心の迷宮に、ゴーストが1体現れた?
8。
俺は支配者だ…。
お昼過ぎにも拘わらず薄暗い、この空間の…。
…絶対的支配者!!
「…………………」
何たる全能感だ!
俺は、今、この瞬間に!
静寂なる…この暗黒空間を完全に支配しているのだ!!
「……………………………………」
……さ、さあー…来るがよい!
我が暗黒の僕共よー!!
「…………………………………………………」
ドムダムドム!!
いきなりドアが激音を発した!
ヒッ…。
『うっさいわよ?!』
ドアの向こうから威嚇音と、くぐもったローテの怒鳴り声が聞こえてきた…。
………び、びっくりした!
ポルターガイストかと思った…。
……………え?!
聞こえんの?!……ドア越しに!?
………ふむ。
どうやら俺の…心の声は意思とは関係なく無作為に伝播するのかな?
何とか…伝えたい時に伝わって、伝えたくない事は伝わらないように出来ぬものか…。
俺は別段、秘密主義な人間ではないが…。
心の声が全開というのは色んな意味で頂けない。
俺にも男の子の時間や、この世界に関する独考の時間が必要だからな。
第一………この先どうなるかは分からないが…。
口よりも手足が先に来るローテのような手合いと同行するなら…。
………何とかしないと、身が持たん。
あの調子じゃ、いつ『手が滑った』的なクソ詰まらん状況で殺害されても、可笑しくないからな…。
ある意味、喫緊の課題…最優先事項だ。
…………今も、ドアノブに逆さ吊りにされてるし。
………………………………………………はあ。
まあ、ローテ以外の人間との会話の機会が未だないから…結局のところ何とも言えんのだが。
何かこう…ご都合主義的な素敵スキルとか発動しないかなー。
それか『こうすれば、絶対出来るようになります(確約)』みたいな少年漫画チックな修行方法とか無いかなー?
「………………………………………………………………」
………………はあ、切ない。
゛ありますよ…。゛
あん?……………おわ?!
そいつは…。
スー…。
向い側のドアを音もなくすり抜け、俺の側に近寄って来る。
くう!…逆さマジシャンか?!
゛違います! 私は立派な…幽霊です!あと、逆様なのは、あなたです!゛
そいつはファイトスタイルを取って…。
……元気に自己紹介した。