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白馬の魔王様  作者: あむ
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第6話 魔法とお風呂②

扉を開けると脱衣所らしき部屋につながっていた。

窓のないくらい部屋で、先に入った女性が手を上げると、女性の手が一瞬淡いピンク色に光り、それに応じるように部屋の明かりがついた。


「センサー式なの?」


不思議に思って天井を見ても、センサーどころか蛍光灯すらない。

部屋全体が、光っているような感じだ。


「壁に魔力が込められていまして、そこに私の魔力に反応して光るようになっております」

彼女にそう言って優雅に微笑まれても、さっぱり原理がわからない。


「改めまして、私、后様のお世話を仰せつかりましたコーラルと申します。

 どうぞ何なりとお申し付け下さいませ」


未だ明かりの原理を考えていた私に、彼女、コーラルの自己紹介。


「あ、こちらこそよろしくお願いします…。

 …っていうか、后様とかやめてください。

 私はあんな奴と結婚なんてする気全くないですから」

「そうなんですか?

 ですが、魔王様が皆の前でそう宣言されておりましたから」


全力で拒否してるのに、コーラルは全く信じてない感じだ。


「宣言って…無理やり急にこんな知らないとこに連れてこられて、会ったばっかの人と結婚なんて考えられないです」

「じゃあ、これから魔王様のことを知っていったらOKということですわね」

「は??」


笑顔でさらりとそんなことを言って、コーラルはささっと私のドレスを脱がしていく。

あまりの早業に、気が付けば私は一糸まとわぬ姿にされていた。


「后様、けっこういい体なさってるんですわね。

 きっと魔王様もお喜びになられますわ」


うっとりな感じで人の裸見ながらそんな恐いこと言わないで頂きたい。


「あんな奴に喜ばれても全く嬉しくないですし、喜ばすつもりもありません!!」

「そうですか?

 后様ってけっこう恥しがりやなんですね」


…コーラルって結構人の話聞かないタイプっぽい。

真剣に怒鳴って、お風呂に入る前から疲れた…。


 



お風呂は大理石風な石造りの大きなものだった。

でも、お湯が入っていない。

しかも、蛇口すら見当たらない。

どうするんだろうと見ていたら、コーラルが湯船に手をかざした。

すると、明かりの時の様にコーラルの手が淡く光り、直後、湯船の底からお湯が湧いて来た。

瞬く間に湯船にあふれんばかりのお湯が湧き出た。


「すごい…」


まさに、目が点な感じ。


「魔力ってすごいんですね…」

「あら、后様だってお使いになれますよ」

「え、私にはムリでしょ。

 だって普通の一般人ですし」


確かに使えたら便利そうだし面白そうだけどさ。


「たぶん大丈夫ですよ。

 なにしろあの魔王様の后様として召喚されたお方ですから、魔王様に匹敵する魔力をお持ちのはずです」

「いやいや、ムリだって。

 そんなの生まれて28年間使えたためしがないですから」

「そうですか?

 そんなことないと思うんですけどねぇ…」


なんだかすごく残念そうだけど、魔力なんてそんなの全くないから。


「あ、もしかして、魔力なんてないってわかったら元の世界に還してもらえるかも?」

「それはどうでしょう?

 魔力云々がなくても、魔王様に傷をつけることが出来るモノなんてこの何百年もなかったことですから」


希望の光が一瞬で消えた。

あんなの爪が当たっちゃっただけなのに…。




「ささ、魔王様がお待ちですし、早くキレイにいたしましょ」


気分を切り替えて嬉々と私を磨く気満々なコーラルさん。

なんだかその背中に悪魔の尻尾が見える気がする…。



そして、抵抗むなしくコーラルによって隅から隅まで磨き上げられたのでした。




魔王様が出てこない・・・。

もうしばらくコーラルとのやり取りが続きます。


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