~その者を追って~
異世界の先にあった部屋の住人を探す。
しかし、その人物なかなか見つからなかった。
現実に翻弄されながらも、とうとう手がかりを見つけた。その生徒は……。
とうとう、異世界にあった不気味部屋の住人を追い詰めていく。
「結局、どれも不発だったわね」
健斗は肩をすくめた。「文芸部の生徒たちは、趣味で小説を書いてるだけだった。情報をくれた女子生徒からの、情報もガセだった」
ユメは肩を落とした。「せっかく尾行までしたのに、尋ねてみたら、わたしたちに怯えていただけなんて」
「万策尽きたな」
ユメは首をふった。「ここであきらめたりしないわ!」
「ほかに手はある?」」
「探し方を間違えていたのよ。わたしたちは、壁に貼られた応募要項だけを見て、人物を探していたのよ。その人物は作家を目指していただけじゃない。他にも手がかりがあった。床に落ちていた家族写真があったわ。あれはただの写真じゃないと思う」
「写真なら誰だて持っている」
ユメは首をふった。「家族写真ってのがポイントだわ」
「仲がいい家族だっている」
「三人で笑い合っていた。それは、いまよりもっとまえの写真だった」
「幼少期のものだ」
「私たちが探している人物は、心を病んでいる。おそらく、自殺してしまいたいほど。つまり、むかしは、家族三人そろって笑っていた。でも、今は笑えない状況に追い込まれている。そこまでに、何かあったかが重要なんだわ」
「原因か……」
ユメは思案した。「もしかしたら、両親が亡くなったのかも」
「考えすぎじゃないか?」
「写真の、顔を部分が黒く塗りつぶされていた。あれはきっと、消されたんじゃなくて、両親の死を意味していたんだわ」
「だとしたら、その人物は、大きな孤独を孤独を抱えていたに違ない!」
二人は、見つめ合った。
「その人物を探しましょう」
「でも、今度は静かに探すべきだ」
ユメは頷いた。「私たちは、目立ちすぎるものね」
「今回のことで学んだわ」
「探し方は?」
「地味だけど、ゆっくり情報収集よ」
二人は動き出した。
とうとう見つけた。その人物は、花咲紗希だった。
「一度、会ったことがる」
「ええ。私たちに、情報をくれた人物だわ」
健斗は頷いた。「彼女はぼくたちの存在に気づいていたんだ」
「そうね。だから、自分の存在がバレないように、嘘の情報を流したんだわ」
「放課後になったら、突撃するわよ」
健斗は頷いた。
健斗は荷物をまとめると、ユメと隣のクラスに向かった。
しかし、紗希は下校していた。
「遅かったわね」ユメは歯噛みした。
「今からでも、追いかけよう!」
二人は下駄箱で靴にはき替えると、走り出した。
そのとき、三階から植木鉢が落ちてきた。
間一髪のところで、脇へそれた。
健斗は屋上を見た。そこに影が見えた。人物は見えなかった。
「誰よ、こんなことしたの!?」
「風で、落ちて来たんじゃないわよな?」
ユメは首をふった。「あり得ない。無風よ。それに、ふつうこんな場所まで、落ちてこないないわよ。誰かが投げつけたのよ」
健斗は咄嗟に、屋上に向かって走り出した。犯人がいるのだとしたら、捕まえられると思った。だが、廊下で怪しげな影をみつけて、方向転換した。
「やっぱり、こっちだ」
ユメは靴に履き替えて、健斗の後を追った。
翌日、花咲紗希は学校を休んだ。
佐々木の情報で、紗希は失踪しと噂を知った。
佐々木は、健斗の友人で、新聞部で情報通として通っている、友達だった。
「おい、おまえら深入りはするなよ」
佐々木は、帰りの支度を済ませながら呟いた。
「ちょっと、事情を聴きたいだけだよ」
「それが、本人にとっては余計なお世話と言うこともある」
健斗は肩をすくめた。「配慮はする」
鞄を持つと、紗希の家に向かった。
彼女のアパートは学生寮だった。この学校には、特待生として入学して、学費をほとんど免除されていた。
情報は、隣のクラスの女子生徒から教えてもらった。
「ここが、彼女の寮だ」
「男は、入れないわよ」
「ぼくは待っているよ」
ユメはにやりと笑った。「いいわよ。一緒に突撃しましょう」
「やばいよ」
「何かあったとき、証人が必要よ」
「何かって?」
「何かよ」ユメは無理やり健斗の手を引いて、寮の扉を叩いた。
返事はない。
思い切って、扉に手をかけると、カギはかかっていなかった。
扉を開くと、入った。中に、人はなかった。ベッドは布団が投げ出され、冷蔵庫の中には、賞味期限切れのハムが入っていた。
「昨日から帰っていないみたいね」
健斗は部屋を調べた。「とくに、家出の用意をしたわけではなさそうだ」
家の中を調べると、壁に小説家になるために、応募要項が貼られていた。
机の上には、日記帳があった。『もう、限界。私に才能はない……。最近、妙な二人組が私を追っている。理由は分からない。だけど、私の心には、二人を恐怖の対象として感じている……。なぜだろう。私は、もうここにはいられない』
健斗は知らずしらず、彼女を追い詰めていたことを知った。
佐々木に電話した。
「おう、どうした」
「彼女の家まできた」
「おまえ、マジか!?」佐々木は声を上げた。
健斗は事情を打ち明けた。
「やりすぎたって事だな。彼女は、追い詰められて、姿を消しちまったって訳だ」
ユメは言った。「何よ、私たちのせい?」
「少なくとも、原因くらいにはあるだろ」
ユメは肩をすくめた。
「僕たちはどうしたらいい?」
「とにかく、彼女は探し出せ」佐々木は続けて言った。「彼女の行きそうな場所に心当たりはない? 俺も協力してやりたいが、今教えられる情報はない。だから、二人だけで何とかしろ」
「だけど」
佐々木は言った。「急げ。最悪の場合、自殺なんてこともあり得るぞ」
健斗は妙な胸騒ぎを覚えた。
壁にあった、目標シートを見た。「私には親がいない。私は、一生一人で生きて行かなければならい。だから、どんな時だって笑って乗り越えて行こうと思う。それでも辛くなったときは、自分の可能性をとにかく信じよう。わたしは負けない。強く生きて行く」
「何としても、彼女を探し出す」
健斗は強く頷いた。そして、電話を切った。
「どうするのよ」ユメは言った。「彼女を探し出したいけど、手がかりがないわ」
健斗は首をふった。「手がかりならある」
「どこに?」
「深夜の学校だ」
「もしかして」ユメは言った。
「そのまさかだ」健斗は頷いた。「あの場所に行けば、彼女が何処にいるか分かるはずだ。なんてたって、あそこは彼女の深層心理が隠された場所だから」
「夜九時ね」ユメは言った。
「今から行こう」
「でも、いまは昼間よ……」ユメは頭を抱えた。
「夜まで待てない」
健斗の携帯電話が鳴った。携帯には、見慣れないアプリが……。
「何よ、そのアプリ?」
健斗はそれを眺めた。「渦巻のマークがある」
「私にも。こんなものインストールした覚えないのに」
二人は、そのアプリをタップした。
二人は、異世界へと旅立った。
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