第8話 魔王様は鼻呼吸
我ながらなんだこのサブタイトル…
ノリと勢いで付けてますのでご容赦ください☆
コーラルより先に部屋に戻って、さっさとベッドに入り込む。
やっぱりふかふかだ。寝着の露出が多い分、肌にじかに布団が触れる。さらりとした肌触りの布団は上掛けもフワフワであったかい。
お風呂上りにコーラルと長話してしまったために湯冷め気味だったから、あったかい布団が気持ちいい。
もうこのまま夢の世界へ一直線――のはずだったのに、耳元で声がした。
『ホタル、ねぇ、このまま寝ちゃうの?』
小さな子供のような透き通った声。いつかも聞いたような声だ。
でも、この世界に来てからまだ名乗った覚えのない、私の名前を呼ばれた?
驚きで、さっきまでの眠気も消えた。
「誰?」
慌てて起き上がってみても、それらしき人影はない。
気のせいか…と再び寝ようとしたら、天蓋のレースがめくられた。
そして、外の人物とばっちりと目が合う。
「な、な、なにしてんの!?」
思いっきり布団を手繰り寄せた上に、反対の端ギリギリまで体を寄せながら叫ぶ。
そういえば完全に魔王の存在を忘れていた。
思い出したが最後、コーラルに言われた『初夜』の一言が頭を駆け巡る。
やばいよやばいよ、貞操の危機だよ……!!
「何してるも何も、ここは俺の部屋だ。
俺様が俺様の部屋のベッドで寝て何が悪い」
「え……?」
「本来ならお前には客間を用意する予定だったが、諸事情によりできなくなった。
仕方がないから俺のベッドの片隅を貸してやる。だからさっさと寝てしまえ」
「えぇ……??」
あれ?何か思ってた流れと違う。
何その投げやりな感じ?
何?ホントに普通に隣で寝るだけ?
なんかもう、有無を言わさず無理やり――的なものを想像してたのだけど。
"もうお前は俺の后なのだから言うことを聞け~~"みたいな。
あ、いや、そんな期待してたなんてことはないけどさ!!
「何を百面相してるんだ。ホントにお前は変わった奴だな。
…まぁでも、俺はもう疲れた。お前ももう寝ろ。
詳しい話はまた明日、朝になったら話してやるから」
「え、あ、はい…。おやすみなさい」
なんかホントにめんどくさそうに、しかも子供に言うみたいに言われて、なぜだか素直に頷いてしまった。
私が頷いたことに満足したのか、はたまた私の返事なんてどうでもよかったのか、魔王はそのまま布団に入り、ベッドに横になってしまった。
固まったままの私をよそに、しばらくすると寝息らしきものが聞こえてきた。
マジで寝たのか??
そりゃ、襲われたいわけではないけれども、ここまで無関心を通されるとなんか空しいものがある。
一応年頃の女ですし、なんだかセクシーな寝着も着させられてるわけですし?『初夜』らしいしさ。
そんな男女2人がベッドの上で……。
はぁ、なんか考えててめんどくさくなってきた。何にもないならそのほうがいいし。
罠とか、油断させといて…的なオチもなさそうだし、マジでこのまま寝ようかな?
最後にそっと、隣(といってもベッドがめちゃ広いので距離は1メートルくらいある)に眠る魔王の顔を覗く。
寝ている顔も、たいそうなイケメン。
なんだこのまつ毛は!!
なんだこの無駄に通った鼻筋は!!
くそぅ、よだれでもたらしてたら愛嬌もあるものを…。
人をさんざん弄んでおいて(被害妄想?)澄ました顔で寝やがって…。
くやしいので奴の鼻をつまんでやった。
どうやらすぐには起きそうにない。
10秒くらいつまんだままでいたら、
「くっ……」
と苦しそうに眉間にしわを寄せた。
魔王も寝るときは鼻呼吸らしい。
ま、少しスッとしたかな。
今日はこれくらいで勘弁しといてやろう。
そして私は、魔王の横で眠りに落ちた。
ようやく登場の魔王様なのになんかそっけない…。
主人公の名前は蛍ちゃんに決定!!
今回は宝石・色関係で名前を付けていこうかと計画中。
コーラル→珊瑚 ホタル→フローライト(蛍石)
魔王様の名前はまた次回にでも。
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