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エルフの聖域編 14話エルフの聖域

「…………………………」


ナセータは何も言わない。いのり達も何も言わずにナセータを見つめる。


「分かった。わたしがりゅうのかわりになる」

『!!』

「だぁ゛め……………だ……ぁ」


ナセータが琉の方を見て微笑む。


「っ……………………っ……………………………………」


琉はナセータの顔に驚いたが喋るひまもなく気絶してしまう。リータは琉を縛っていた縄をほどきナセータを見つめる。


「怖くないの?」

「ふふっ。なんなの?急に、……情け?」

「………………そうかもね…」


リータは手のひらをナセータの前に出す。目を瞑り集中し、魔力を手に溜め込む。


「ナセータ…!駄目だよ!」

「っ!…」


祈がナセータに呼びかける。里恵りえもマントをもって走ろうとする。


「大丈夫だよ。里恵…そのマント、使わなくてもいいよ」

「ナセータ…………なんで…」

「これでやっと…お母さんにあえるかな?」


ヒュードゴン!


『っ!〜!』


攻撃が放たれ砂ぼこりが舞う。祈、里恵、直人なおとは目を瞑る。あたりが静かになり3人が目を開く。


『っ!?』

「ナセータ!」

「はぁ、なに?これ…」


ナセータの前にバリアのようなものがでてきており、ナセータは無傷で腰を抜かしている。


「ナセータ!!!」


奥から知らない声が聞こえる。祈達が振り向くころにはもうすでに祈達をぬいてナセータに抱きつく。


「ナセータ!」

「……………お、母……さん?」

「……………シリカ……………」


祈達がその様子をみていて口を開く。


「あの人、ナセータのお母さん?」

「なんで、死んじゃったはずじゃ……………」


リータは首を横に振り切り替えて口を開く。


「関係ない!お前も一緒に送ってやる!」


リータが再び魔法を打とうとする。ナセータとシリカは目を瞑る。


「!」

(殺…される…………!)


タッタッタ


「!…危な……………」

「里恵…!」

「祈ちゃん!琉くんの銃を!」

「!」


祈はすぐに走り出し琉の落とした銃を拾う。祈は銃口をリータに向ける。


「祈ちゃん撃って!」


バンッ!


「っ!」

バタッ……………


リータは床に倒れ気絶をした。


「はぁ…はぁ…」

「……………」


祈と里恵も膝から崩れる。


「みんな……………」


直人が走って寄ってくる。まわりはどす黒かった場所が白く輝く場所に戻っていく。里恵がまわりを見渡し口を開く。


「終わった…………これが…元のエルフの聖域なんだね。」


祈と直人は里恵を見て微笑む。ナセータの声が聞こえ、3人は同時に振り向く。


「お母、さん…お母さん、なんで……………」

「あなたに会いに来たのよ…ナセータ」

「本物?死んでないの?だって……………」

「お父さんが逃がしてくれたのよ、」

「え……………………」





ソールドは頭を抱え首を横に振る。


「やっぱり俺が抗議してくる。」

「やめといた方がいいわ。下手したらあなたまでいなくなっちゃう…ナセータを一人にはできないでしょ。」

「……………でも…!」


シリカはソールドの頬に手を置く。


「大丈夫。あなたならきっとできるわ」

「俺一人じゃナセータに悲しい思いをさせるだけだ。」

「ふふっ。情けない人ね。」

「そうだよ。俺はお前が思っているような凄い人じゃないんだよ。だから側にいてほしい。ナセータにもシリカにも……………」

「私もそうしたいなぁ〜。でもそうはできないから。私は逃げる。」

「…………………………」

「必ず会いにいくわ。だからその時までちゃんとナセータのこと守るのよ!」


「ただいま〜!」


奥からナセータの声が聞こえる。


「あのね!あのね!_____」


ナセータは続ける。その言葉に反応しながらシリカは思う。


(大丈夫。あなたは強い人だから……………それに………………………………あなたは、あなたたちは……………………………………………………)



――私の宝物だから――









リータを倒してから数十分後


「う゛っ…ぅぅ……………」

「!……………琉!」

「あぇ?祈?」

「っ!」

「うぉ!」


琉は目を覚まし起き上がる。祈は琉に抱きつき泣きそうな声で続ける。


「よかった……本当に……………」

「……………」


琉は頬を赤らめながら祈の背中をさする。

奥から里恵と直人が来て口を開く。


「琉くん!よかったぁ目が覚めて。」

「ほんと心配したんだぜ?」

「うん。ごめん。それからありがとう」


2人は微笑む。琉も2人を見て微笑みまわりを見渡す。ある視界で琉は見渡すのをやめ、目を大きく開く。


「あ…れ……………」


里恵と直人が琉と同じ方向を向き説明する。


「ナセータの家族ね。」

「あぁ。ナセータに父さん…………………………それに……………母さんもな」


琉は微笑み、小声で言う。


「よかったね。ナセータ……」


祈が琉から離れ顔を隠す。泣いていたからか顔が赤いのが琉は隙間から見えた。


「……………大丈夫?祈…」

「へ、平気……………」


「…………………………」 


直人が何も言わずに2人が話しているのを見る。




「う、うぐ…………」


奥でリータが目を覚ます。4人は気づき走って向かう。

だが向かった先にいたのはナセータと同じくらいの背丈の女の子という感じの子。さっきまで戦っていたリータと違い4人は驚く。


「リータ様……………?」


ナセータ達も寄ってきて口を開く。リータはまわりを見渡し口を開く。


「皆さん…………………………わ、わたしは…」

「あなたが本当にリータ様なの?」


祈は聞く。リータはしばらく俯き、コクリと頷く。


「はい。……………わたしがリータです。…リータ・ゼーネグト……………」

『…………………………』

「すみませんでした。わたしが不甲斐ないばかりに、皆さんに大変な迷惑をかけてしまって……………」


見た目は確かにナセータと同じくらいの子どもに見えるが喋り方は大人と変わらないくらいしっかりしている。

シリカは口を開く。


「あの…今までのリータ様は…………」

「…………魔法で大人のように見せていただけです。これが本当の私です。」


リータはずっと下を見続けている。まわりは何も言わないがリータは話すことを続ける。


「先代の管理者が思っていたよりも早くに亡くなられました。管理者は責任を伴う大事な役職です。そのため次期管理者は専用の学校で数年間学ぶことができました。確かに私は次期管理者に選ばれていました。ですが、先代管理者の突然の死をきっかけに私は学校を卒業せずに管理者に就きました。」

「確かに、管理者様は変わった。でもまさか……………ナセータと同じくらいの子がやっていたなんて……………」


ソールドは信じられなかった。祈達やナセータも何も言わなかった。だがシリカはリータの前に行き、話し始める。


「どうして私を追いかけて来なかったの?」

「それは……………」

「お願い。答えて…!」

「…………………………。………先代と何度か話したことがありました。ですが先代は未熟者な私のことをよく思っていませんでした。私も先代には逆らえない…………だから、先代の守ってきた掟は私も守らなくてはならない……………。でも私は嫌でした。殺したくなんてない…こんな掟あっても幸せには誰もならないって思ってました。でも逆らえないから、形だけでもと…あなたが逃げることは知ってましたから……」

「そう。」

「全部……………一人でやらないとダメなんです……!」


リータは下を向きながら泣き出した。泣きながら話しを続ける。


「管理者は、聖域のみんなから信頼されて、なんでもぱぱっと解決して、でも私は、殺人ギルドに、注意しておいてと天輝てんき様に言われていたのに……………!ごめんない……………!ほんとに、ごめんなさい!」

『…………………………』

「……………皆さん、私のこと恨んでますよね。こんなの…失格です…管理者……」

『…………………………』

「別に恨んでなんかいません!」

「っ!………………………………………。……………え…?」


ナセータが泣きながら叫ぶ。


「恨んでなんかないです!ずっと尊敬しています!昔も、今も…!これからだって!」

「……ナセータ…」

「わたしは管理者じゃないから簡単に言うなって思うかもしれない…でも…!管理者である前に、リータ様はわたしと同じエルフだから!同じだから……………一人じゃ無理なら、頼ってください…」

「…………………………そんな、簡単にできることじゃないんですよ。」

「リータ様みたいなわたしの尊敬する人に頼られたらわたしすっごい嬉しいです!」

「……………!」


ナセータに続いてシリカやソールドも口を開く。


「そうですよ。別に相談されても、迷惑だとか、使えないな、なんて思ったりしません。」

「一人じゃしんどいから俺たち村長がいるんだからな…!」

「シリカさん……………ソールドさん…」

「リータ様!」

「……………ナセータ…」

「一緒に作ってけばいいんだよ!足りないところは、わたし達が補うよ!」

「!っ〜〜!うん……………!」


リータは顔を上げ、目に涙をためながら笑顔を見せた。それを見て祈達は微笑む。里恵が伸びをしながら口を開く。


「はぁ~。これで本当に終わりかな?」

「だな…!」

「いや、まだ終わってないでしょ?」

『え!?』

「そうだよ。結局あの未来書記はなんで私達のことを知っていたの?」

『う〜ん?』


チラっと祈達を見たリータが口を開く。


「未来書記?」

「あ、そうそう!なんか私達のことが書かれてたんだよね〜」

「それはおそらく……………」


コツコツ


杖のつくような音と足音が近づいていくる。全員が音の鳴る方を見る。


「おぉ~!祈くんに直人くん!むむ!ナセータちゃんもいるじゃないか!」

『じいさん!?

 おじいちゃん!』

「………爺様じいさま…」


奥からくる書庫のおじいさんを見てボソッとリータが言う。リータはおじいさんの前に行き、口を開く。


「爺様!情けなくてごめんなさい!でも、私に協力をしてほしい!」

「え?なんじゃなんじゃ急に…!」

「爺様の作った過去転送機かこてんそうきを使わせてほしい…!」

「…………………………つ、」

「?……爺様?」

「ついにわしの発明が役にたつのじゃな!?この時を待ちに待ち続けたんだ!何を送るんだ!?いつに送るんだ!?何処に送るんだ!?」


おじいさんは興奮しながら話す。リータは驚きながら頬に汗をたらして言う。


「げ、幻滅しないのですか?」

「ん?今の会話の何処に幻滅するところがあったんじゃ?」

「!」


(なんだ。こんなに簡単なことだったんだ。)






エスリー村 神授の樹前

村のエルフ、人間、おじいさんやリータ、ナセータの家族、みんなが集まる。祈が口を開く。


「それじゃあ。私達はそろそろ人間界あっちに帰るよ。」

「うん。元気でね。みんな」

「また必ず会いにくるよ!」

「約束よ?」


琉達がナセータ達と話しているうちに祈とリータは隅で会話をする。


「人間界の人たちはしっかり全員返しましたので安心してください。」

「そっか。そういえば、本当に未来書記にナセータの名前書かなくてよかったの?」

「私もナセータに聞いたのですが…[あの本に書いてあったのがあの4人の名前だけだったからわたしはきっと頑張れたんだ。だからわたしの名前はのせなくていいの!]と、断られてしまいました。」

「……………そっか…」


祈とリータは微笑む。


「祈〜!リータ様〜!」


みんなのいる方からナセータが呼ぶ。それに気づきリータが祈の方を向きかっこいい表情で言う。


「呼ばれてますよ。ほら、行きましょう。」


ナセータとリータが4人に向かって言う。


「本当にありがとう。みんな。来てくれたのがみんなでよかったよ!」

「ここからまた作り始めます。今度はみんなで……………」


リータは喋った後にナセータとフェリシーを見る。祈達も微笑む。

祈達は湖に近づく。4人は村の人たちに手を振り湖に入っていく。祈が湖に入ろうとした時ナセータが呼び止める。


「祈!」

「っ!……………」

「ありがと!」


ナセータは満面の笑みで言う。祈も微笑み口を開く。


「うん。こっちこそ!」


祈はそう言い湖に入って行った。








現世

ドンッ!


「いったぁ〜」


里恵がお尻をさすりながら立ち上がる。祈がまわりを見渡し、口を開く。


「ここ、公立中学校の……………」


全員がまわりを見渡す。直人がハッとし、口を開く。


「ちょっと待って、今何時?!」

「うぇ?今?」


里恵がスマホを取り出し確認する。


「4時47分……………」

『……………』


琉以外の3人がが汗を垂らす。見つめ合い一斉に走り出す。


「やっべ!門限!」

「アンタはまだ門限が5時半だからいいじゃない!私と祈ちゃんは届けだしてないから5時までに帰らないと反省文よ!反省文!」

「反省文だけは絶対に嫌だ……」

「いやぁ〜みんな大変だね〜」

「門限6時のテメェはちょっと黙っててくれる!?」


4人は全員で走ってそれぞれの家に帰って行くのでした。

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