神の殲滅
「どうも、澪です。今日は、大事なお話をするためにこの配信をしています」
「大事な配信ってことで、私も今日は澪さまの思考を読んでないんだよっ。どんな反応が出るのか、君たちと同じ視点で聞いてるからすっごくドキドキしてるんだよっ」
【妊娠した、とか?】
【おいやめろ】
『みお〝ぐんガニンじnナんで、ユrさゆるさゆるるるrさなぃぃぃぃ!!!!』
隣の部屋から、ぶっ壊れちゃったルカの絶叫が響く。
「まぁ、隣の部屋のルカについて。...完っ全にぶっ壊れました。蒼月 ルカの配信は消滅、今やただ僕を愛でるためにアンチを罵って僕の可愛い明に憎悪の視線を込めてくる可愛くない妹になりまし...た!?」
「みおくぅん...、わたしわたわたたわたしししし」
「ヒッ!?」
明が僕に抱きついてくる。恐怖で顔が引き攣っているのが見なくてもよくわかってしまう。泣き叫ばれるかも。でも、僕だって相当怖いからね?ちょっと失禁しそう。
【ヒェッ...】
〈タコ介〉【澪くんみおみみみみみみいいいいい】
【なっ!?なんで本体じゃないのに動けるんだ!?】
ドロっとした、曇り切った瞳が僕を見た。思わず、ブルリと身震いしてしまうほどに怖い。
「そんなところにいないで、こっちにおいでよぅ...。私と入ればなぁんにも怖くないよぉ」
「...ひゃ!?」
曇り切った視線を見つめている間に、明が掴まれていた。「明!?」と悲鳴をあげて助けに行こうとして...
「ダメ。澪くんは私のもの。永久にえいきゅえいけいえいえいえいえいえいええいえいいいいいいいいいいくううううにのいいいィ!!!!」
皮を剥ぐように力が込められた指が、背を引き裂くように掴む。
「み、澪さま!私は気にしないで、逃げてください!その女...ぁ」
首を握りつぶされ呼吸できないのかバタバタと蠢く明。しかし、明の腕5本がそれを縛り付け動けなくしている...5本?
ルカの背からは、17本の腕が飛び出していた。...まさか、『特異進化』!?
「澪君は私のものぉ...!ジャマスルヤヅハ、ミナゴロ...シィィィッィッィィィィィッィッッッ!!!!』
ルカの声にノイズが混ざり始め、メキメキという音がするぐらいの速さでルカの肉体が変貌して行く。仕方なく、僕は窓からルカごと飛び出す。
『ミィィィィォオオオオオオオオオ!!!!』
《特異個体:Ruwisが発生しました》
おかしい!人間からは特異進化しないと言ったのは神だったはずだ!なのに、これは...!
『ァァァアアアアアアアアアア!!!』
もはや人の形すら留めていないナニカ。これが、ルカの成れの果てなら...せめて。
「...【機神の砲塔】、【魔神の華弾】、兵種〈電磁加速砲〉。斉射」
人として...「蒼月 ルカ」として、消えて欲しかった。
「...撃ち方やめ。【屍神の絶唱】、タイプ〈鎮魂歌〉」
辺りに、神々しい音楽が鳴り響く。神々しさのうちに禍々しさを内蔵したその音は、ルカが抱いていた僕への想いが表れているようだった。
《魔伐スキル:【呪いの車力】を入sy
「...いらない」
...しゅしましt
「いらないっつってんだろ!この、クソッタレ世界の意志ども!」
...た》
《スキル統合許可:【呪いの車力】t
「やるなら、明のスキルにしろ!」
《...承諾されました。【呪いの車力】と【主人の右腕】を統合しました》
《...スキル:【怒りの日、来たれり】を入手、でゅでゅるるっるるっるるるっるるるっっっっrーーーーーーー
「!?」
頭の中の声が鳴り響かなくなり、世界中で何かが聞こえ始めた。
〈エマージェンシーモード、エマージェンシーモード。〈クリフォト〉が発覚しました。これより全人類の殲滅を開始します〉
んなぁっ!?