~放課後の過ごし方~
学校でストライキ事件のあとの、平和な日常を描く。
主人公は、どのような日常を送っているのか。
平和もつかの間、またすぐにあの女が動き出す。
連れていかれた場所は!
ストライキの日から三日が経過した。
四月十九日……。
転校して、はや一週間が過ぎ、ようやく学校に慣れ始めた。
この日、健斗は学校が終わると、街の散策に出かけた。越してきて、まだ町内の様子や、近隣の様子を調べていなかったので、この機に調べておきたかった。
学校を出ると、自転車で辺りを散策した。
学校の周りには、自然豊かな街が広がっていた。学校の裏手には、裏山があり、細いけもの道が、奥まで続いていた。
健斗は自転車を止めると、細い道に入った。道はなだらかな傾斜となっており、頂上まで続いている。その間、豊かな自然と、苔むした岩屋や、道や、木の幹などを眺めた。
ポンポコ……。
健斗は、道のすみで怪我したタヌキを見つけた。
タヌキは、人見つけると、足を引きずって逃げ出そうとした。
健斗は、怯えさせないように近づくと、ハンカチを取り出して、タヌキの足にまいてやった。
タヌキは、一度振り返ると、去って行った。
それから、山の頂上まで登った。そこには、大きなドングリの木が伸びており、頂上からは、街の景色が一望できた。眼下にある公園で、子どもたちが野球をしていたり、商店街を歩く人々が見えた。
しばらく自然を満喫してから、山を下りた。
それから、商店街へ向かった。
商店街では、たくさんの人々でにぎわっている。コロッケを飛べ歩く人。近所のおばちゃんが五人ぐらい集まって、道を闊歩している。
健斗は、商店街で、お肉屋さんのコロッケを買った。
うまい!
それから、目に入った書店に入ると、『学園イチャイチャ白書』の小説を購入した。
これを読めば、女子にモテる!
内なる野望が沸き上がった。
満足の放課後を送って、家へ帰宅した。
翌日。
「おはよう」ユメは言った。
健斗は、鞄を下ろすと、イスに座った。
「おはよう」
「重要なお知らせがあるの」
健斗は体を震わせた。「嫌な予感……」
「ちょっと、ウソでも逃げようとしないでよ」
「覚悟はできた」
「なら言うわね」ユメはニヤリと微笑んだ。「顧問が決まったわ」
「それって、部ができたって事?」
ユメは自慢げに頷いた。
「そうよ。できたの。まあ、厳密に言えば、この用紙に部の名前と、メンバーの名前、それから活動内容を記入すれば、出来上がるのよ」
健斗は頷いた。「メンバーは、佐々木を入れて三人?」
「そうね。今はまだ三人。だけど、部員をどんどん集めて、大きな部にしようと思っているから、応援よろしくね」ユメは頷いた。「それから、部の名前なんだけど、ただ単純に部と名乗るのは格好悪いから、同好会にするわ。その方が、たくさんの人に入ってもらえそうな気がするもの」
「名前は?」
「そうね」ユメは考えた。「ありきたりな名前は嫌だし、かといってこびるのも嫌よ」
「なら、探検部は?」
「同好会じゃないわ」ユメは人差し指を唇に当てた。「私たちの同好会は、前にも言ったけど、未知、不思議、謎、を追求するものよ。ある意味、ミステリー研にも似ているけど、もっとカッコいい名称はないかしら?」
健斗は宣言した。
「なら、STRENGE、WONDER、MYSTERYの頭文字をとって、SWM同好会は?」
「それに決定だわ。あなた、なかなかセンスあるじゃない」
健斗は胸を張った。
ユメは満足げに頷くと、用紙に必要な項目を埋めると、教室から飛び出して行った。
「朝から、元気だな!」
佐々木が現れた。
健斗はユメとのやり取りを説明した。
「俺も、お前たちの仲間入りか」
佐々木は吐息を漏らした。
「嫌なの?」
「今や、学校中の注目の的を越えて、有名人だぜ。ストライキを起こした中学生って評判だ。今朝、学校に来る途中にも、小学生や、近所のおばちゃんから声かけられた」
健斗も頷いた。
「ぼくも、叔父に注意を受けたり、近所の人たちから視線を感じた」
「だろ」佐々木は頷いた。「俺たちは有名人になっちまたんだ。こあの、変わり者で有名な女に関わっちまったせいだな」
「気にするな」健斗は諭すように言った。
「お前は、呑気でいいな」
佐々木は、窓の外を見て、遠い目をした。
昼休み。
「二人元もこっちに来なさい」
健斗は背を向けた。佐々木は天井を見つめた。
「調子乗らないで」
ユメは佐々木に腹パンした。
「ぐげぇ」
「そんなに強くやってないわよ」
「そこ、鳩尾だから。みぞおちは、ダメなところだから」
ユメは、三秒考えた。
それからもう一発、腹パンした。
「そこ、ダメだから」
佐々木は、床に膝を着いた。
「それで、用事でもあるの?」健斗は、尋ねた。
「ああ、ちょっと来てもらい所があるのよ」
ユメは、二人を連れて旧校舎にやって来た。
「これは?」
「見れば分るでしょう。今は使われなくなった、旧校舎よ」
「うん」
ユメはにやりと笑う。「ここに、部室を作ろうと思って」
「おお、マジか」
「許可は取ってないわ」
「ダメだろ」
「べつにいいのよ」ユメは腰に手をあてた。「何でも許可を取って、なんでも指示されないと動けないようじゃ、ダメなんだから。分かる? 私が言いたいのは、自主性を持って行動しろということよ」
「それ、なんか違うような……」
ユメは無視した。
「さあ、この旧校舎を占領するわよ」
ユメはそう言うと、入り口の扉を蹴飛ばした。
「とうとう、開かれたわよ」
三人は、旧校舎に入った。
そこには、昼休みだというのに静寂の空間が広がっていた。静かというだけでなく、冷気が漂っていて、肌を刺すようだった。校舎は、木造で出来ており、歩くとキィキィ言った。あちこち雨漏りのあとがある。壊れたとびらや、穴の開い廊下。行き場を失った催し物の、残骸が打ち捨てられている。
「ゴミ置き場だ……」
ユメは佐々木の腹を殴った。
「文句言わない」ユメは佐々木を睨んだ。
「私たちは、遊びに来たわけじゃないのよ」
「それは、そうかもだけど」
「私たちには目的があるの!」
「部室を見つけることだよな」
「健斗は賢いわね」
ユメは、佐々木に腹パンした。
「どうして、俺だけ……」
三人は奥へ向かって歩いた。
「いい部室が見当たらないわね」
部屋は、倉庫になっているか、朽ちている。
「これは使えそうにない」
「困ったわね」ユメは鼻を鳴らした。「ここで、部室を探すしかないのに。わたしここへ来る前に、探してきたんだけど、部室練はすでにほかの運動部や、文化部の占領下にあったの。だから、ここで部室を確保するしかないのよ」
「なるほど。だから、強行突破して来たのか」
ユメは頷いた。
「わたしたち、ここでどうにかしないと」
「他にも方法はないかな…」
ユメはぴしゃりと言った。
「黙りなさい!」
「はい?」
「わたしがこの場所に目を付けた以上、ここで探すのよ」
「なるほど」
「わたしの言うことは、絶対よ。いい。いつ、いかなる時も、わたしが決定を下したことには、従わなければならないの。私が、凍える真冬の海に向かって、跳べと言ったら、とぶの。もし、燃え盛る炎であっても、行けと言われれば、喜んで飛び込んで行く、そいうものなの!」
「無茶な」佐々木は、首をふった。
「了解した」
「おい健斗、おまえ死ぬぞ?」佐々木は言った。
「ぼくは、死ぬ覚悟ができている!」
佐々木は静かに手を合わせた。
「さあ、話しを本題に戻すわよ」ユメは頷いた。「とにかく、この旧校舎で部室の確保するわよ。でなければ、同好会に未来はない!」ユメは頷いた。「そうよ、勝ち取ってこその、未来よ。それができてこその、SWM同好会なのよ!」
健斗は力強く頷いた。
そして、旧校舎をさらに探索していく。
奥から……、全身銀色の怪人が現れた。
三人は、混乱して、悲鳴を上げた。だが、ユメだけはすぐに冷静になると、振り向いた。
「あなた誰?」
それは、立ち止まって奇声を上げた。
お付き合い有り難うございます。
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万が一のときは、次の日か、次の日に頑張ります。
今後も投稿はずっと続けていく予定なので、お願います。
投稿時間は、基本午後、五時十分ほどを予定。
お願います☆