表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白馬の魔王様  作者: あむ
32/35

第32話 魔王様の本気

久しぶりの更新でスイマセン。

魔王様視点でお届けします。

少しずつ、じわじわと落としていこうと、そうアウインに話したのは嘘ではない。

けれど、アウインを、他の男を思い出して頬を赤らめるホタルを見たとき、何かが動いた。


 

ついさっき、ホタルを城内の散策に連れていたアウインから、何者かに襲われたと報告があった。

それは想定内の出来事であったし、それも考えてアウインを付けていたので心配はしていなかった。

それに、この魔族の国というものの危険を理解させてやろうという思惑もあったことも否定しない。

これでおとなしく俺様の部屋にいてくれたらいいと、そう思っていた。


けれど、ホタルを部屋に送り届けたアウインからの報告に、急いで部屋に駆けつけたのは…

ショックを受け、放心状態だというホタルを心配した? いや、弱っているホタルというのも見てみたいと思った、そう、好奇心に過ぎない。


部屋に行った時、元気に精霊と話しているホタルを見てどこかホッとしたのもきっと、気のせいだ。



「だから、お前は思ってることが駄々漏れなんだ。少しは俺様を崇めろ」

「いや、それは無理」


そんな言い合いすら楽しく思う。

打てば響くように返ってくるホタルとのやり取りは、今までに感じたことのない楽しさがある。

今まで、この俺様に対してここまでぞんざいな態度をとるものはいなかったから。

ここまで、素のままの姿で接してくるものはいなかったから。



その思いのままに、ホタルとの距離を縮めた。近づいた俺に頬を赤らめるホタルも悪くないと思った。

…なのに。

 

ホタルは考えていることがすぐに顔に出る。

ここでの不安も、俺への失礼な考えも、そして、俺様じゃない別な男を思い出していることも。


「な、なによ」


俺が近づいた分、ホタルは俺から距離をとる。

それがまた面白くなくて、距離を詰めていった。


「な、なによ!!」


無言で近づく俺様に、精一杯強がるホタルを見るのもなかなか楽しい。

強がりながらも、俺を男として意識しているのがわかるからなお、楽しい。


そんな心の内を隠しつつ、無表情のままにホタルの前に。

俺様とホタルを隔てる邪魔なメガネを外す。

怖がりながらも、しっかりと俺様の目を見るホタル。

俺の、金の目を…。

ホタルを怖がらせるだけのつもりだった。

けれど、俺の目を見るホタルの瞳が、昨夜の情事を思い出させた。

拒絶の態度も見せないホタルに、顔を寄せる。

蜜月の力でなく、俺様の意思で。


―――なのに!!


「離れて!!」


いきなり突き飛ばされた。

…けどまぁ、これでこそホタルだ。

逃げる獲物を追い詰めてこそ、狩りの楽しみがあるというもの。

嫌でも俺に惚れさせてやるさ。


 

手始めに、先ほど拒絶された口づけを。

抵抗されようと気にしない。

むしろ、抵抗が気にならないくらい、ホタルとの口づけに夢中になっていた。

今までに感じたことのない魔力。何色にも染まっていない、陽の光のような魔力をその内に感じる。

それをもっと深くまで感じたくて、探るように口づけを深くしていった。




正直言って、不覚だった。口づけに夢中になって、相手がホタルだということを忘れていた。



「離れろ!! 鬼畜魔王が!!」


そんな罵声を叫びながら(何度も言うが、ホタルの思考はダダ漏れだ。)、舌を噛まれた。

口の中に鉄の味が広がる。

自分の血の味を感じるなんて何十年ぶりのことだろう。

初対面の時といい、この俺様に傷をつけるなんて…。




体の底から湧き出る何かを感じる。

この瞬間、本気でこの女を落としてやろうと、そう思った。

 

自然、笑みがこぼれた。その笑みに、ホタルが後ずさる。

逃がしはしない。もちろん元の世界になんて還す気もない。

…覚悟しろよ。


 

ホタルに本気になった魔王様(本人まだ惚れてる自覚はないですが)この先、ホタルの運命は??

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ