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大和さんの異世界漫遊譚 第二部【未完】  作者: 桒田レオ
《第二章・大和の隠し子!?編》
8/15

第二証人「黒鬼・大和2」

 というわけで、魔獣界へやってきた。

 万葉にバレるとかなーり面倒なことになるので、流派風林火山陰雷の一つ、『知りがたきこと陰の如く』を発動している。

 森羅万象と一体化し、気配を極限まで薄めるという技だ。

 本来であれば如何なる存在であろうが認識できず、たとえ触れられたとしても気付かないレベルなのだが……

 ギリギリのレベルで調整して、二葉にだけは認識できるようにしている。

 それでも本当にギリギリなので、なるべく人目に付かず移動している。

 目指すは二葉の母親がいるという場所だ。


 というわけで、着いたのだが……

 目の前にあったのは、墓だった。


「これ、ママ」

「あのー、二葉さん、これってお墓なんですけど」

「ママ、最近死んだ」

「マジかよぉ……」


 ちょっと待ってぇ……

 えええー。

 そんなオチってありですかー?


「困った。本気で困った。これじゃあ、真相が聞けない」

「……?」

「……よし、とりあえず、アイツの元へ行こう」

「アイツ? 誰?」

「琴音……またの名を大禍津童子。魔獣界に君臨する伝説の魔獣の一角。東区で万葉ともう一名を含め三強と謳われている」


 アイツなら、真相がわかる。

 何せアイツは確率操作の異能を持っているからな。

 この子が俺の子供である確率を占ってもらえばいい。


 よし、そうとなればレッツゴー。

 忍び足で。



 ◆◆



 琴音の屋敷は万葉と正反対の方向にある。

 琴音は万葉と仲が悪いからな。

 今は少しでも万葉から遠ざかりたいから、ありがたい。


「で、何の用だ。大和。お前が私を頼るなんて、相当なことだろう?」


 おかっぱ髪に長い角を二本、額から生やしている。

 十代半ばほどの少女は、妖艶なオーラを纏いながら、桃を齧っていた。


「琴音。この子が俺の娘でないか、その確率を出してほしい」

「ほぉぉ、遂に娘ができたか? まぁ、お前ほどのプレイボーイだと、そういう問題は出てくるよなぁ」

「頼む」

「嫌だ」

「何故だ?」


「私に利益がない。それに面倒くさい」


「そこをなんとか! 頼む!」


 頭を下げる。

 琴音は眉間に皺を寄せながらも、やれやれといった様子で溜息を吐いた。


「……条件がある。それをクリアできれば、見てやってもいい」

「何だ」

「……お前、万葉と避妊無しで寝たんだってな?」

「………」


俺は二葉の耳をすぐに塞ぐ。


「私もそれだ。そうさな、十回くらいで手を打とうじゃないか」

「おい、子供がいるんだ。配慮しろ」

「知るか」

「はぁ……。なぁ、それ以外の方法は」


「じゃあ他を当たれ」


「ぐぅぅ」


 くそう……


「わかったよ……そのかわり、絶対妊娠の妖術とかは無しだからな」

「話が早い。お前のその物分かりのいいところは好きだぞ、大和♪」


 琴音は蠱惑的に微笑みながら、指先をクルクルと回す。

 俺はここで、二葉の耳から手を離した。


「ふぅむ……ほうほう」

「……」

「なぁるほど」

「……」


 どうなんだ。

 結果は……結果は!?


「大和、その娘は……」

「ごくり」



「お前の娘ではない」



「はぁぁ……」


 なんだぁ。

 よかったぁ。


「大方、母親がホラでも吹いたんだろう」

「ったく、迷惑な話だぜ」


 あー安心した安心した。

 俺は二葉のほうへ向く。


「俺はお前のパパじゃねぇ。……どっか行きな」

「っっ」


 二葉はとてとてと屋敷を去っていった。

 俺は少々罪悪感に苛まれる。

 が、違うことは違うとはっきり告げなければならない。


「……はぁぁ」


 俺は重い溜息を吐いた。

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