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平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
21 オリオル辺境伯領再び編
232/302

232話 クリーニング2


カタリナの臨時の助手になって1週間。

カタリナの鞄持ちとして金魚のフンのようについて回った。

カタリナが怪我人1人1人声を掛け、武功を愛で、励まし、生姜湯を飲ませている間に無詠唱で解毒し、治癒した。


コカトリスの毒で伏せっていた怪我人は全員快癒した。


守備隊18名。

冒険者15名。


今は体力と体のキレを戻して貰っている。


カタリナは『ノースウッドの聖女』と崇められるようになった。

ごめん。



◇ ◇ ◇ ◇



カトリーヌの要請に応じて領都オリオルから会計監査が来ている。


過去数年分のノースウッドの会計監査をしている。


酷いことになっている気配があるが、聞かないようにしている。


近寄らないようにしている。



◇ ◇ ◇ ◇



会計監査は騎士団の護衛付きで来ているので、ノースウッドの治安は騎士団にお任せできる。

監視役(兼)案内役としてカタリナ隊長とカトリーヌは監査に同行中。




ということでウォーカーはコカトリスの数を減らす。


カタリナの情報を得てから討伐が非常に楽になったので、目標を大きく掲げる。


目標50匹。


50の意味?

タイレルからオリオル領へ向かったと推測されたコカトリスが100匹。

その半数を討ち取ろうという意気込み。

実際には繁殖してもっと増えているだろうけど。



そして真の目的はこちら。

各自新たな技に挑戦している。



ウォルフガング


 火槍、火矢を魔物の背後に出すのに苦労している。

 敵の注意を後ろに向けるため、または不意打ちのために絶対必要、と言って

 訓練しているが難しいらしい。


  「やはり儂はどうしようもなく不器用だ・・・」


 ソードオブヘスティアの柄を握り締めたまま目が据わっている。

 ちょっと怖い。




ジークフリード


 土さえあれば砂、石、岩を自在に操るので不便を感じないが、ダンジョンが鬼門。

 砂持ち歩きによる目潰し以外の有効打を模索中。


  「何か面白いもんないかな?」


 と聞かれたので相談に乗った。

 ちなみに『砂みたいなもの』なら砂に混ぜてしまえば一緒に扱えるという。


 小麦粉を混ぜて貰った。

 ジークが砂嵐をぶちかました後、モウモウと粉が舞ったところに火を付けたら

 爆発的に燃えてくれた。


  「いけるぜ、オイ!」


 小麦袋も携行してもらう事になった。




クロエ


 一時期空気砲(衝撃波)に取り組んでいたクロエだが、ここにきて風刃

 (ウィンドカッター)の威力向上に余念が無い。

 もともと風刃は見えない刃として、セルフ二刀流として、手裏剣代わりとして

 便利使いこなしていたクロエだった。

 その殺傷能力を上げようとしている。


 フェリックスを思い出す。

 ブラックサーペントを骨まで断ち切る切断力。

 誰にも気付かせずホブゴブリンの首を落とす隠密性。


 クロエはウォーカーの中でも最も恐ろしい人かもしれない。




ルーシー


 氷魔法を苦手とする水魔法の使い手。

 放水の威力向上に取り組んでいる。

 以前、私がチラッと教えた『ウォーターレーザー』を習得しようとしている。

 なるべく強く、なるべく細く。


 コカトリスはルーシーの高圧放水を喰らうと100%戦意を失う。

 ルーシーはコカトリスの天敵になりつつある。




マロン


 私は気付いていなかったが、出会った頃に比べると、倍の索敵距離を獲得するに

 至った。

 ウォーカーと行動を共にしてから珍しい魔物に遭遇する経験も増え、初見の魔物

 でも脅威度がわかるようになった。

 このまま精進して欲しい。




ソフィー


 魔剣Nagaを使いこなそうとしている。

 魔剣Nagaを使うと威力が強すぎて魔法が雑になりがちだという。

 今の課題は弱い魔法を弱く撃つこと。


  「ゆっくり冷やす、時間を掛けて冷やす、微かに霧を纏わせる・・・

   そんなところだな」


 弱い魔法にどんな意味が?


  「Nagaに頼りすぎると魔法の扱いが雑になる。技が甘くなる。

   Nagaが凄すぎてそれに気付かないのだ。

   そしていつの間にか使えていた魔法が使えなくなる。

   それを防ぐために魔法が顕現する過程をじっくりと見る。

   それが見えやすいのが弱い魔法なのだ」


 なるほど。ではせっかくの霧なのでナーガのように毒を含ませたいですね。


  「ふむ。お前のポイズンとの合わせ技か。気付いたときには全員致死毒を

   受けている、と。 なかなかえげつないな」


 早速テストしてみた。

 ソフィーが霧を作り、私が霧を被毒させ、ソフィーがコカトリスの潜む茂みに

 そよそよと送り届けた。


 結果は悪魔の所業だった。

 コカトリス共は声一つ上げず、苦悶の表情を浮かべて息絶えていた。




ビトー


 (騎士団に渡してしまったが)エンシェントリザードの魔石を見てから

 エリアヒールについて考えていた。

 エリアヒールは一度に多くの怪我人を癒やせる魔法だが、魔力消費効率は

 変わらない。

 100人癒やすには100人分の魔力が必要だ。

 エリアヒール、必要かな?

 今後、あれば助かった・・・という修羅場は出てくるだろうか?


 治癒が必要ない者にエリアヒールを掛けるのは無駄だ。

 対象を明確に意識してエリアヒールを掛ける必要がある。

 面倒くさい。

 ならば2人同時にヒールを掛けたらどうだろう?

 傷の深さを確認せず、大雑把にヒールを掛けっぱなしにするイメージに

 なってしまうのだが。


 今、3人同時にヒールを掛ける訓練中。

 前衛は3人だからね。




というわけで、各自目的を持ってコカトリス退治に望んでいる。

誰かが行き過ぎないように、ウォルフガングとソフィーが全体に目を配っている。

こういうパーティに所属するのは本当に楽しい。



門から出て少し待っていれば先方コカトリスから勝手に襲って来てくれる。

各自新技を確かめながら返り討ち。

毒霧だけは風向きに注意。


障害物に隠れて出てこないときは丸ごと燃やすか、非人道兵器(毒霧)で対応。


メンバーがどんどん強くなっているのがわかる。




最後。

ウォルフガングがコカトリスの背後に火槍、火矢をスムーズに出せるようになって訓練を兼ねたコカトリス討伐を完遂とした。


すでにノースウッドの正門周辺はコカトリス共は寄りつかなくなっていた。



討伐したコカトリスは59匹。

魔石だけ抜いて、遺体は荼毘に付した。



ノースウッドに戻った。




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