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23,自業自得と言うには酷すぎる仕打ち

「ごめん。本当にごめん。ストーカーが出るかもしれない所に君達を送り出すなんて、僕はどうにかしていた」

 戻ってくると、語り手さんが全力で土下座していた。立ったままのこの位置だと、白い布のかたまりにしか見えない。

 そういえば、半ば無理矢理送り出されたんでしたっけね!

「それは酷い目に遭った」

「まったくだよ」

「ごめん! どんな償いでもするから、許して!」

 治まる気配のない2人の怒りっぷりに、語り手さんの声色が悲愴になる。

「じゃあ精霊避けか、簡単に精霊を追っ払えるアイテムを作って欲しいねぇ」

 ミランダさんのその言葉で、ヴェントさんがこれからも付きまとってくる可能性がある事に気がついた。

 ……ストーカーって、あの人!?

 占いがばっちり当たっているという事実にボクはげんなりする。

「お安い御用さ……」

 比較的簡単に出来ることなのか、語り手さんは明らかにほっとして了承した。

 だが。

「それから……語り手殿は、武術の心得はお有りか?」

「ああ……魔法で防護壁を張る技術でもいいけどねぇ」

 2人の発言に、彼の顔が固まった。

「ええと、後者なら……」

 恐る恐るといった体で、語り手さんが答える。

「そうか。なら、私とミランダ殿の戦闘演習に付き合って欲しい。今の私ではリーテ殿を守る事は出来ないと痛感したのだ」

 戦慄した。大義名分を掲げて、語り手さんの罪悪感にかこつけて……彼を、ストレス解消のサンドバッグにしようとしている!

「そういえば……僕、ものすごい大事な用事が……あった……ような……」

「あんた……何でもするって、言ったよねぇ?」

 確かにそのように取れる発言はしていた。

 語り手さんの顔(下半分)から、みるみる色が無くなっていく。

「覚悟!」

 ミツキ君が剣を振り上げたのを皮切りに、非常に一方的な戦闘演習が開始された。

 正直、全くもって語り手さんのせいではないとも言えない気がするのだが、それでも、これは……あんまりだ。

〈ふ、2人とも、ほどほどにしてくださいね……〉

 ボクには、その言葉をひそかに添えるぐらいしかできない。

 ごめんなさい、語り手さん。


 その後。思い切り八つ当たりして頭の冷えた護衛2人は、息を切らす語り手さんを見てバツの悪い顔をしたとか……

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