『居た』でござるよ
戦国オタクの売れないお笑い芸人ツッコミ担当の俺が、
スマホ・服なども一緒に戦国時代にタイムスリップ。
時は関ケ原合戦前の1600年。
この時代の武士に捕らえられ連れて行かれた城の城主は小早川秀秋。
お笑いで気に入られようと試みるが、
一度目はゲロすべりでパクリ芸で乗り切る。
ここで誰かが現代人しか知らぬ言葉を発し凍り付く。
誰かが慣れた手つきでスマホのロック解除。
現れたのはなぜか制服姿のスペシャルバカな女子中学生。
なぜかプリウス所持・・
そのJCは何とこの時代で出世し猛将真田幸村に。
俺はとにかく気に入られようと若君ラブアピール・・・
大谷「若君様に会いに行く!?」
家臣「その為に参ったのでは?」
なぜか俺がひでより様を助ける為に未来から来たと・・
家臣「大谷殿の鬼神の如し働きを期待してますぞ」
秀秋「ふむ・・未来人が西軍で良かった」
えっと・・真田ちゃんのおかげで未来人が優遇されてるっぽいな。
でも所詮プリウスでしょ?どうせガス欠寸前の・・
そして・・・
「では、一旦私三成が大谷殿をお預かり申す」三成
「よっ、よろしくお願いします!」大谷
なんとあの西軍大将、石田三成が登場
正確には真田ちゃんと一緒に来てたらしい。
(オイラが刺客じゃないか確かめてた)
そして俺は一旦、三成預かりの客将に・・
「スーン・・」
大谷「うわぁやっぱプリウスエンジン音も静かぁ」
真田「早く乗れよボケ」
三成「それでは失礼つかまつる」
真田ちゃんのプリウスに・・
「よっこらっと・・」
「・・・あれ?・・前じゃなくていいんですか?」
あれ?助手席の方が楽と思って譲ろうとしたんだけど、
三成さんは後部座席に乗り込む
「パシャ!」
三成「・・・お主今何をした?」
大谷「いや・・はは・・・」
写メるだろ!三成がプリウスの後部座席に座ってんだぞ!
そして近くで見送りに来てた秀秋が配下たちに指示を出している。
「あそこからの死角も改善して・・」
「はいっ・・」
あまりに静かなエンジン音のこちらにまだ気づいてないようだ
「スーーー・・」
「えっ?真田ちゃん・・」
ゆっくりと真田ちゃんが動き出し秀秋の背後に近づく
「トンっ・・」
秀秋「ん!?」
大谷「あぶっ!」
プリウスに膝カックンされた形になり、
ボンネットにちょこんと座った形になる秀秋に・・
真田「・・・・おらぁああああ!」
「キュキュキュキュキュっ!!」
「ドムっ!ボコン!ボコン!!」
大谷「わぁあああ!」
そこからエンジン全開で秀秋がボンネットから巻き上げられて・・
「ドサッ!!」
「がはぁ!」秀秋
「秀秋様!」「殿ぉ!」
何回転かして地面に叩きつけられる秀秋
「ふぅ・・真田殿・・秀秋殿は次期関白ですぞ・・」
「あわっ!あわっ!」
「ぶははは!ざまぁ!秀秋!」
鬼神・・・
鬼神ってこれのことか?
完全にネジ外れたスペシャルバカ・・
てかなぜ?味方でしょ?
てかどう考えても秀秋の方が格上・・
まだこの二人の関係性も分かってないけど・・
秀秋「くっ!・・・大谷ぃいいい!!!!」
大谷「ええええええええ!!!!?」
もう・・どうして・・オイラじゃねぇっぺよ・・
もっと目ん玉ほじくって運転手見ろよぉ・・
「大谷ぃ!」
「大谷ぃ!この野郎ウチの殿を!」
いや・・兵隊めっちゃ追いかけてきてんですけど・・
ま、真田ちゃんは当然シカトで車を走らす
真田「大谷って絶対素人D貞だろ?」
大谷「・・・・いや・・まぁ・・そうですけど・・」
ディーていってw
まあ・・素人童貞ですけど、今ここでする会話?
「・・ぉ・・・たにぃ!」
「・・・・ぁ・・ぃ!」
ああ・・遠くなっていく必死で追いかけて来る兵隊達。
本当申し訳ない・・
三成「・・・・・D貞とは、どういう意味でござるか?」
・・うぜぇ・・三成。
シカト、シカト。
でもこの戦国時代にやってきた唯一の現代人。
きっと真田ちゃんも寂しかったはず・・
そして俺がこの先も頼りになるはず・・
必然的になるのかな・・・その・・アレ・・恋人的な・・。
「・・なんだよ!顔ジロジロ見やがって」
正直悪くない顔だ。ただヤンキー臭はかなりしてる。
でも本当は強がってるだけで、か弱い女子のはず・・
「・・・親のプリウス?」
「・・・そうだよ」
ちっ・・じゃあ親も居るってことか?この時代に・・
「・・・お父さん?この時代にいるの?」
「・・・居たよ。」
「居たでござるよ」
過去形・・
「くく・・・ぶはははは!」
「こ・・恐いんですけど真田ちゃん・・」
「その、お主の座っておる・・」
えっ?三成さんが俺のシートを指さし・・
「何!?この黒いシミ!」
「そこで殺されたでござるよ・・」
えっ!?えっ!?
「人殺しても捕まらないって最高だな」
「本当真田殿は鬼神でござるよ」
なっ!親を!親を殺したのか!
「涙ながしながら助けてくれだってよ!ぶははは」
ま・・マジキチ!
マジキチかよ真田ちゃんって・・
「あっ、農民っ!!おらぁ!ドーーン!!」
「ドムっ!!」
農民「ごぱぁ!」
戦国時代ののどかな風景に重く鈍い音が響き、
大自然の無垢な罪なき緑色のコントラストに、
天高く舞い上がる生生しい赤が映える。
「ふぅ・・片づけるの大変なのだぞ真田殿・・」
農民はゴミではござらんぞって・・
・・・片づけるって自分で言ってない?
甘い恋の妄想も一気に冷めていく・・
正直浮かれてた・・自分の好きな戦国時代に来れて・・
帰りたくないないんて思ってたほどだ。
鬼神・・真田・・・
現代でも異端・異質なる冷血なるマジキチ娘・・
歴史が変わる・・
いや・・もう変わったのか・・
そしてきっとこの戦国時代は日本の最悪の過去になる・・
「スッ・・スッ・・」
「わっ!ちょっと真田ちゃん前見て!」
真田ちゃんが運転中に自分のスマホをいじり・・
「チャラチャララ~♪」
「あ・・ドラゴンアッシュ・・」大谷
(しかも懐かしい・・grateful daysか・・)
「イェ~っチェケラーっ」真田
いや・・農民ひき殺して、
もう何事も無かった様に音楽っすか?
「アッイェーっイェイっ♪」真田
ノリノリやん・・
こりゃ歌うな・・
はぁ・・まぁ、道のりも長そうだし、ゆっくり行くか・・
「たんあっれでぃお~♪そう今日も聞こえるよぉう」三成
「ばぶっぅ!!!!!」大谷
三成さんが歌った・・
何仕込んでんだよ真田ちゃん・・
「俺は東京生まれっ♪」真田
あ・・そっち歌うんだ真田ちゃんは・・
もうやだぁ・・
ちょっとくらい落ち着かせてよぉ・・