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体育祭編 4話体育祭開催

暁学園に沢山の人が集ってくる様子を私達は教室の窓から眺めていた。


「こんなにくるんだ……」

「生徒の家族はもちろん。他校の教師や生徒の小学校時代の友人なんかも来るらしいからね。」


りゅうが優しく答えてくれる。


「みんなのとこは家族くるか?」


晴輝はるきが聞いてくる。


「僕の家は全員くるよ。両親と弟。」


桐山きりやまくんが最初に答える。それに続いてはじめも答える。


「ぼ、僕のうちも、くる。両親と兄さんと、おばあちゃん。僕よりも盛り上がってて……。」

「あっはは!うちもだよ!両親と姉ちゃんと妹!」


晴輝が笑いながら言う。


「へぇ。みんな兄弟いるんだ!」


里恵りえが軽く興味を示す。私も3人の方を見る。


「おう。4つ上の姉ちゃんと、6つ下の妹!」

「結構離れてる方じゃない?」

「そうだな。でも、一の方が離れてるだろ!?」

「そうなの?、お兄さんだったよね?何歳差?」

「じゅ、14………。」

「14!?結構離れてるね。」

「う、うん。」


話で盛り上がっているとチャイムがなり放送が入る。


「8時40分になりました。生徒の皆様はグラウンドにあるテントへ移動してください。」


放送が終わると直人なおとが軽くニカッと笑って口を開いた。


「んじゃ。そろそろ移動するか!」


私達はそれぞれ青色の鉢巻を巻いて教室を後にした。





***





グラウンド

私は指定の座席に集まる。ほとんどがソワソワしているのが目に見えて分かる。


「盛り上がってるわね。」

「!!」


声のした方を私は向く。優しく微笑み長い髪をポニーテールにした“先輩”がこちらに向かって歩いてきた。私は微笑み返して口を開く。


天鬼あまき先輩。」

「前会った時があんな状態だったから様子を見にきたけど……大丈夫そうね。」

「ははっ、その節は本当にお世話になりました。体育祭!頑張りましょう!」

「!!」


先輩は少し驚いた。でもすぐにさっきとは少し違う笑みを見せて答えた。


「うん!」


私も笑みを返す。3年の席の方から「夢羽ゆめはぁー!」と、先輩を呼ぶ声がし、先輩は私に軽く手を振り席に帰っていった。先輩の後ろ姿を見た時私はふと、先輩があの時少し驚いていたのがなぜなのか疑問に思った。





***





「それではプログラムNo.1、玉入れを行います!出場者と、係の役割がある人は準備してください。」


開会式が終わり、早速競技が始まろうとしている。と、玉入れ、私も準備しに行かなくちゃ。


「一。行こっ。」

「あ、う、うん!」


私達は小走りで器具テントへと向かった。



***



私の玉入れでの役割は始めと終わりのピストル。ヘッドフォンをつけ、マイクを持ち、場所にスタンバイする。


(がんばれ〜……青団……!)


なんて軽く思いながらスタンバイをしている選手たちを見る。


「それでは!選手達の入場です!」


放送がかかり、音楽が鳴り始める。それと同時に電子ホイッスルが選手の前にいる係委員が鳴らす。ホイッスルの音と同時に選手たちは足を動かし入場する。


「プログラムNo.1、玉入れ。選択種目の一つです。中等部、高等部、一団どちらも6人ずつ、計48名の生徒による玉入れです。」


途中からは放送が鳴り、みんなを余計緊張に誘う。誰か知り合いいるかな…?あ、桐山くんだ。緑団には叶那かなたちゃんもいる。桐山くんは緊張しているように見えるけど、叶那ちゃんはすごく楽しそうだな。

ピーピッ!ピッピッピッ!

うわっ、もう移動完了してる。気づいたら音楽も止まってるし……。移動の誘導した係委員は小走りで器具テントへ戻っていく。次の仕事は私の番。私の初仕事。私は少し目を瞑り、一息つく。ピストルを上へあげ、下げていたマイクを口元に持っていく。


「よーい!!」


私の声がグラウンドに響く。私がピストルの引き金を引く。バンッ!!!と、大きな音が鳴ったのと同時に全員が騒ぎ出す。

団席や観客席から聞こえてくる声援、かかり始める音楽、そして実況。すごい、熱気。まだ6月だっていうのに。梅雨に入り、天気が不安定な中、今日は綺麗な青空が広がっている。普段は暑苦しいの嫌だけど、この雰囲気。悪くない。まだ、私はピストルを押しただけなのに…………


「楽しい……」


思わず小声で呟く。これは……この先も期待できる。なんて軽く思いながら体育祭が本格的に始まっていった。





***





「それではただいまから15分間の休憩に入ります。生徒の皆様は校舎内のお手洗い。来場者の皆様は体育館、または_____」


アナウンスが流れて周りの人たちがゾロゾロと動き出す。


いのりちゃんお手洗い行く?」

「あぁー、混みそうだから別にいいかな。里恵は?」

「祈ちゃんが行かないなら私も別にいいかな」


里恵が話しかけてくる。私が行かないならいいかなって、なんなの?って、ちょっと笑いが込み上げてくる。


「祈。」


名前を呼ばれ、私と里恵は声の方を見る。


「琉くん!直人も!」


私より先に里恵が2人の名前を呼ぶ。いつもの笑顔を見せて「よおっ」と、軽く手を振っている。


「祈、次の競技出るんだよね」


琉が聞いてくる。次の競技は借り物競争。私が選択した競技だ。


「うん。」

「何かあったら言ってね!絶対協力するから!」

「ありがとう。」


里恵が両手でガッツポーズを見せながら私に言う。私は軽く笑い、礼を言う。琉や直人もそんな光景を微笑みながら見ていると


「あ!いたいた!お兄ちゃーーん!!!」

『!!』


奥から高めのポニーテールをした女の子が小走りでこちらに走ってきていた。その後ろには低めにツインテールをしている女の子、そして両親らしき2人がいた。


「あ、」


琉が軽く小声で呟く。チラッと私達は琉の方をみる。あぁ。琉の家族か。確かに目や髪の色、顔つきがちょっと琉と似てるかも。

そんなことを考えていると最初のポニーテールの女の子が私達の近くにまできていて話し始める。


「お兄ちゃん!この学校の体育祭、すっごいね!小学校と全然違う!去年は用事があって来れなかったから今年くるの楽しみにしてたんだけど、想像以上だよ!!」

「そ、そうかー、!それは良かったなー…」


少し棒読みで琉が返事する。


「ちょっと莉恋りこ。そんなに慌てないの。琉のお友達だっているのに。」


お母さんらしき人が軽く注意する。


「あっ、そっか。ごめんなさい」


ポニーテールの女の子は私達に軽くお辞儀して謝る。


「ごめんなさいね。うちの子が……」


お母さんらしき人も私達に少し腰を曲げる。


「いえ!全然!気にしてないので!」

「うんうん!」


里恵と直人が女の人に返す。女の人は「そう?」と、軽くいい、手を頬に当て首を傾げる。いかにも母親って感じだ。


「琉の家族?」

「あー、うん。」


私が軽く微笑みながら琉に聞くと、歯切れの悪そうに頷く。なんで少し嫌そうなのか。同じことを思ったのだろう。父親らしき人も口を開く。


「なんでそんなに歯切れが悪そうなんだ!父さん悲しいよ!琉!」

「ほんとに父さんはうるさいなー!中学生男子ってこんなもんだよ!!」


あ、やっぱりお父さんなんだ。それに、琉はただの思春期ってことね。ふーん、普段そんな風に見えないからちょっと意外。


「まあまあ、お父さん。琉もそう言う時期なのよ。お友達の前だしね〜。」

「母さんもちょっとやめてよ。」


優しそうに微笑むお母さん。少し顔を赤らめてジト目で母親を見る琉。そんな琉に肩を組みニヤニヤしながら直人は言う。


「何ぃ〜。琉ちゃん照れてるの〜!」

「うっさい!直人!後その呼び方やめろ!」

「ふふっ」


そんな2人の様子を見て里恵も笑っている。私も声には出さないがみんなを見て微笑む。


「…………………お兄ちゃんの友達?」


最初のポニーテールの女の子が急に喋り出す。


「え、あ、うん。そうだけど……」

「良かった。兄さん友達いたんだ。」

「どういう意味だよ!!?」


さっきまで全然喋らなかったツインテールの女の子も急に喋り出す。そんなやりとりを見ていた里恵が広角をあげて笑顔で話し始める。


「私、青龍院せいりゅういん里恵って言います。よろしくお願いします。」


軽くお辞儀をして、私と直人の方を見る。私と直人も見つめあって笑い、話し始める。


「オレは玄武げんぶ直人。琉とは部活もおんなじなんです。」

「私は草薙くさなぎ祈です。」


琉の家族はみんな驚いた顔を見せる。少し沈黙が流れたがすぐに母親が話し始める。


「まあ、丁寧にありがとうございます。わたしは琉の母です。みんなは琉のお友達?いつもうちの琉と仲良くしてくれてありがとね。」

「いえ、オレらも琉にはいつも助けられてるんで。」

「琉も友達の役に立ててるのか!父さん鼻が高いよ!」


お父さんが嬉しそうに泣く。直人や私は、少し困りながらお父さんを見る。


「ごめんなさいね。この人少し親バカ?ってやつで。」

「いえ。。」

「ほら、あなた達も。」


お母さんが軽くツインテールの子の背中を押す。


「!………………火神ひがみ莉桜りさ………です……」


ツインテールの女の子が下を向きながら話す。人見知りなのだろうか。


「火神莉恋(りこ)です!りさとは双子なの!今小学6年生!あ、りさとは双子だけど一応アタシがお姉ちゃんで!__」

「ちょっと莉恋。そんなことまで言わなくていいよ……」


逆にポニーテールの子は元気よく笑顔で自己紹介をする。莉桜ちゃんが止めなければ永遠と話していそうだった。


「小6………じゃあ二人も来年から暁学園ここにくるの?!」


里恵が明るく聞く。二人は同時に里恵の方を見て瞬きをする。先に話したのは莉恋ちゃんの方だった。


「いや、アタシたちは公立の中学校にそのまま入学するからあかつきには入学しないんだよね。」

「……………莉恋が、公立に行くなら、私もそこに行きます。」

「そうなんだ…………」


里恵はさっきよりも声のトーンを落として返事をする。

莉桜ちゃん、本当に公立の(その)中学校に行きたいのかな……。なんとなく、感でそう思った。


「まもなく休憩時間が終わります。次の競技の選手、係の方は準備を始めてください。」


放送がかかる。琉のお母さんはまた頬に手を当てながら口を開く。おそらく癖なのだろう。


「あら、もうそんな時間なのね。それじゃあわたしたちはおいとましましょうか。」

「そうだな。あんまり長居しても琉達に迷惑だろうし。」

「ほら莉恋、莉桜、レジャーシートのとこまで帰るわよ。」

『うん!

 わかった……』

「それじゃあね。みんな頑張って、!」


お母さんが優しく微笑みながら手を振る。それにつられてお父さんと莉恋ちゃんも手を振る。莉桜ちゃんは軽くお辞儀して、琉の家族は帰っていった。


「いやー。なんか楽しそうな家族でいいな!」

「ね!私も思った!」


直人と里恵はそんな話を琉にする。琉は恥ずかしそうな、でも嬉しそうな表情を見せるだけで何も言わなかった。琉はすぐに話を変えてくる。


「そういえば行かなくていいの?祈。」

「あ、そうだ。そろそろ行かないと。」


次の競技。借り物競争。そろそろ準備をしないといけない時間だ。


「頑張って!」

「負けんじゃねーぞ!」


里恵はまた両手でガッツポーズを作り、直人は片手で拳を作り前に出して応援してくれる。


「うん。頑張ってくるね……!」


私は笑顔を見せて待機場に小走りで向かう。

中学で初めての競技。すっごい緊張するけど、やれることをやろう。私は心の中でそんなことを考えていた。

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