200話 カネルの森の成立
短編になっております。
カネルの森の南側ではシナモンの木の栽培が大々的に始まっていた。
ユミの尽力のお陰で岩の森とカネルの森にとって貴重な外貨獲得の切り札になるという。
アイシャが宣言した。
「少々早いが新たなラミアの里と認めよう」
ワッと湧くラミア達。
泣いているラミアもいる。
私はとっくの昔に3番目のラミアの里と認識されているものと思っていたら、全く違うという。
アイシャのお墨付きを貰わないと正式なラミアの里にならないそうだ。
そのお墨付きも2年で貰えるなど相当早いらしい。
シナモンの栽培。
当初は一度木の皮を剥いで収穫したあと、どうやって次の収穫に繋げるのか難儀したらしい。
色々と試行錯誤され、今は確立された方法がある。
相当頑張ったんだな。
これからは一本足打法ではなくて別の収入の柱も検討してね。
◇ ◇ ◇ ◇
カネルの森の北の外れに私とアンナマリアとアレクサンドラとアルマがいる。
アルマのお見送りである。
「皆様に頂いたお力添え。決して忘れませぬ」
「無事代替わりがされたこと、祝着至極にございます」
「ビトー様とエマ様にはどれほど感謝してもし切れませぬ。準備が整いましたら御礼に伺います。それまでご壮健でいて下さいませ」
そう言うとアルマは風景に溶け込むように姿を消した。
どうも夢魔の能力を持ったまま魔女に転職したようだ。
歴代魔女のなかでも相当強いのではなかろうか。
アイシャとアレクサンドラがカネルの森を辞去するのに合わせ、私とエマもお暇することにした。
カネルの森のラミアは全員若いので成人病の心配は無いと思うが怪我はある。
「何かありましたら呼び出して下さいませ」
そうアンナマリアに言い残し、アイシャとアレクサンドラに背負われながら辞去した。
族長の背に乗るなど恐れ多いのだが、アイシャがエマを離さないので仕方ない。
私はアレクサンドラにしがみ付いて移動した。
私とエマが岩の森まで帰ってきたのは、王立高等学院の休暇も終わろうかという時期だった。




