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白馬の魔王様  作者: あむ
22/35

第22話 二つの月

 何事もなく、夜は更けた。


 はい、深夜です。


 寝れません。



 私だって、そこまで神経図太くないんだよ。

 昨日はなんかいろいろあってすぐ寝ちゃって、さらに朝までしっかり熟睡でしたけども。

 …だからって、そう毎晩、こんな昨日今日会ったばかりの男の隣で寝れるほど、肝の据わった女じゃないのですよ!!

 なんて力説したところで、魔王様はスヤスヤお休みのご様子。ソラも夜は寝るのか、メガネを外したせいで見えなくなっているだけなのか、声も聞こえず静かな夜。

 そっと天蓋を開けてみれば、部屋のカーテンの隙間から光が見えた。

 うっすらと室内を照らす、淡い、青白い光。


「月……?」


 知らず、声に出ていた。

 けれど、振り返ってみても、コクヨウは変わらず眠っていてホッとする。

 そっと起き上がり、天蓋の外へ。

 ふかふかの絨毯は、足音もかき消してくれる。


 たどり着いた窓の外には、大きさの違う2つの月が浮かんでいた。


「月も、2つあるのか…」


 そのままぼんやりと月を眺める。

 二つの月が輝く外は、元の世界よりも明るい。さらに、月を中心にキラキラと金色の輝きが舞っている。月にも魔力があるのだろうか?

 念のため、枕元に置いていたメガネをかけて見てみれば、金の輝きは見えなくなった。

 やっぱりここは、知らない世界。


 再びメガネを外し、空を見る。

 黒い闇に浮かぶ、金の月。そして、星々の輝きと魔力の煌き。


「キレイ…」


 知らない世界、だけど、その光景はとても、キレイに見えた。

 神秘的で、幻想的。この世のものじゃ、ないみたいに。


 ふと、窓枠に置いた手に雫を感じた。

 知らず、涙がこぼれていたみたい。

 この夜空以外にも、キレイな光景はいっぱいあるんだろう。

 けど、それ以上に、この世界が恐い。

 知らない世界が、恐い。

 誰も頼る人のないこの世界が、恐い。



 また雫を感じて目をやれば、涙に濡れる手の中で、愛用のメガネが淡く光っていた。


今回短め。次回に続く。

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