175話 (幕間)暗躍2
ウォルフガングがマーラー商会ハーフォード支社にクエストを発注している。
クエスト内容はベルトゥーリ公爵領、ピントゥー二伯爵領、ラピーネ侯爵領、シモネッティ伯爵領の地下情報の収集。
この様なクエストを冒険者に発注すると、探っていることが相手にバレてしまう確率が高い。
一方貴族の情報網は急にだんまりを決め込むものだ。
だからウォルフガングは商人の伝手を利用する。
つまりマーラー商会の情報網。
更には商会同士の横の繋がりを最大限に利用する。
商人の情報は、早い・高い・正確。
多少高くてもよろしい。
良い情報には適正な値を付けよう。
情報の目利きは商人の方が上でしょう。
集まってきた情報を聞く。
まずベルトゥーリ公爵領から。
奴隷落ちしたエリオ・ラピーネ、オルティス・シモネッティはベルトゥーリ家で
買われ、そのまま匿われている。
ベルトゥーリ公爵は3男のコジモ・ベルトゥーリを強力に後押ししている。
既に成人した跡継ぎがいて、ぼんくらではないにもかかわらず、である。
これは他家に婿入りさせ、乗っ取ることを画策していると予想される。
そのコジモ・ベルトゥーリはハードに鍛えられている。
領内の武器屋に対し、最も値の張る武器を献上するように通達が出ている。
商人からは 「冗談じぇねぇ。また何かとんでもないことを企んでいやがる」
ともっぱらの評判。
オーク、オーガの生態を調べるよう冒険者ギルドに依頼がでた。
2度に渡り、騎士団が出立する。目的不明。
公爵邸に大量の遺体が運び込まれている。その数約80。
騎士団員と思われる。
次にピントゥー二伯爵領から。
ピントゥー二領の冒険者ギルドにオーク、オーガの捕獲クエストが出たが
断られている。
その後ピントゥー二騎士団が出立した。目的不明。
伯爵邸に大量の遺体が運び込まれた。その数約60。
多数の他領の騎士団員が伯爵邸に出入りしている。
紋章からベルトゥーリ騎士団と判明。
再び伯爵邸に大量の遺体が運び込まれた。その数約90。
運び込まれた遺体はその一部が送り出された。
行先不明。数およそ80。
ラピーネ侯爵領から。
侯爵邸の人の出入りが激しい。
紋章からベルトゥーリ公爵領の使者と判明。
侯爵から大商人に借り入れの打診がある。
領地経営は破綻していないので理由が読めない。
シモネッティ伯爵領から。
伯爵邸の人の出入りが激しい。
紋章からベルトゥーリ公爵領の使者と判明。
伯爵から大商人に借り入れの打診がある。
こちらも領地経営は破綻していないので理由が読めない。
ウォルフガングはにんまり笑った。