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白馬の魔王様  作者: あむ
33/35

第33話 背水の陣

部屋に立ち込めるどす黒い魔力。

マジ、恐いです。

なんとか逃げる方法を考えてみるものの、ここは魔王様の部屋で、部屋の外は危険がいっぱいで。

いやでも、この部屋の主である、黒い魔力の根源なヒトの方が危険か?

けどどっちにしろ、この部屋からは出れないだろうし…。

なんて考えてたら、さっき突き飛ばしたはずの魔王サマがまた目の前にいた。


やばいよやばいよ…。

なんかコクヨウ、目が本気っぽい…。

いつもなんだかんだ言いつつ、どこか私をからかってる感じで見てたのに…。

口元から流れる血が更に恐さを倍増させている。

なんていうか、頭からバリバリ食われてしまいそう…。


「まぁ、落ち着いて? 話せばわかるよ、たぶん」


なんて言いつつ、説得|(?)を試みてみるも、返事はなく。

後退した分を縮められる。

広い部屋ながら、逃げる距離なんて限られている。

一歩、また一歩と後ずさっていた私の足が、何かに当たった。

もう壁?と見た先にあったものに、血の気が引いた。


ソレを確認し、顔色を変えた私を見て、コクヨウがまたにやりと笑う。

その笑みに、自分の未来を予想してゾワリと鳥肌がたった。




後ろにあったのはベッド。

昨晩もコクヨウと寝ていた天蓋付きの大きなベッド。

フカフカで寝心地も抜群なんだけど、今の、このシチュエーションはまずいですよ。

目の前のコクヨウの目が、笑みが、喰ってやると言わんばかりだもの!

いろんな意味で食べられちゃうよ!!


「ワタシ食べてもおいしくないデスよ?」


って、違うな。

えーっと、どう言えば、どうすれば逃げられる??

フル回転の頭とは対称に、動かない体を持て余しているうちに、コクヨウの手が伸びてきた。


息のかかるくらい近くにいた彼から、その手を避けるようとした。

自然、腰が引ける。

そして腰が引けた結果……


態勢を崩した私を、パフン、と優しく受け止めたのは件のベッドで…。

見上げる形になったコクヨウの視線が、私と同じ目線に下がってきて…。

結果、ベッドに押し倒されてる感じに。

なんか自然な流れですけど、なんていうか、王手、な感じ?


「えーっと、あの、傷、つけてゴメンネ?」


覆いかぶさるコクヨウにとりあえずかわいく謝ってみた。

冷静な頭の片隅で、28にもなって小首かしげてゴメンネはどうかと思ったけれど。


「気にするな。こんな傷、すぐに治る」


私から目を逸らさないままそう言ったコクヨウの目はあの妖しい笑みを浮かべたまま。

ぺロリ、と口の端に垂れていた血を舐める。

そのしぐさから、その目から、視線を逸らせない。

逸らしたら、その瞬間に喰われる気がする。

なんなんでしょ、この色気!!

そんな免疫ないのに、あたりに満ちる魔王の魔力も相まってか、一気に雰囲気に飲まれそうになる。

このまま流されてはいけない!!


「あ、あのあの!!」


更に密着しようとするコクヨウの体を全力で押し返しながら、再度説得を試みる。


「っていうか、私が拒絶しているうちは手は出さないって言ってなかった??」


そう、確かそう言ってたはず。

よく思い出した、えらいぞ私!


「少しでも俺に心を許す気があるのならば、今すぐにでも抱いてやる、とも言ったはずだが?」

「いやいやいやいや、心許してないですから!!」


さっきからずっと何を見ているんだこの俺様魔王様は!

めちゃめちゃ抵抗してるじゃないか!


なんて心の突っ込みも、もちろん顔に出ていたらしい。

フッと、また馬鹿にしたように笑われた。


「本当に、少しも俺様に惹かれてないのか?」

「な…惹かれてなんかないに決まってるじゃん!!」


なんて俺様な発言なんだ。

…けど、ほんの少しも惹かれてないのか、少し、ほんの少し、返答に詰まってしまった。

そんな自分が悔しい。


「そうか?」

「そうですとも」


「まあいい。それは体に聞くまで…」

「え、ちょ、ちょっと…!!」


さっきまでの会話を無視して、再度体を寄せてくるコクヨウ。

駄目だ、こいつ、人の話聞いちゃいない。

このままでは本当に……






「すとーーーーーっぷ!!」


ピンチに突然現れたのは白馬の王子でも勇者でもなく、かわいい女の子だった。

……えーーっと、どちら様?



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