~部室強奪事件!~
旧校舎を探索中、謎のマスクに遭遇。
その正体は?
明かされる正体と、ユメの驚きの行動とは?
マスクの怪人が現れた。
ユメは一瞬怯んだもの、つかつかと歩み寄って行くと、マスクを剥ぎとった。
「ひぇ」少女は叫んだ。
「あなた、女の子だったの!?」
「当たり前です。こう見えて、ミステリー研究会の部員なんです」
「へぇ」
「それも副部長なんです」
ユメは、ニヤリと笑った。
「こ、怖いです」
十分後、イスに縛り付けられた副部長の姿があった。
「あなたは、鬼ですか?」
「そうね。鬼と、悪魔を×合わせて、グレードアップしたら私になるわ」
「ヤバすぎる」
ユメは笑った。「それから、わたしの目的だけど、これからミステリー研の部長を呼び出すの」
「なぜ?」
「あなたを人質にして交渉するわ」
「目的は?」
「部室を譲渡してもらう」
少女は首をふった。
「そんなの駄目に決まってます」
「それはこっちのセリフよ。私たちは、部を作ったのよ。それなのに、部室がないなんてあまりの悲劇じゃない?」
少女は椅子に縛り付けられながら首をふった。
「あなたやろうとしている事は、れっきとした脅迫です」
ユメはにやりと笑った。
「上等だわ!」
「後悔はないの?」
「ただ突き進むのみよ」
「狂っているわ」
ユメはにやりと笑った。「そうね、わたしは変人だもの」
「何言ってるの……」
「お仕置きが必要みたい」
ユメは、少女に猿轡をした。
少女は呻いたが、声はどこにも届かなかった。
十五分後、女の部長がやって来た。
「おい、我が部員はどうした?」
ユメは、ニヤリと笑うった。「ここよ」
「これは……」
「そうよ」ユメは得意げに語った。「彼女は、知りすぎてしまったから、縛って、猿轡をさせてもらったわ」
部長は呻いた。
「知りすぎた!?」
ユメは頷いた。「我々の秘密を知ってしまったからには、生かしておけない」
それから、取り上げておいたマスクをかぶった。妙な迫力がある。仮面は、無機質な表情で笑っている。
「マスクは、宮部くんのものだな?」
「もう、私が持っているんだから、わたしのものよ」
「ひどい奴だ」
ユメはマスクの中で微笑んだ。「べつに構わないわ」
「それにしても、すごい迫力だな」
「褒めているの?」ユメは一歩前に出た。
「いや、そうではないが」
ユメは自分の首元で、親指を立てて、切り裂く真似をした。
「どういうった意味だ?」
ユメは部長の言葉を無視して、本題に入った。
「あなたは、ミステリー研をやめて、我が部に入部しないさい!」
「無理だ」
「でも、入るしかないのよ」
ユメは、イスに縛り付けられた少女の口を開いた。
「何する気だ!?」
「見ていればわかるわよ」
「き、貴様」部長は、狼狽えた。
「そうよ」ユメは得意げに笑った。「彼女は、パンが苦手なの。とくに、口の水分を奪ってしまう、乾燥したパンがね」
「なぜ、それを」
ユメは笑った。「先に、聞き出しておいたのよ」
「どうするつもりだ!?」
ユメは、少女の口にパンを詰め込んだ。
椅子に縛り付けらえた少女は、呻いた。パンを無理やり詰め込まれ、口の中の水分は、どんどん奪われて行く。首をふった。あまりに苦しさに、涙が流れた。
「この、鬼畜が!」
ミステリー研の部長が、叫びをあげた。
ユメは、しばらくじっとしていた。少女が、パンを飲み込むのを待った。
「では、交渉よ」ユメは言った。「私の軍門に下りなさい!」
「断固として断る」
「意味わかっているの!? 断れば、彼女に明日は来ないわ」
「まさか、またあの仕打ちをするつもりか!?」
ユメは静かにたたずんだ。
部長は、手を床に着いた。「無理だ」
「理由でもあるの?」
「私の、一存では決められないのだ」部長は訴えた。「ミステリー研は、現在私を含め、四人で活動している。それは、同じ部に在籍していても、それぞれが自立して活動している」
「つまり、同じ部に居て、それぞれが部長のようなもの?」
「そう捉えてもらって構わない。我々は、誰かに縛られることなく、自立しながら行動している」
ユメは天を見上げた。「残念ね」
「どういう意味だ!?」
「彼女は、死ぬことになったわ」ユメはパンの袋をまとめて破った。それど同時に、マスクをとった。「これだけのパンを口の中に詰め込まれた、彼女はどうなるかしら?」
「それは」
「死ぬわ!」」
「やめてくれ」部長は叫んだ。
「もう、遅いわ」
ユメは動き出した。
健斗は、止めようとする、部長に制止をかけた。
「やめろ」
「やめろと言われて、やめるバカはいないわ」ユメは少女の口に詰め……。
とびらを開けて、ミステリー研の部員が現れた。
「わたしたちは、構いませんから」
部員たちが、思いを伝えた。
「わたしたち、彼女を救う為だったら」
「話しを聞いていたのか!?」部長は、驚いた。
「帰りが遅かったら、心配んあって」
部長は、頷いた。「そうだったか」
「わたしたちの事は構わないで」
部員たちは言った。
ユメは頷いた。「どうやら、決着のときみたいね」
「こちらは、そちらの軍門に下る……。それで、問題ないだろう」
「後悔はない?」ユメは、尋ねた。
「全員で決めたことだ。後悔はない……」
ユメは宣言した。ミステリー研は、そのままミステリー研のまま存続し、活動内容もそのままでいい。だけど、部室を明け渡すことと、自分が招集をかけたときは、真っ先にそれに応じ、誠意をもってそれに答えることが約束された。
「了承した」
他の部員たちは、涙を流しながら抱き合った。
「もう大丈夫だからね」
椅子から、少女が解放された。
そして、ユメの軍門に下ったとはいえ、ミステリー研を続けられることに涙を流した。
「よかった」
「わたしたち、ミステリー研を続けられるのね」
ユメは頷いた。「私のは、寛大さよ」
「あ、ありがとうざいます」
ユメは大きく頷いた。
健斗はそのやり取りを温かく見守った。だが、罪悪感はぬぐえなかった。終わり良ければ総て良しと言うが、ユメのやったことは極悪非道な行いだ。そして、それを見て止めることもせず、ミステリー研と少女の口に、パンを詰め込むユメに加担してしまった。
ぼくは、罪深い……。
健斗は、天上を見つめながら、神に誓った。ぼくを許していください……。
もし、天罰が下るなら、ユメだけにして。笑
その夜、健斗はぎっくり腰になった。
ここまでお付き合いありががとうございます。
毎日投稿できるよう頑張ります。
明日も投稿時間は、午後五時十分ごろを予定しています。
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