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平凡勇者の異世界渡世  作者: 本沢吉田
11 聖ソフィア公国編
123/269

123話 王都散策


オーウェンに数日王都に滞在して欲しいと頼まれた。

屋敷は自由に使ってくれて構わない。

話し合った内容について、今の王宮の方針とどこまですり合わせが出来るか探るらしい。


公爵夫妻はこの機会に穏健派貴族の間を回るという。

数少ない穏健派貴族の結束を固めるようだ。


ソフィーと私はマグダレーナ様の護衛として付き添うつもりだったが、マグダレーナ様は公爵の護衛騎士と一緒に行動するので自由にしてよいとのこと。





王都を見て回ることにした。


公爵、マグダレーナ様にとっては慣れ親しんだ王都だが、ソフィーと私には見慣れぬ大都市だ。


前回訪れたときはメッサーで発生したスタンピードの調査報告で、駆け足訪問だった。

王宮に滞在しただけで王都は見ていなかった。

今回は特に用件を仰せつかっていないのでゆっくり出来る。



まずは王都の冒険者ギルドへ行ってみた。

商業地区を南北に貫くメインストリートから一本裏に入った筋にでっかい金看板が掛かっていた。


 『ブリサニア王国冒険者ギルド ジルゴン本部』


随分気合いが入っているな。


立派な扉を開け、中に入る。

ソフィーの忠告を受け、ギルド内に入ったら待ち合わせの相手を捜すフリをして、すぐに冒険者の群れの中に潜り込んで周囲を見渡す。

それだけで何割かの視線を逸らすことが出来る。

そして椅子にどっかりと座って周囲を見るともなく見る。


見かけない冒険者がいきなり受付に行くと絡まれるらしい。

はい。ごめんなさい。

サン=フーリエの冒険者ギルドでは素人丸出しでした。



朝のクエスト受注ラッシュの時間帯は終わっていたので、ギルドの中は空いている。

特に絡まれることも無く、中に入れた。


早速ソフィーの勉強会が始まる。

小声で問題を出される。



「ここにいる冒険者どもをどう見る?」


「D級からF級冒険者と見ましたが、一人だけ高位の冒険者がいますね。B級でしょうか」


「そうだな。彼らは何をしていると思う?」


「何かを待っている雰囲気がありますね。中途半端な時間に公示されるクエストを待っているのかな」


「そうだ。役人の認可が必要なクエストが遅れて公示される場合や、報酬の良いクエストが遅れて公示される場合がある。恐らくそれを待っているのだ」


「B級の人が待っているとはかなり実入りの良いクエストなのでしょうね」


「そして難易度の高い、な」



受付嬢が空の掲示板に新たなクエスト票を次々に貼りだしていくと、残っている冒険者達がワッと群がった。

同一クエストの奪い合いが多少あったものの、次から次へとクエストが受注されていく。

うん。

気持ちいい光景だね。


殆どのクエストが捌け、冒険者も九割方いなくなった頃。

B級とおぼしき冒険者がまだ掲示されているクエストを睨んでいた。

やがてなぜか私とソフィーを睨み、何か言いたげな感じだったが、何も受注せず、黙ってギルドから出て行った。



「どうしたんですかね?」


「おそらくあの冒険者はソロだ。ソロだと手に余るクエストだったのだろう」


「なんで私らを睨んでいたのでしょう?」


「私とお前のコンビが受注すると思ったのではないか」




ギルドに残っているのが朝から飲んだくれている駄目人間だけになった頃、ソフィーと掲示板を見に行った。


B級冒険者が見ていたクエストはこうだった。



========================================

 <至急>

イルアンダンジョン3層階のボス ブルーディアの角と毛皮

買取値:○○○○

========================================



ソフィーと顔を見合わせた。



◇ ◇ ◇ ◇



マーラー商会の王都店を見に行った。

この店の店員とは一切面識がないので、あくまでも一冒険者として見に行った。

そして後悔した。


お客さんは貴婦人ばかり。

そしてお金持ちばかり。

ええ。

我ら下賤の貧乏人には縁の無いお店でした。


婦人服は実用性皆無の贅を凝らした服しか置いていない。

紳士服は貴族服しか置いていない。


ソフィーの下着を見ようと思ったけど、ドアマンと客から白い目で見られながらスゴスゴと退散した。



◇ ◇ ◇ ◇



武器屋。


さすがは王都の武器屋だけあって、

武器は 剣、槍、斧、短剣、鎚、棒、弓、弩・・・

防具は 全身鎧、胸鎧、鎖帷子、革鎧、大盾、小盾、脛当、籠手、兜・・・


ありとあらゆる種類とサイズ。

新品、中古。

そして金額に合わせて各種品質のものが取り揃えられている。

その数と種類に圧倒される。


しばし呆然としたのちソフィーを見ると、いつもの表情で棚を眺めている。

こそこそと話す。



「ソフィーが欲しい剣はありますか?」


「ない」


「値段? 性能?」


「両方だ。お前に貰ったロングソードアクセル。ここにはこれを超える剣は無い」


「そうですか。防具は?」


「オーガシールドを超える盾は無いな。鎧はどうだろう」



ソフィーは、鎧は既製品を使っている。

良い物があれば買いたいが・・・ 無さそうだな。



「これがいいかな」



ソフィーが選んだのは革鎧を金属のリングで補強した、いかにも軽そうな奴。

ルーシーの鎧でした。



◇ ◇ ◇ ◇



道具屋。


ポーション各種。

HP回復ポーション(下・中・上)。

MP回復ポーション。

特級ポーション(解毒)。

超級ポーション(解呪)。


解毒ポーションは置いておらず、特級ポーションが置かれていた。

解呪ポーションはケースに入り、客の手が届かない高い棚に飾られている。

見覚えのあるマーラー商会の封印がある。


―――――


各属性の魔石。

大きな魔石は王都騎士団がまとめて直買いするので、ここにあるのは中~極小。

火の魔石、水の魔石が各サイズ揃っている。

風の魔石、土の魔石は小しか置いていない。

光の魔石、闇の魔石は無かった。

属性の無い魔石はジャンク扱い。


クリムゾンリザードの魔石は無かった。


―――――


魔術具各種。

ライトの魔道具。ハミルトンでも見た奴。それなりのお値段。


―――――


魔術師の杖。

各属性の杖が揃っている。

説明書きを見ると魔力の通りを良くするはずだが『性能は保障しない』とある。

イルアンダンジョンで入手した、スケルトンメイジの杖、リッチの杖、炎杖などのように、魔力強化が保障された杖は売っていなかった。


―――――


各種呪文書・巻物。

これは中を開いて読むわけにはいかず、説明書きを信用する。

火球を出す呪文書。

通常のヒールの30%ほどの効果を有する呪文書。(凄く高いが、ミリトス教会の治癒よりは安い)

麻痺を解消する呪文書。


※ 基本的に呪文書は1回使用すると効力が失われる。


魔法を憶える魔法書は無かった。


―――――


癒やしの指輪。

通常のヒールの10%ほどの効果を有する。

使い切りでは無いため物凄く高いが、ミリトス教会の治癒を頼むよりは良い。


―――――


腕輪には、これといったものはない。


―――――


ネックレスはダンジョン出土品のような特殊効果を持つものは無い。

ソフィーの首元に輝くような逸品は一つも無い。


―――――


トレントの樹皮。

売っていた。高い。

呪文書を作るときに使うそうだ。


―――――


護符。

お守りなので気の持ちようらしい。

呪文書のように確実に効く訳では無い。

従って安い。


―――――


鑑定水晶。

簡易鑑定ができる水晶。ミリトス教徒の炙り出しには使えないそうだ。


―――――


コンロ。

火属性の魔石が使われている携帯コンロ。

ダンジョンの安全地帯で料理でもするのかな?


―――――


ローブ。

魔術師が羽織る衣。

物理攻撃に対する防御は期待できない。

上級版になると呪い耐性が付与されたりするらしいが、商品棚には並んでいなかった。


―――――


マジックバッグ。

売っていたのは(小・極小)のみ。

それすらケースに入り、客の手が届かない高い棚に飾られている。

値段は・・・

見なかったことにする。


フェリックス様っ! フェリックス大明神様っ!!



◇ ◇ ◇ ◇



酒屋。


レントの誉。

在庫あり。ハーフォード領で求める値段の1.5倍。


ハミルトンの雫。

在庫あり。ハーフォード領で求める値段の2倍。


ハーフォードの月。

在庫なし。


外国の酒もあった。




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