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平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
18 カネルの森の成立編
194/269

194話 調査


ラミアの調査隊がミューロン川沿いに北上している。

人数は10名。

新たに岩の森で編成されたランナバウト隊。


総隊長はアンナマリア。

小隊長にクリスタニア、コンスタンス、ジャネット。


3人の小隊長の下に3名ずつ隊員がいる。

いずれも100歳未満の若いラミアから選抜された。

選抜基準は戦闘馬鹿ではなく、植生に詳しい者、魔物の生態系に対する理解の深い者、調理の得意な者が選ばれている。



彼女らは川沿いに点在する小さな森を縫うように進む。

森を一つ一つ調査していく。


移動の際の休憩場所として使えるか、食料を調達できるか、有用な動植物はあるか、防衛拠点として使えるか、チェックしながら進んだ。



そして目的の森に達した。



◇ ◇ ◇ ◇



アンナマリアの前に下調べを行った調査隊は森の奥まで踏み込まず、森の周囲に人間がいないこと、最寄りの人間の集落までの距離、将来人間が進出してくる可能性を掴むことを主な調査目的としていた。


調査結果は、

 ・森の周囲に人間はいない。かつて村があった形跡もない

 ・最も近い人間の集落は100kmほど離れたコナハラ

 ・コナハラにはダンジョンがあり、コナハラはダンジョン都市になる


ここまで聞くとコナハラの町は栄え、人間の経済圏が拡大して行くように見えたが、報告は逆だった。

コナハラのダンジョンは徐々に縮小に向かっていく寿命を迎えたダンジョンだった。


ダンジョンに引き摺られるようにコナハラの町は衰退に向かっていた。

そして神聖ミリトス王国の崩壊が追い打ちを掛けた。



コナハラは無政府化地帯のど真ん中にある。

治安悪化の煽りを受けてコナハラの町はうらぶれ、住民流出に歯止めが掛からない。

本来なら冒険者が減ったことでスタンピードを警戒しなければならないが、ダンジョン自身が継続的に衰退しているため、冒険者の常時手入れが必要無いほどの魔物の数に落ちてしまっていた。


近くコナハラの町は消滅するものと判断され、ラミアの進出の妨げとなる人間はいないと結論付けられた。



アンナマリアは森の調査に専念することができた。



◇ ◇ ◇ ◇



森の中に豊富な湧き水があり、水には困らない。

湧き水は小さな流れを作ってミューロン川に流れ込んでおり、水が澱んだり腐ったりしている箇所は無い。


森の生態系は原生林のそれだった。

植物・動物共に多種多様で、短時間で全種類を網羅することは到底できない相談だった。

そこでラミアを脅かすような強い動物(魔物)、強毒性の植物、伝染病、寄生虫に絞って調査を行った。


その結果、高脅威度の魔物としてベアー系(レッドベア)がわずかにいた。

扱いに注意が必要な魔物として蜂系 (キラービーの巣)が見つかった。

食料となる動物は多種見つかった。


毒性の強い植物はいくつか見つかったが、岩の森のそれと変わらなかった。

また、植物を探す過程で樹皮に独特の香気を持つ樹木が見つかった。

これが毒なのか無毒なのか判断が付かず、一本持ち帰ることにした。


伝染病、寄生虫については短期探索中に影響が出るような物は見つからなかった。

また森に定住する多種の動植物を観察したが、影響は見受けられなかった。(健康に見えた)



森の標高はミューロン川から一段高い位置にあり、洪水時に水を被る危険性は低いと判断された。

ミューロン川の反対側にも森が広がっており、そちらの方が低いため、水は対岸に溢れるだろう。




アンナマリア率いる調査隊は良い感触を持って岩の森へ引き揚げた。




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