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平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
16 王国高等学院編(2年生)
180/269

180話 研究


真・荒神祭とその事後処理、そして王立高等学院のTOPすげ替えで学院の開店休業が続いていた。


だがその間も研究者の日常は揺らぐことは無い。

つまりラファエル教授とミゲル教授の研究は進んでいた。


通常の授業が行われないので、私とマキは魔道具学教室に通っていた。

いつもラファエル教授とミゲル教授が喧嘩をし、何かに没頭し、また喧嘩をし、時折一緒に快哉を叫んでいた。


そしてマキの土魔法に対する疑問から始まった研究は実を結ぶときが来た。

マキの疑問を抽出して具現化して固定化した魔道具が完成した。


今、魔道具教室で完成した魔道具を見ている。



「どう使うのですか?」


「この制御用の魔石に魔力を流すと魔道具ごと浮かび上がるのだ」



早速やってみる。



「おお・・・」


「これは・・・」



魔石がはめ込まれたガラス板状の魔道具がフワリと浮き上がった。

そこまでは良かった。

ふわふわと上昇し続け、天井についた!


え~っと。

どうするんだ、これ?


ラファエル教授とミゲル教授も天井を見上げて「ほー」とか「へー」とか言っている。



「これ、どうやったら手元に戻ってくるんですかね?」


「制御用の魔石から魔力を抜くのだ」



手が届かないんだが。


というか、これ室内で実験したから良かったけど、屋外で実験したら魔道具はどこかに飛んでいってしまったということ?



「そういうことだな」



ミゲル先生・・・



取り敢えず机の上に椅子をのせ、その上に立って、手を伸ばして魔道具の魔石から魔力を抜いた。

魔力が抜けるに従って、魔道具はそろそろと下がっていった。

一応ON/OFF制御じゃない。

コントロールは出来そうだ。



魔道具に紐を付けて机の脚に縛り、制御用の魔石にほんの少し魔力を流した。

ほんの少し浮いて止まった。


もう少し魔力を流した。

更に少しだけ浮く高さが上がった。


しばらく感動して見ていたら、マキがその辺にあった物を魔道具の上にのせ始めた。


マキが何をしたいのかわからない。

だが魔道具は浮かんだまま、少しも下がらない。


マキがしたいこと・・・ そういうことか!


魔道具の上に手をのせてみた。

ちょっとわかりにくいが、浮力が感じられる。


ほーーー。

これはこれは。



「何一人で納得してるのよ」



マキが小突いてきた。



「え~とね。説明しづらいな・・・」



ラファエル教授とミゲル教授は現象については理解されているらしい。

両教授に聞く。

この魔道具板に物を乗せると重い/軽いは関係なく、浮かせることが出来る。

だが重いと魔石の魔力消費が大きいようだ。


だそうです。



「何が『だそうです』よ。わかりやすく言ってよ」


「多分だけど重力操作じゃないかなあ」


「え・・・」


「この魔道具、翼で発生する揚力や噴射の反動とか全然関係ないでしょう?」


「え?」



マキさん飛行機が空を飛ぶ原理をご存じありませんでした。



実演してみることにした。


魔道具に慎重に跨がって、自分の体が魔道具と一体化するようにする。

制御用の魔石にソロソロと魔力を流す。


まだ飛んではいない。

だが不思議な感じだ。

魔道具が私の体を押し上げているのではない。

私の体自体が軽くなった様な気がする。


もう少し流す。


体重が無くなった様な気がする。

無重力のような気がする。

まだ飛んではいない。


ほんの少し流す。


・・・

・・・

浮いた・・・



これ、ひょっとすると物流に革命が起きるかな?


この魔道具、譲ってもらえないか訊ねたら、研究用に必要なのでもう少し待って欲しいとのことだった。了解した。




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