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世界が終わりを告げるまで  作者: なずな
エルフの聖域編
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エルフの聖域編 8話勇気のあるもの

「え?」


おじいさんが祈と直人を見つめる。祈たちは真剣な表情を見せる。


「ちょ、ちょっとまってくれ。た、大変なこと?え?わしが起きてた一ヶ月前までは平和で……………」


おじいさんは顔を下に向ける。


「平…………和……………………………で…………………………………っ!」


おじいさんは苦しそうな顔をする。だがすぐに顔を上げ焦っているように続ける。


「今!今のエスリー村がどうなっているのか聞かせてくれ!」


祈が口を開く。


「今はエスリー村、いいや、ここエルフの聖域の管理人である確か……………リータさん?っていう人が殺人ギルドと呼ばれる奴らに操られている状態です。」


おじいさんは信じられないような顔をしている。


「そん…な…あのリータ様が負けたと言うのか?」


祈が首を横に振りながら答える。


「詳しくは聞いてないので詳細はわかりませんが……………」


直人が続けて言う。


「今の村はナセータ一人の状態です。ナセータの親父さんの村長さんがナセータだけでも逃がそうと守ったんです。」

「そおか。ソールドが……………」

「…………………………」


直人が何も言わずにおじいさんを見る。祈はおじいさんに向けて話す。


「あの…私達、人間界からこの聖域を助けるために来たんです。私達にできることがあればなんだってやります!」


いい終えた祈は決意の固まっているような顔をおじいさんに向ける。おじいさんはそんな祈を見て口を開く。


「君はすごいのぉ。人間界の人ということは今おそらく中学生ぐらいじゃろう?そんな子供が命をかけるなんて…………子供はいいのぉ。大人になればなるにつれて弱く腐っていく、この街だって平和と表上では言っているが裏では腐りきった大人達に縛り続けられておる。今がもしやその縛りをほどくときなのかもなぁ。どれ君たち名前は?聞いてなかったよな」


祈が普段よりも少し目を大きく開けて口を開く。


「草薙祈です。能力はつるぎ


直人も話す。


「玄武直人です。一応ナイフ使って戦ってます。」


微笑むおじいさん。おじいさんは口を開く。


「強い人たちやな。」


祈は少し顔を赤くしながら答える。


「いえ。私なんかまだまだです。」




「いたぁ〜」


ナセータが言う。琉は口を開く。


「大丈夫?ナセータちゃん?」

「え?あ、はい!」


ナセータは少し驚きながら言う。


「?どうしたの?そんなに焦って、」


琉は聞く。ナセータは目をそらしながら答える。


「え、あ~その、ナ、ナセータちゃんって言われるの初めてで、その、なんていうか、き、緊張しちゃう、みたいな…」


琉は目をパチパチさせる。すぐにクシャッと笑って口を開く。


「な〜んだ。そんなこと、気になるなら改めるよ。ナセータ」


ナセータは琉を見つめる。琉はナセータを見ながら微笑む。すぐにハッとした表情にナセータは戻り言いにくそうに口をもごもごさせた。


「えっと?今度は何?」


琉は聞く。ナセータは目を泳がせながら答える。


「そ、その、すご~く言いづらいんですけど、さっき穴に落ちそうになった時、琉さん助けてくれたんですけど、その……………」


琉はナセータを見つめながら言う。


「な、何?」


申し訳無さそうな雰囲気を出しながらナセータが口を開く。


「わたし!飛べるんで手を引いてもらわなくても助かったというか……………その…」


琉はまた目をパチパチさせた。だがすぐに顔を真っ赤にした。


「え、な!」

「ご、ごめんなさい!一応事前に知らせてはいたけど…時間経ってましたもんね!しょうがないですよ!」

「〜〜///」


琉は言葉が出ない。ナセータは琉おチラリと見ながら頭を下げる。


「はぁ〜//」


琉がため息をつく。ナセータは少し顔を上げる。


「?」

「これに関してはナセータの話しを覚えれてなかった俺のミス!ナセータが謝る必要なんてないよ」


ナセータは顔を上げる。琉はまだ耳の先が真っ赤だ。それを見たナセータはクスッと笑う。


「うっふふ。」

「な、何?」


琉が少し恥ずかしそうに聞く。


「いえ。なんか、可愛いなって、」


少し笑いながらナセータが答える。それに対してまた琉は少し赤くなりながら笑った。


「行こうか。ナセータ」


ナセータは琉の顔を見て微笑む。


「うん!琉!」




二人は薄暗い道を歩き続ける。琉はナセータに問う。


「ナセータは村の人みんなの顔と名前を覚えてるの?」


ナセータは答える。


「うん。小さい頃からずっとここにいるし」


琉はナセータの方を見ながら話しを聞き、ナセータが話し終わった後少し間を開けて口を開いた。


「そっか」

「……ちゃんか!?……タちゃん!」


急に声が聞こえてきた。男の人の声。ナセータは琉に聞く。


「今の、琉じゃないですよね?」

「う、うん。分かったこと承知で聞くけどナセータでもないよね?」

「は、はい」


二人はあたりを見渡す。


「…エタちゃん!…ちゃん!」


声は鳴り止まない。琉とナセータが耳をよく澄まして聞く。


「ナセータちゃん!!」

「っ!」


その声にハッとナセータがする。


「この声…」

琉はナセータに問う。


「知ってる人?でもあたり見渡しても人がいそうなところはどこにもないけどな、どこから聞こえるか分かる?」


ナセータはネックレスをぎゅっと握りしめ話す。


「分かる!分かります!……………こっち!」


ナセータが走り出す。琉もナセータの後ろに続いて走り出した。

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