第二証人「黒鬼・大和2」
「スカアハ、もう大丈夫か?」
『はい、万全です。マスター』
俺はスカアハに跨り、後ろへ振り返る。
「じゃあなエレクトラ、またコイツの調子が悪くなったら来る」
「あいあい。じゃあね」
俺は無言で手を振り、スカアハを発進させる。
次元の狭間を走行しながら、俺は昨夜のことを思い出した。
爪牙、泣いてたな……
悪いことをした。
でもな、今のアイツを連れて旅をすると、心配で戦闘をロクに楽しめねぇんだよ。
危なっかしい。
心も、身体も、もう少し成長しなきゃな。
逞しくなって、俺の背中を守れるくらい強くなって。
その時にまだ、俺のことを好きでいてくれて、一緒に旅をしたいっていうなら、連れて行こう。
すまんなぁ、爪牙。
こんな馬鹿野郎が師匠で。
兄貴で。
でも俺、お前のことを本当に好きだから。
弟子としても、女の子としても。
……わかってくれっていうのは、あつかましいな。
信じてくれるのを祈るしかないか。
『パパ、だいじょうぶ?』
「……大丈夫だよ、二葉。お前は心配しなくていい」
『うん』
さぁて。
しんみりしちまったな。
いっちょ気持ちを切り替えて、冒険の再開だ。
『マスター、次の異世界は何処にいたしましょう』
「お前に任せる。強そうな奴がいる世界へ連れて行ってくれ」
『かしこまりました』
そう……
俺は、俺を変えるつもりはねぇよ。
戦闘狂で、女泣かせで。
そんな俺を、生涯貫いてく。
たとえどんなに恨まれようとも。
どんなに泣かれようとも。
俺は、顧みようとは思わねぇ。
俺は大和。
超越者、黒鬼。
最強最悪の辻斬りだ。