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02,教育係は困惑している!

 僕は、様々な世界を巡り、色々な目に遭ってきた。それゆえどんな事が起きても、冷静に対処できる自信があった。

 しかし……僕は今、困惑している。


「語り手さん、どうかしましたか?」

 目の前では、 困惑の元凶――なぜか一人称が「ボク」の少女、名を片山梨子と言うらしい――が、僕を見つめている。

「ああ、いや、なんでもないんだ……」

 ああ、なぜ。なぜこんなにも彼女は落ち着いているのだろうか……?

 色の無さすぎる異世界の、空中に架かった橋の上で、少女――片山梨子をスカウトした。

 ……この時点で、彼女のとった対応はおかしかった。至極平静に、いや、むしろワクワクとした様子で、〔語り手〕となる事を承諾したのだから。

 もう少し慌てようよ!自分で言うのもアレだけど、妙な格好をした知らない男が、〔語り手〕なんてワケわからないものにならないかい?なんて誘ってるんだからさ!

 しかも、彼女は僕と共に一瞬でこの応接室に移動しても驚かなかった。〔語り手〕の役目を聞いても、自分が魔力持ちだから選ばれたと言われても、全く動じていない。確か彼女のいた世界に、魔法という概念はなかったはずだ……

 もう少し慌てようよ!!どんな神経してるのさ!?

「語り手さーん!どうしましたー!?」

「はっ!」

 危ない危ない。困惑するあまり、彼女を放ったらかしにしてしまった。

 仕事を、しよう。異世界に潜む〔語り手〕の卵達を見つけ出し、育て上げる事が僕の役割なのだから。

「ごめんごめん。〔語り手〕についての説明も終わったことだし、今日はゆっくりと休んで。明日から、〔語り手〕の研修を行うから」

「はい!」

「君の部屋に案内するよ。付いてきて」

「わかりました!」


 ……廊下を歩いている途中で、後ろから「楽しみだなあ……」と言う何とも幸せそうな呟きが聞こえた。

 だ、か、ら!

 もう少し不安がったりしようよ!!

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