これは…ツンデレではない。
4。
「…………………………………………!」
ふう、何とか生きていたか…。
「………………………」
唐突なのだか…。
俺は、念話能力者らしい(何か今、気付いた…)。
勿論、確定ではない。
単に、あのビキニ…金角女の方がテレパスで、思っている事を読まれてただけかも知れない…。
…はあ。
ちぇ!
とうとう俺もチート機能実装開始なのか?
転生チート無双ハーレム飯で勇者な異世界生活が始まるのか!
…と思っていたのになあ。
やはり俺には……特別な物語は用意されてないらしい。
………地道に行くか。
とりあえず現状は…。
あの女から一頻り…ノーガードで暴行を受けて(縛られてるしね…。)…。
それが終わったあと…事もあろうに…。
さも「良い仕事した♪」みたいな顔で、俺を更にキツく縛り直したのだった…。
「……………………」
ふむ…。
この状況は、かなり不味いように思えてならない…。
どこかの見世物小屋にでも、叩き売られるのではなかろうか?
まあ、そういう娯楽文化があるかさえ…今の俺には分からんが…。
そんな取り留めない事を考えていると…。
女は、徐に背負い袋から出したフード付き外套を羽織る。
そして、俺の方を見下ろして来る。
ん?
何だ、やっぱビキニアーマーって恥ずかしい…。
みたいな共通認識があるんじゃないか。
「…あ」
あ……て、何?
「…べ、別に。あんたに言われたから、マントを羽織った訳じゃ…ないんだからね!?」
…………………………………はい?
「ま…街が近いからなんだからね!」
……街?
へぇ…そう。
何故か赤面して、がなり立てた彼女は ふと…。
「あと……ローテだから、アタシの名前…」
「……?」
……自己紹介?
何で、このタイミングで?
そう一方的に宣言すると、また俺を土嚢みたいに担ぎ…山道を下って行く。
「…………♪……………♪……」
何故か、女…ローテ嬢はご機嫌な、ご様子です。
……こ、怖い。
ヒステリックというか、情緒不安定な女性の扱いなぞ、俺は弁えてない…。
以前の記憶は無いけど、それだけは言える。
ウム。
分類学上、どういう扱いかは知らないが…。
俺は「非モテ」だったのだろう。
まあ、この話題はここまでだ。
何か凄く、切なくなるからな…。
とにかく、非常に高度な政治的理由によって…。
女性とのコミュニケーションに、多少の難がある俺には今の状況は、かなり持て余すモノだと言う事だ…。
ひょっとして、これは…この世界、もしくはこの地域での通常仕様なのか?
慣習とかなのか?
いくら何でも、ツンデレとか…そういうんじゃないよね?
あとで、デレるとかあり得ないんだよね?
ツンのみの片道切符で…以上(ピー!)、なんだよね?
「………………………………」
始めに、話し掛けようとして暴行され。
次いで…縛られ、吊るされ、揺らされながら今…俺は。
どこかに運ばれつつある。
正直、俺から見たらもうねぇ…只の山賊ですよ!
えーそうですとも…。
「黙れ」
はい、サーセン…。
そして、たっぷり一時間以上は坂道を下った先に広がった景色は…。
結構大きな街並が、あった…。