読み切り
「今日も私の勝ちということで。」
「あぁ…今日も俺の負けだ…」
私の名前はメアリー。この魔法学校の2年生でただの貴族生まれの令嬢ですわ。強いて皆とは違うところを言えばこの学校で魔法を一番愛して、魔法能力全学年一位という事くらいかしら。
そして、今転んで目の前にいる彼はこの国の第一王子、ベル・クラウン様。私に次ぐ2位の実力者で来年に卒業。毎日彼から魔法バトルを挑まれる仲。
「ベル様、魔法の実力は着実に上がっていますわ。」
「…」
「では、失礼致します。」
そう言い私はベル様の後を去る。
それ以降、ベル様は私から姿を見せなくなった。
*
月日は経ち、卒業式。
そして、私の耳に嫌と言うほど聞こえてくる噂がある。
伝説の木の下で紙飛行機を飛ばして婚約をするとその2人は結ばれるという噂。
私はくだらないと脳内で一蹴しながら三年生の卒業式を見守り、ベル様が頭によぎる。
気のせいだ、と私は脳内で完結した後「待ってくれ!」と校門前で叫ばれた。
後ろを振り向くと見覚えのある顔が。
「あら、お久しぶりでございます、ベル様」
「俺と魔法勝負しろ。」
「あら、いきなりですわね」と私は杖を構える。
「ただし、負けたら相手のいうことをなんでも聞く。という条件付きだ。」
その言葉は私の頭を響く。
…ベル様、今日はいつもとは違う…というわけですか。
「いいですわ、最後の勝負受けて立ちましょう!」
「行くぞ…!」
その掛け声と共に、私とベル様は魔法を放ち合う。
数分後勝負は、私の負けで終わる。
「…ふふっ、強くなりましたねベル様。いえ、あなたは私よりも…」
その言葉はあえて言わないようにした。すごい叫んでる。
「…じゃあ着いてきてもらうぞ。」
「はい何なりと」
私はベル様の後をついて行く。
*
そして後をついて行く私を背に彼は何かを決したかのように振り向くと一つの紙飛行機を取り出す。
「ずっと、君を好きだった。魔法にストイックでこの紙飛行機のように真っ直ぐ飛ぶ君が。」
ベル様は、そう言うと紙飛行機を飛ばして、私の前に跪く。
「…え?」
「メアリー・スーン、俺と結婚して下さい。」
「…ほぇっ?」
第一王子ベルは、魔法の勝負では勝てなかったかもしれない。
だが、彼は、彼女の心を射止めることに成功したのだ。
これは彼女、メアリーが別の愛を知ることになった物語。
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