~新しい生活~
ふしぎな世界からの帰還。
あれは一体何だったのか。
何気ない日常を送りながら、日々の暮らしを送っていく。
健斗は目を覚ました。そこは自室だった。
「おい、起きているか」源助は一階から呼びかけた。
健斗は体を起こすと、昨夜のことを思い出した。昨日は七夕と深夜の学校に忍び込み、その後の記憶が途絶えていた。携帯電話もないので、彼女と連絡も取れていない。
「おい、朝食できたぞ」
健斗は、一階に降りていくと、カレンダーを見た。今日は、土曜日で学校が休みだ。
「ずいぶん眠そうな顔しているな」
「うん。まぁ」
「せっかく卵焼きやいたんだ、冷めないうちに食っちまえ」
健斗はテーブルの上の朝食を見た。ハムとサラダが添えられている。
「オレ特製だ。ありがたく食えよ」
食べながら、土休日の過ごし方について考えた。まだ、越してきたばかりなので、やりたいことがたくさんある。荷解きや、部屋の掃除。日用品の買い出し。他にも学用品の補充などがあった。
源助は声をかけた。「今日暇か?」
「いや」
「嘘つけ! 予定なんかないだろ」
「どうだろう」
「とにかく、店番を任せてもいいよな?」
健斗は首をふった。
「越して来た時に言っただろ。ここでは、働かざる者食うべからずって。だから、今日は店の手伝いをしてもらうぞ」
「お腹痛い」
源助は軽くボディーを打った。
「うげぇ」
「てめぇ、いっちょまえにいい訳なんかしてんじゃねぇよ。とにかく、今日は店番を任せたからな。オレオも鬼じゃねぇから、午前中だけで勘弁してやるから、やっておけよ」
「強制だな……」
朝食が終わると、自分の食べた食器を洗い、玄関に向かった。
「家を改装して、店にしたんだ」
「なかなかいい」
「だろ。もともとは、骨董屋だったんだが、常連どもが、おかしな要望や、おかしな商品を欲しがるから、へんてこな店になっちまった」
店内には、フィギアや、トレカが並んでいる。
「そこの日本刀には触れるなよ。本物だからな。無暗にふれると、指が落ちるぞ」
健斗は頷いた。
「じゃあ、俺はちょっと用があるから、後は頼んだぞ」
健斗はレジ前の番台に座った。十分後、客が訪れた。
「あの」
「何でしょう?」
「これを買いたいんですけど」
客は、年代物の皿を持っていた。値札はない。
「いくらですか」
「……い、一万円?」
「ちょっと高くない?」
「いや、だったら一万五千円……?」
「無茶言うなよ。だったら、一万円で買うよ」
お客は、お金を払って帰って行った。健斗は、値段が適正だったのか、お客がクレームを入れに戻ってこないか心配になった。だが、お客は戻ってこなかった。ほっとした。人生初の仕事で、充実感を味わった。嬉しい。番台に座って、もうけた一万円を眺めた。
番台に座りながら、座敷にあるテレビが見えた。ちょうど、通販がやっていたので、伝統工芸品の扇子を購入した。
商品が売れたので、商品を補充した。
この後、数名の客が訪れた。
アッというまに午前中の時間が経過した。
「おう、帰ったぞ」
健斗は、源助を出迎えた。
「おかえり」
「どうだった?」源助は尋ねた。
健斗は午前中の出来事を語った。
「まあ、よくやったな。それで、おまえ扇子を通販で、購入したのか!?」
「なかなかナウかった」
源助は頭を抱えた。「そこまでは求めてなかったんだがな。まあ、いいや。お前なりに、頑張ってくれたんだな。今度、商品が届いたら、店で販売してみろ」
「任せろ」
「今回は、オレからの選別だ」
健斗は五千円を手に入れた。
「助かる」
「金は工夫して使えよ」
健斗は頭を下げて、礼を言った。
午後になって買い出しに出かけた。
土曜日なので、商店街は賑わっていた。
トイレットペーパーが不足していたので、二倍巻きタイプのものを購入した。
近くにあったゲームセンターに立ち寄った。
ユーフォ―キャッチャーで、マスコットのフィギアをゲットした。一緒に、福引券をもらったので、帰り際、抽選所に向かった。結果は、五等のティッシュだった。
何かに必要になるきがする……。
帰宅してからは、部屋の掃除をした。
この日は、部屋のかたずけと、荷解きで一日が終わった。
ここまで、お付き合い有り難うございます。
これからも頑張るので、応援お願います☆
投稿は、二日に一回くらいを目安に頑張ります。