ビキニアーマーが、1体現れた。
2。
……本当、どうなるんだろ。
「…………………………………」
まあ、悩んでても解決しなさそうだな。
本気で、能力もアイテムも渡して貰えそうにないし…。
よし、そういう事なら…。
まずは今、俺が何処にいるのか?……だな。
まだ、元の世界なのか、異世界に来たのかも分からんしな。
その辺を歩き回ってみるか。
とりあえず向こうの、明るい方に行ってみよう。
テクテクテクテク。
「………………!」
出口…否、一本道だったから出入口発見。
外の様子を……チラリ。
ふむ。
目覚めた時から、思ってはいたんだよなー。
この身体、何故か夜目が利くし。
どうやら俺は…。
岩山みたいな所に出来た、大きめの亀裂の奥に居たらしい。
「………………………………」
外には、何もいない。
動物や虫達の、鳴き声一つしない…。
…………………おいおいおい。
異世界転生モノと思いきや、タイムスリップアドベンチャーとかじゃないだろうな?
人類どころか生物全般が一旦滅びて、植物と微生物しかいない………ような、そんなクソゲーみたいな設定とかじゃないよな?
「………………」
………………洞窟に戻るかなー。
「…お、おい!…そこの貴様!」
ん?
右側からか…?
…女の、声?
良かった…人類が生存する世界なんだな。
「おい…ちょ、止まれ!」
おわ?!
何だ、この女!
ピカピカ光る…巻き角が生えてるぞ?!
むう…。
やはり、異世界である可能性は捨てるべきじゃないのか……しかし、この金角女。
「………………………」
気温が高いからか、体温が高いのか知らんが…。
「止まれ!こ、こっちに来るな!」
確か…ビキニアーマーとか言う、女性用の防御装備だよな……あれ。
まあ…これを、防御装備に含むかどうかは微妙と言わざるを得ないが…。
仮に、この地域がとても治安が良い所だとしても…こんなトレッキングコースみたいな場所で、下着か水着姿で彷徨くなんてあり得ないよな。
「………………………………………………」
…随分と奔放なというか、ハッキリと破廉恥な格好の女だな…。
大体 ビキニアーマーの、戦闘での有為性や必然性ってあるの?
いや確かに、通常の騎士鎧よりは格段に軽いだろうけどさ…。
…………………否、待て!
軽々に判断しては、大局を違えるぞ!
そうか!
水中での稼働を、機動…ではなく運動性を主眼に置いているのか…。
「………………」
何か、引き釣った表情で俺を見下ろすビキニアーマー女。
まあ、とりあえず話し掛け…。
ドゲシ!ガスガスガス!ボコバコベシ!!
「と、止まれと…近付くなと言っただろ!」
俺の意識は、暗い井戸の底に沈んでいった…。