表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
07 原始ダンジョン偵察編
81/334

081話 イルアン攻防戦2


私は村長宅へ走った。

といっても隣なのだが。


村長宅の扉を叩き、声を掛けた。



「村長。村に魔物が迫っている!」


「なんだと!」



村長すぐに飛び出してきた。



「大至急自警団を招集して欲しい」


「わかった・・・ ああ、だがな・・・」


(うん?)


「この時間だとメンバーがいないかもしれん・・・」


「いるメンバーだけでいいんだ。招集してくれ。頼む」


「わかった」



村長宅から狼煙が上がった。

すぐに村長宅前に人が集まってくる。

20名の精鋭部隊。

手にはお手製の槍を持っている。



「皆さん。今、北門へ魔物をおびき寄せています。そこで奴らを殲滅します。では行きましょう!」


「「「 おおっ!! 」」」



ウォルフガングの待つ北門へ20名を率いて駆け足行進を始めた。



◇ ◇ ◇ ◇



東門。


ここにはゴブリンが接近していた。

ジークフリードが東門に到着するのと、守衛がゴブリンに気付くのがほぼ同時だった。



「魔物だっ!」


「ゴブリンかっ!」



ゴブリンまで距離がある。

ジークフリードはわざとのんびりと声を掛けた。



「どうする? 門を閉じるか?」



後ろから声を掛けられた2人の守衛はびっくりして振り向いた。



「ああ・・・ ジークか」


「おう。どうする?」


「いや、まだ女たちが外に出てる・・・」


「そうか。じゃあ、休憩中の2人を呼んでこい。4人掛かりで中に入ろうとするゴブリンどもを抑え込め」


「ああ、あんたは?」


「俺は門の外に出て女どもに声を掛けてくる。あそこの果樹林だろ?」


「本当か? 死ぬんじゃないぞ」


「わかってら。おまえらもな。ゴブリンとまともに戦う必要はないぜ。中に入れなきゃ勝ちだ」


「ああ。わかった」



ゆったりと東門の外に出たジークフリードは戦場予定地を見渡す。

ゴブリンのパーティ(ホブゴブリン1+ゴブリン5)が2つ。

何とかなるだろう。


後ろを見ると、もう守衛は4人に増えている。

よし。


果樹が植えられている方に走りながら、収穫に余念の無い村人に声を掛ける。



「お前ら、集まれ」


「え・・・?」


「ゴブリンどもが来た」


「ええっ!!」


「「 わーーーーーーーーっ!!! 」」


「パニックになるな。まだ終わっちゃいねぇ!」


「あんた? ジーク? 何とかしてよ。私ら助けてよ」



果物の収穫は主に女性の仕事らしく、老若7人の女性がジークフリードの元に集まってきた。



「ああ。そのために来たんだ」



ニカッと笑って見せて彼女らを安心させる。



「7人と。これで全員か?」



うなずく女達。



「いいか。俺の後ろに1列に並べ。足の速い順だ」


「わかったよ」



列を見ると年寄りが一番後ろだ。



「わしのことは気にするな。若い奴を先に逃がす。いざとなればわしも戦うわい」



そう言って収穫用のはさみを構えた。



「心配するな。ばあちゃんが門を潜るまで、俺は門を潜らねえ。じゃあ行くぜ」



門に向かって歩き始めた。




ゴブリンは二手に分かれた。

1つのパーティが東門に向かっていく。

もう1つのパーティはジークフリードに向かって走ってくる。


守衛ども、うまくやれよ。

そう祈りながらジークフリードは自分に向かって走ってくるゴブリンを見据えた。



「女ども。ここで待て。動くなよ」



そう声を掛けると、ジークフリードは剣を抜いてゴブリンのパーティに向かって走り出し、一気にトップスピードに入った。

ゴブリンどもは目を見張ってジークフリードを見ている。


ジークフリードは走りながら小声で「サンドストーム」とつぶやいた。


何の前触れも無くゴブリンの足下から砂塵が巻き上がり、ゴブリンどもの目を襲った。

突然の痛みと視界を奪われた恐怖からゴブリンどもは隊列を乱して混乱し始めた。


そこにトップスピードのまま突入したジークフリードは、ゴブリンどもの周囲を走り回りながら1体1体倒していった。1分も掛からなかった。


ホブゴブリン魔石1個、ゴブリン魔石5個を取り出し、女達に声を掛けた。



「終わったぜ。慎重に東門へ向かうぞ。走るなよ」



そう言うと一列になってそろそろと東門へ近づいた。




東門は守衛4名が横一列になって隙間無く並び、ゴブリンを寄せ付けていない。

誰もゴブリンを倒そうと突出していない。

間を抜かれないことだけ注意している。

統制が取れている。


ジークフリードはもう一度女達を待たせ、ゴブリン達の背後にそっと近づき、ホブゴブリンを一刀で倒した。

あとは殲滅するだけだった。



女達を門内へ入れ、東門を厳重に閉めた。



「後は任せた。俺は北門へ応援に行く。何かあったら北門へ伝令をよこせ」



ジークフリードは北門へ走り出した。



◇ ◇ ◇ ◇



南門。


クロエが南門に到着した時は、既に守衛とゴブリンの交戦が始まっていた。

守衛が4人横一列に並んでゴブリンどもを村に入れないように撃退している。

だが、門を閉めようとしていない。

クロエはおもむろに助太刀しながら聞いた。



「なんで門を閉めないの?」


「まだ外に女達がいるんだ」


「無事なの?」


「・・・」



こりゃ駄目だ。


クロエは隊列から外れると、村を囲む城壁を軽やかに駆け上った。

城壁の上から戦況を見る。


東門の前にいるのはゴブリンパーティ(ホブゴブリン1+ゴブリン5)が3つ。

西から更にゴブリンパーティが2グループ来るのが見える。


東門の方は・・・ 魔物はいない。


女達は・・・ 果樹林の中に隠れているな。



クロエは城壁から飛び降りて南門へ戻り、隊長に耳打ち。



「女達は果樹林の中に隠れているわね」


「そうか!」


「あなたがたは南門を閉めず、魔物をおびき寄せなさい。その間に私が女達を東門へ誘導するから。そのまま東門から入る」


「外に出るのか?」


「ええ。奴らに気付かれぬよう、ここから離れたところから壁を乗り越えるわね」


「済まぬ。女どもを頼む」


「任せなさい」



クロエは南門から充分に離れたところから城壁を乗り越え、外に出た。

身を低くして果樹林へ走る。

女達に近づくと、リーダーらしき女にそっと声を掛けた。



「静かに。みんな無事かい?」


「あんた、クロエかい?」


「ああ。一端南門から離れるよ。全員を集めなさい」


「わかったよ」



果樹林の奥へ女どもを誘導する。



「10人か。全員いるね?」


「いるよ」


「助けておくれよ」


「家にゃまだ小さい子がいるんだよ」


「クロエ・・・」



わらわら集まってくる女達に、クロエは柔らかな笑みを見せる。



「あたしに任せてよ。これから木の間を縫って東門へ移動するから。あたしの言うことを良く聞いて」


「ああ」


「頼むよ」


「足の速い順に一列に並んで。大体で良い」



やはり年寄りが最後に並んだ。



「心配することはない。全員門の中に入るまでは私も入らないからね。じゃあ、行くわよ」



時間は掛かったが、全員無事に東門までたどり着いた。



「冒険者クロエだ! 南門から女達を連れてきた。中に入れよ!」



すぐに東門が開き、全員城壁内に入った。



「クロエ、本当にありがとう・・・」


「本当に・・・」


「あたしに任せなさいって言ったでしょ」



涙ながらに縋り付いて感謝する女達の背中をクロエは笑ってさすった。


すぐに東門の守衛に向き直り、



「ジークはどうしました?」


「北門に向かいました」


「では私も南門に立ち寄ってから北門に向かいます。誰かに聞かれたらそう言ってね」



そう言うと、クロエは猛烈な勢いで南門へ走って行った。

皆あっけにとられてクロエの走りを見ていた。




クロエが南門に戻った時、辛うじて南門の守衛は持ちこたえていた。



「女達は中に入れたよ」



そう声を掛けると、守衛たちは



「「「「 オオオオオオ! 」」」」



雄叫びで答えた。



「南門を閉めろ!」


「「「 オオッ! 」」」



門を閉める間、クロエはウィンドカッターを撃ちまくってゴブリンを押し戻した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ