第24話 魔王様の寝顔は…
目が覚めたら朝だった。
スッキリ目が覚めたけど、あたりはまだ薄明るいくらい。
どうやら寝てからそんなに経ってないようだ。
そっと隣を見やれば、思いのほか近くにコクヨウの寝顔があった。
思わず、ドキリとする。
2度目に見る寝顔。
けど、寝入ってから見る寝顔と、朝見る寝顔はなんか質が違う気がする。
昨日は私が起きた頃にはコクヨウは起きてたし。
朝の寝顔は、なんていうか、…いやらしい。
寝乱れた髪だとか、ちょっと肌蹴た服だとか、寝苦しそうに歪んだ眉だとか…。
寝息もなんか、セクシー。ってか、いやらしい。
なんだよ、こいつの色気は。色情狂めっ!(←ちょっとちがう?)
色っぽいのに額にかかった髪が幼く見えて可愛いなんて…いやらしいっ。犯罪だよ!!
ってか、なんでこいつこんな近くで寝てるのさ。
と…見やれば、視界の端に捉えたありえない光景。
…手が、私の手が、魔王様の服の袖をつかんでいた。
「うぁおぅっ…」
あまりの事態に、変な声が出た。
何してんだ、私…。しっかりしろよぉ…。
うろたえながら、そっと、そぉっと握り締めていた手を緩めていく。
寝てる間に何やってんだよ私。寝相悪いにしてもベッドから落ちるほうがなんぼかマシだよ。
あぁ、これも全部、蜜月のせいだよ、そうだよそうに違いない…。
ぶつぶつ口の中で言い訳をしながらやっと手を離した。
そのままそっと、そっと、体を離していこうとしたら…
「ぅぁっなっ…」
逆に、手をつかまれた。
いきなりのことにまた変な声が出た。
「ちょ、待っ…」
そのまま、手を引かれて引き寄せられる。
行き着いたのは魔王様の胸の中。
そのぬくもりに思い出すのはもちろん、昨夜のこと。
…もちろん昨日のキスの事は覚えてる。ってか、忘れられるわけないし。
「なんで逃げるんだ? …昨日はあんなに積極的だったのに…」
腕の中から逃げようともがく私の耳元で囁かれた低い声。ジンと体の奥にしみるような、なんというか、すんごい、エロい声。ホント勘弁して欲しい。
「何の話か私にはさっぱりなんですけど!」
確かに私の手がコクヨウの服を握ってたのは事実みたいだけど、それ以上のことがあるはずないし!! …たぶん……。
いやいや、自分で自分を信じてやらなくてどうする!!
蜜月のせいでちょっと人肌が恋しかっただけで、ぬくもりを感じれたらそれで充分のはず!!
実際、着衣にも乱れはないしね!
…あ、いや、コクヨウの寝着がちょっと乱れているけれど、それはコクヨウの寝相が悪いせいであって、私は関係ない…はず。
「ほぅ…覚えてないのか」
「な、な、何を?」
やばい。ホントに自信がなくなってきたですよ。
私、何したのさ…??
「……」
「な、なによぉ!!」
人の顔見て黙り込むとかマジで止めて欲しい。
ますます不安になるじゃないか。
「覚えてないのならいい」
「え、ちょっと、よくないって!!」
そう言って、ベッドから降りていくコクヨウ。
いやいや、言って貰わないと余計に気になるし!!
「とりあえず、顔でも洗ってきたらどうだ? よだれがついてるぞ」
「え、うそっ!」
って、私そんな子供じゃないし!! よだれなんてついてません!!
くそう、まんまと逃げられた…。
コクヨウを追ってベッドから出たけれど、部屋の中にはもうコクヨウの姿はなかった。
代わりにいたのはタオルと着替えを持ったコーラル。
「さ、お召し替えをいたしましょう」
満面の笑みのコーラルを無視するわけにもいかず、顔を洗いに移動する。
でもでも、後で絶対にコクヨウを問い詰めてやるんだから!!
最近更新が滞りがちで申し訳ありません。
しかも毎回短いし…。
24話でまだ召喚3日目という遅さ。頑張らないと…。