノの可能性から逃避させて下さい!
お願いします!!
゛…まあ困るのはあなたですから…そこまで仰られるなら、もう言いませんけど…゛
ありがとう!
それで、君…。
゛あ、申し遅れました。私は…スターマと申します゛
あ…これはご丁寧に。
まあ…そつない挨拶の仕方から…。
いい所のお嬢様という存在゛だった゛のかな?
えと、それで…スターマさんは何でここに?
゛あ、はい。それが…この宿の上空を散歩してたら…゛
へぇー。
最近のマジシャンは空も飛べるんだー?
ふーん。
゛…………あの?゛
何?
゛…こういう自己欺瞞的な自虐行為って、見てるこちらが…居たたまれないのですが…゛
そうかイ。
だが俺ハ、大丈夫ダ。
マダ俺は、本気だしテないし。
出シたくなイし。
゛ほら!やっぱり何か言動がおかしいですよ…もう、止めて! 認めて楽になって…゛
お、俺は…本キ、ヲ出さナイ。
ダサナイ、ダサナイダサナイダシタクナイ。