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平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
17 オリオル辺境伯領編
191/270

191話 S級アラート


「「「 S級アラート!!! 」」」



突如サンフォレストの街中に大音量の警報が鳴り響いた。


自警団が掛けだしていく。

何か合図をしながら走って行く。


守備隊も掛けだしていく。

騎士団も走って行く。


走って行く方向は南。

南に城門はない。

城壁で守られているはずだが何だろう?



えっと。

私達は何をしたら良いかな?


我々は一番後ろから付いていく。

途中で乙女隊と合流。


カトリーヌに聞いてみた。



「何があったのですか?」


「わかりません。ですがS級アラートの場合、城壁を破られる可能性があります」



城壁の高さ・厚さを思い出しながら、あの城壁を壊せそうなものってなんだろうと疑問を感じた?

それとなくカトリーヌに訊く。



「レッドサーペントやワイバーンの襲撃が該当します。記録に残っているS級アラートは74年前の大冷害の年です」


「はい」


「人間はもとより、森に棲む全ての魔物が飢餓に陥りました。そしてレッドサーペントが6匹、サンフォレストの街に押し寄せました」


「はい」


「レッドサーペントから見れば人間は立派な食料です。本能に従って、普段は足を踏み入れない人間のテリトリーに踏み込んできたのです。

領都から騎士団が応援に駆け付けるまでの5日間、サンフォレストは城門を固く閉ざして耐えました。ですが当時の城門・城壁は今よりも低く、薄く、何度もレッドサーペントの攻撃(体当たり)を受けているうちに城壁の一部が崩れ、街中に侵入を許したのです」


「・・・」


「守備隊と自警団が死力を尽くし、多大な犠牲を払いながら騎士団が到着するまでの時間を稼ぎ、最後は騎士団が退治しました。その後、城壁と城門は今の物に作り直されたのです」



レッドサーペントか。

ソフィーを見る。

ソフィーは首を横に振る。



「冷気を使ったやり方はダンジョンのような閉鎖空間なら効果的だが、オープンスペースでは効果が薄い。今が冬ならまだいけるのだが・・・」



さてどうしようか、と考え込む私に



「レッドサーペントと決まったわけじゃない。確認に行くぞ」



と声を掛けてエマを抱えて歩き出すソフィー。

ソフィーの後ろにゾロゾロとついて南の城壁へ向かった。




南の城壁に着くと、城壁の上にずらりと守備隊が並んで外を見ている。

一点を見ているのではなく、何かを探している。

城壁へ登る階段の下には人だかりがしている。


カトリーヌが近付くと人垣が割れた。

人だかりの中心に座り込んでいる守備隊員がいて、彼に事情聴取しているようだ。

カトリーヌが聴取に加わった。

乙女隊は後方で待機した。



やがて聴取を終えたカトリーヌが戻ってきた。

カトリーヌは乙女隊に側に集まるように合図。

皆で額をよせてひそひそ話。



「サーペントの魔物を見たようなの」


「城壁に攻撃は加えられたのですか?」


「いいえ。見ただけよ」


「その魔物はどこへ?」


「すぐに森の中に消えたらしいけど・・・ いま城壁の上から南の森を探っているけど確認は出来ていないわ」


「はい」


「ただね・・・ 私も守備隊隊長も騎士団隊長も半信半疑なのだけど・・・ 彼はラミアを見たというのよ」



しばし沈黙の時間が過ぎた。

私とソフィーとマキの沈黙と、オルタンスお嬢様とカトリーヌとアナスターシアの沈黙の質が異なるのは致し方ない。



「まあ、見間違いだと思うのよ。いままでオリオル領でラミアの目撃情報なんて一度もないし」


「そうですか。でも油断はされないように・・・」



ソフィーに抱き抱えられたエマが、くいくいと私の袖を引く。

エマの索敵情報が私に共有される。

南の森の中に誰かいる。

3人。

私が鑑定の焦点を合わせると・・・


エマに顔を寄せてニッコリと微笑む。



「エマ。でかしたぞ」



エマもニッコリ微笑む。


カトリーヌに向き直り、


「お客様がいらしたようです」




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