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白馬の魔王様  作者: あむ
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第16話 精霊の名付け方

 メガネを掛けた瞬間、視界がクリアになった。

 部屋を覆っていた靄のようなモノが消え、コーラルを薄く包んでいた淡いピンクの光も消えた。

 ちゃんと試してみないとわからないけど、私の思った通りならこのメガネには魔力を通さない力があるようだ。


 そんなことを考えていたのもつかの間のこと。

『こんにちわ♪』

 と現れた美少女に、心臓が飛び出るかと思った。



「どうかなさいましたか?」

 美少女をを見つめて固まる私を見て、コーラルが不思議そうに尋ねる。コーラルにはこの少女が見えていないのか?


『このヒトには見えないよ。だって、私、魔族嫌いだもん』

 と少女も言っているので見えないらしい。


「あ……と、さっき魔王の話聞いて、ちょっと疲れちゃったから休んでもいい?」

「それは気が利きませんで申し訳ございません。ベッドの準備をいたしますか?」

「そこまではいいや。ちょっと一人で情報を整理したいし」

「では、私は隣の部屋で控えておりますので、御用の際はお声掛けください」


 言い置いて、コーラルは隣にある侍女部屋に下がっていった。

 どう言っていいものかわからなかったけど、とりあえずコーラルを部屋から出すことが出来た。


 




 さて。


「あなたが、精霊さん?」

 ようやく、半透明の空飛ぶ少女に向き合った。

 私がコーラルと話す間もふわふわと周りを飛び回るものだから会話に集中するのに苦労したんだ。


『そう、大気の精霊だよ』

 やはり、精霊だったらしい。


「はじめまして、じゃないんだよね? もしかしてずっと、ここにいた?」

『そう。ホタルがこっちに来た時からずっと、傍にいたよ。やっと気づいてくれて、嬉しい』


 やはり、聞き覚えのある声だったし、そうじゃないかと思ったんだけど、何度か声を掛けてくれてたのは彼女だったのか。

 っていうか、ずっとかぁ…なんか微妙に恥ずかしい…。精霊にプライバシーって通じないのだろうか?


「そういえば、なんで私の名前、知ってるの?」

 私の記憶が確かならば、私が名乗る前から私の名前を呼んでいたはずだ。


『精霊には好きな人の名前がわかるの。なんでかはわからないけど、そういうものなの』

「そうなの」


 笑顔でそう言い切られると、そういうものなのかと納得せざるを得ない。

 ってか、今のは告白と受け取っていいのでしょうか?

 まぁ相手女の子だし、半透明だし、そもそも生物と認識していいものかも不明ですけど。

 好かれてるのはいいことだけどね。


「まぁ一応、私の名前は青山蛍。 見守っててくれてありがとう。 あなたの名前は?」

 尋ねた途端、なんだか悲しい顔をされてしまった。なぜ??


『私には名前、ないの。まだご主人様持ったことないから』

「え、ご、ご主人様??」


 何やら怪しい単語を聞いてしまった。スルーしてしまいたかったけど、そういうわけにもいくまい…。


『精霊は、主人を持って、その主人のために力を使うの。主人のいない精霊は本来の力を100%出すことはできない。だから、ホタルに声を届けるのが精いっぱいだったの…』

「そうなの…。そのご主人様って、どうやったらなれるの?」


 聞いて、しまった、と思った。いや、むしろ嬉しい流れなんだけど、なんていうか、まだ心の準備ができてなかったというか、ご主人様の響きにビビってしまったというか。

 けど、目の前の美少女の顔には、みるみる微笑みが広がっていく。手遅れだ。


『簡単です。ホタルが、私に名前を与えてくれるだけで大丈夫』

 そう言いながら、期待いっぱいのまなざしで見つめてくる。なんていうか、かわいいです。イヌっぽい。ナデナデしてあげたい。


「私で、いいの?」

 一応、念のため確認。けっこう重要なことだろうし。


『いいの。むしろ、ホタルがいい!!』

 そこまで言い切られるのも逆に不安だ。


「私、こっちに来たばっかりなんだけど、私の何がいいの?」

『ホタルの魔力、とてもキレイだから。ずっと、ホタルの傍にいたい』

「…ありがとう」


 なにやら照れる。傍にいたいとか、こんな美少女に言われる日が来るとは思わなかった。

 魔力がどうとかはわからないけど、そこまで私を気に入ってくれてるんだし。右も左もわからない状態で、私の力になってくれるのは嬉しいしね。還るまでの間だけど、お願いしよう。


「じゃあ、あなたの名前は……ソラ」

 イヌネコに付けるんじゃないから、悩んだけど、大気の精霊だっていうし、この子の、元気な、なんだか気持のいいくらいの明るい笑顔のイメージで、青空のソラ。いい名前ではないかと思うのだけど…。

 ドキドキしながら彼女、ソラの顔をのぞきこめば、ブツブツと何かつぶやいていた。

 気に入らなかったのだろうかと耳を澄ませば、『ソラ・ソラ…私はソラ…』と何度もつぶやいていた。


「あの……」

『ありがとうございます、ご主人様。ご主人様のために、頑張ります!!』


 やっぱり違うの名前に…と思った矢先、今までの最上の笑みで決意表明された。

 うん、気に入ってくれたみたいで、よかった。



 

精霊一人、ゲットです☆


これから先を考えて、ソラの名前を変更しました。青空のソラちゃんでお願いします。

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