松島の骨武者ダンジョンその一
今回はちょっと短めです。あと、昨日は投稿できなかったんですいません。寝ちゃいました。
【...何これ?配信の待機なんて技いつ覚えたんだ】
【いや、澪ちゃんには林屋 眩というV配信者の中身がついている...。きっと教えてもらったんだ
面白いコメントだ。結構鋭い。けどちょっと違うかなー。
〈蒼月澪〉【いや、僕たち今移動中なんで。新幹線が遅れてて配信予定の時間に間に合いそうにないんで、待機所?ってのを明に教えてもらって作りました】
【本人居るー!?】
【ま、まあ、暇なんだろ...。】
「あたっ」
「ちょっと、私にもやらせておくれよっ!」
「自分のスマホあるでしょ」
「あ、そっか。その手を忘れてたよ」
「全く...。」
〈林屋 眩〉【本当に暇だよっ!ま、私は澪さまに甘えれるから遅れてくれて構わないけどねっ!】
生意気なことを言う明の頭をデコピンする。「あたっ」と、さっきの僕と同じ反応をしたので、ちょっとだけ撫でてあげると猫みたいになった。すりついてくるの、ちょっとだけ恥ずかしい。
【あ、もしかして新青森駅行きの新幹線か?今どこら辺の駅にいるのか教えて欲しい】
こわっ。ちょっと違うけど、東北方面の新幹線が遅延しているの気づいてる。
〈蒼月澪〉【今は...えーと、
『まもなく福島、福島です』
打ちかけていたコメントを書き直す。
〈蒼月 澪〉【今は福島駅の近くですね。もうちょっとで福島です】
【ってことは、7時40分東京発だな。9時38分に仙台駅到着。...あ、あそこの骨武者ダンジョンに行くのかな?】
読まれてる!?時間も合ってるし、目的地も合ってるし!僕のリスナー怖っ!
あの配信から三週間。切り抜き動画が出て、ちょっとだけ登録者が増えた。嬉しくないけど。まあ、70人ぐらいのが100にんにふえたっていうのは嬉しいからいいけど。
ただ、あのときのイケメンムーブは2度とできないと思う。恥ずかしすぎるし、やっぱり恥ずかしい。
11分の遅延をへて、9時50分に仙台駅到着。目的地行きの電車はしばらくないから、日本最大規模らしいペデストリアンデッキ(上にある歩道みたいな感じのところ)がある西口に出る。商業ビルは東京にある高層マンションとか商業ビルよりも低めだけど、地元にはそもそも4階建て以上がないから新鮮だ。高層ビルが多くて息苦しい印象だった東京より、こっちの方が住みやすそう。住むなら、ちょっと離れた郊外のアパートなんかがいいかも。
「骨武者ダンジョンの稼ぎにもよるかなっ。あれは松島だったかなっ?」
「うん、そうなんだよね」
僕たちの目的地は松島町にある骨武者ダンジョン。瑞巌寺というお寺の中央にある、昔は孔雀の間と呼ばれていたところがダンジョンの入り口になった。元が寺だから、拝観料兼ダンジョン料ということで九百円する。でも、元々が七百円だからあまり上がってないかも。そのお金を使ってお寺の修繕もしているらしいから、意外と賢いのかも?
仙台駅の近くにあったビルにア●メイトがあったので漫画を買い(ア●メイト購入特典の書き下ろしイラストは嬉しい。だって近くにないもん)、駅に隣接する建物にガ●プラショップができたらしくガ●ダムが書かれたのが貼られてあったけど、僕たちはそれを無視して中央口改札に入り、すぐに左手に折れて東北本線に乗る。
12時11分、到着。
そこから7分ぐらい歩いて、綺麗な島を望むように山の上にある瑞巌寺の入り口へ到着。
「大人2枚くださーい」
受付所の人にそう言うと、そこにいたお姉さんは苦笑して
「君のお姉ちゃんは高校生だろうけど、君はどうみても小学生でしょ?1400円です」
昔の大人の拝観料2人分のお金を明が払うと、僕たちは正面からまっすぐ進んだ。拝観する人ならしっかりみて行くだろうけど、ダンジョンが目的だからね。
「姉妹でダンジョン攻略ですか?危ないからやめた方がいいよー?」
入り口にいたお姉さんが声をかけてくる。確かにここは危ないらしい。とぉっても。でも、まあ。
「大丈夫大丈夫!こう見えて私たち、とんでもなくレベル高いから!80くらいあるよっ?」
「ええ!?そんな若々しい見た目なのに...?」
「うんっ!両親が、近所のSランクダンジョンに毎日私たちのこと通わせてさっ!おかげで、もともとスキル3つ持ってた妹がどんどん成長してって!ちょっと前だと、電車に乗って1人で遠くのSSランクダンジョンを1人で攻略してきたから困っちゃってんのさっ!」
「おお...。なら、問題ないですね。でも、ここはなんといっても日本に6箇所だけのSSSランクダンジョン!奥の方まで行くと、SSSランクの〈不死の軍勢〉がうじゃうじゃいますから!気をつけてね!!
そういうと、僕たちの背中を押してくれた。
でも、正直〈不死の軍勢〉って怖くないんだよね。
「えっと、確か澪さまは〈不死の軍勢〉はもう倒してるんだっけ?」
「うん、まあ。それに、アイツが使ってくる〈屍軍の歌唱〉も僕ならレジストできるし、明も余裕でしょ?」
「あはは、仮にも〈存在せざる者〉なんだよっ?あまり舐めないで欲しいっさね!」
「ん、りょーかい」
...そう、前倒しちゃってる。しかも、剛久時代に。
あいつは群れだから厄介だけど、ンソケ〝キッがあれば軍勢の長に攻撃を当てるなど造作もないこと。前持ってたけどいつのまにか頭陀袋から消えてた、マジックアイテム狙撃銃(.70口径!)を使えばさらに楽だった。ちなみに3回遭遇して2回倒した。1回目はちまちま倒しているうちに長が消えてたけど。
「ってことで、どーも澪です。今日も配信やってきます」
〈タコ介〉【澪...く〝ぅ〝ん〝】
【ひえっ、ルカ様まだこええ】
〈タコ介〉【な〝んデ...私ヲ選ばなガったno?】
【...ほんとにルカ様か?怨念にしか見えない】
確かにルカは変だ。あ、前報告するって言ったし報告しとくか。
「報告しますね。顔映りは基本なしです。やっぱり、頭に配信機材乗っけてるんで。ただ、会話しながらがベターですかねえ」
【あ、こいつは変わんねえや】
【ルカ様との温度差が心地ええんじゃあー】
そんなにルカ怖いかな?
「すっごく怖いよっ!?私の命が危険だからこそ、貞操の危機を考えてでも澪さまの布団に潜り込んでるのさっ!」
「ちょ、何言ってんの!?僕は何もしてないよ!むしろ寝てる時に太もも撫でてきたりおっぱい触ってきたりするのは明のほうでしょっ!」
「わっ!?知ってたなら先に言っておくれよっ!言ってくれれば、堂々と配信してるところでイチャイチャシーン流せたのにっ!」
なんで僕怒られてんの?謎にキレる明が理不尽。
「甘えさせておくれよっ!澪さまの鈍感っ!」
(´;ω;`)泣きたいっ