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プロローグ
――時は王国歴三百年。この日、遠き北の果てからもたらされた二つの知らせに、王都の民たちは歓喜し、そして涙した。
彼らにもたらされた一つ目の知らせは、建国の頃より続いた人魔の戦いが、魔王の死によって終結したということ。
そしてもう一つの知らせは――、
魔王を下した勇者、アレクシスの訃報であった。
これらの知らせは瞬く間に国中を駆け巡り、彼をよく知るある者は、果たされなかった約束を嘆き悲しんだ。また、ある者は彼の無謀に溜息をついた。そして、ある者は彼によってもたらされた安寧の喜びを愛する者とともに分かちあった。
たった三人の仲間とともに自らの命を賭し、世を脅かす魔王に挑んだアレクシスは、紛うことなき英雄であった。しかし、その英雄はもう居ない。
これから語られるのは、――英雄不在の後日譚である。




