第2話 魔族の王様
もしかしてもしかして、白馬の王子様?
なんて夢みたいなことを考えながら、
「ええっと、どちら様でございましょうか?」
イケメンの膝の上、という自らの居場所も省みずとりあえずの疑問を口にした私。
我ながら混乱してるなぁ。
「白馬の王子でないことは確かな」
そう言って笑うイケメンの顔は確かに黒いニヤリな笑顔で、白馬の王子とはかけ離れてマス。
腹黒感満載な感じ。
くそぅ、ちょっとくらい夢見たっていいじゃないか。
「じゃあ、どちら様?」
なおも尋ねる私って、勇気あるぅ。
「未来のだんな様。
それか、魔族の王様、といったところかな」
腹黒魔王!!
まさにそんな感じの外見です!!
……じゃなくて、だんな様に魔王様??
どちらも今までの私の生活に全く関係のなかった言葉たち。
なんだかやばいところに来てしまったようだ、と遅まきながら思う。
「ええっと、とりあえず、家に帰りたいのですけど」
ともかく逃げよう!!
とか思ったんだけど、現在進行形で私は自称魔族の王様なイケメンの膝の上に居た。
なので、極力丁寧に頼んだつもりだったんだけど・・・。
「却下だ。
貴様は俺の妃になるのだから、ここに居ればいい」
あぁ、何この人。
何様?俺様?
あ、魔王様か。
じゃなくて、なんでイケメンとはいえ初対面の男に命令されなきゃいけないのさ。
マジ意味わかんないし。
「ここがどこかもわかんないし、知らない人の妃になんてなる気全くないし。
ともかく離して下さい!!」
プチ切れ気味に暴れてみたのにびくともしないし!!
「俺様を前にそれだけ拒絶できる女も珍しいな。
妃の召喚なんてどうかと思っていたが、なかなか面白そうだ」
言いながら迫ってくる顔。
確かに、イケメンだけど!!
いい声してるけど!!
男としては見た目的にいい男だとは思うけども・・・!!
「私はそんな軽い女じゃないわ!!」
バチンとイケメンの頬を平手で殴ってやったさ。
ま、我ながらそんな言葉をホントに使う女が居るとは、と思いましたとけれども。
あ、ちなみに、人を殴ったのは初めてですよ?
初対面でいきなりキスしてこようとしたんだから、正当防衛ですよ。
でも、実は小心者の私。
さっきも言ったとおり、人を殴るなんて初めてだから、勢いで殴ってしまったものの、その後どうしていいかわかりません。
とりあえず、相手の出方を待ってしまう。
「・・・いい度胸だ」
あわわ・・・。
なんかもう、地獄の底から響くような声が聞こえマシタ。
まじ逃げたいのですが・・・。
私を捉える腕の力は緩まらず・・・どうしましょ?
覚悟を決めて、そっと、そっと上を見上げる。
そこには、正真正銘の魔王様がいらっしゃいました。




