~暴走女ユメ!~
自分みずから部活を作ることにしたヒロイン。
だが、障害が発生した。
教師に阻まれ、暴走する!
そして、思わぬ展開へ向かって走り出す。
その日の放課後。
「ほんと悔しいわ」
健斗は度肝を抜かれた。
「やられたわよ」ユメは地団駄をふんだ。
「何があったの?」
ユメは事の詳細を話した。
結果からすれば、自分の部を発足させるために、佐々木に用紙を提出させに行ったのだが、それが却下されて、先生に抗議しに行ったが、敢無く撃沈した。事の詳細を聞けば、抗議と名ばかりで、拡声器を使ったり、暴れまわったり、名ばかりの行いだった。
「やりすぎだ」健斗は目を閉ざした。
「だって仕方ないでしょう。教師たちは、わたしの要望を聞いてくれないどころか、取り押さえようとして身体をもみくちゃにするわ、おまけに説教まで」
何となく、その場の光景が目に浮かんだ。
「たぶん、ユメが悪い……」
「どうしてよ」ユメは頬を膨らませた。
「きみの言い分は、なんとなく分かる気がする」健斗は頷いた。「だけど、ルールを守ろうとしないのは違う」
「何よ、真面目ぶって」
「今回のことについては、反省すべきだ」
「仲間だと思っていたのに……」ユメは悲しそうに俯いた。
「はき違えないで!」健斗は立ち上がった。「こんなところで、立ち止まる君じゃないはずだ!」
「それはそうだけど……」
「戦い方は他にもある」
ユメは自信をとり戻した。「当然よ、わたしはこれくらでい諦めたりしない!」
「作戦はこうだ」健斗は言った。「教師がダメだというのなら、ルールにのっとった方法で、解決すればいい」
「具体的には?」
健斗はふと笑みを漏らした。
その日、三人は学校に立てこもった。
佐々木も、無理やり召集された。
「ひえぇ、ぼ、ぼくは悪くない……。退学にしないで」
ユメは佐々木のあたまをメガホンでたたいた。「中学を、退学になる人間はいないわ」
「いや」健斗は首をふった。「ここは私立だから、可能性としてはある」
短い沈黙が流れた。
「それはともなくとして、私たちは正義を行っているの!」ユメは胸を張った。「だから、大人たちの権力に屈する言事はないわ。私たちは、自分たちの信じる道を進むのみよ」
三人は、屋上から『部活は、自由意思を尊重するものだ!』と、垂れ幕を落とした。
やがて、テレビ局が押し寄せ、記者がおとずれた。
三人は、立てこもったクラスから、その様子を眺めていた。
そして、ユメは日が暮れ始めた校内から、外につかつかと出ていき、カメラを持った記者に向かって声明を発表した。「私たちは、自由な部活の申請を要求する!」
三人にとって、勇気ある行動だった。
翌日、学校は大騒ぎにあった。
生徒が勝手にテレビに出演し、学校でストライキを行ったとあれば大変な騒ぎとなる。
三人は、学校内だけでなく、内外において時の人となった。
それは、テレビ、マスコミ、学校関係者に至るまでだ……。
「俺たちの、悪名もとうとう轟いたな」
佐々木は天を仰いだ。
「心配いらないわよ。すぐに静まるわよ」
ユメはぼんやりと、詰めかけた報道陣を見ながら言った。
「本当か?」
「きっとね」
その日の放課後、学校側から御触れが出された。
それによれば、学校の生徒は、自由に部、またはサークル活動を設立できる。
「わたしたちやったわ」ユメは飛び上がった。
これに対して、世間や、学校の生徒、関係者が驚いた。
「どうになかった」
健斗は冷や汗を拭った。提案したのは自分だった。まさか、ここまで騒ぎが大きくなるとは思っていなかった。提案した内容としては、抗議活動を行うという、名目のはずだったが、ストライキにまで発展するとは思っていなかった。
マスコミや、メディア関係の力の大きさを知った。
「さっそく、部の場所を確保しないと」
健斗は頷いた。「だがその前に、顧問の先生をさがさないと」
「何よそれ?」ユメは唇を尖らせた。
「学校にしても、最低限度の体裁はある」
「まあ、そうよね。生徒を預かる以上、保護者は必要よね」ユメは大きく頷いた。「最初のミッションは、顧問の先生を探すことに、決定ね。これは、楽勝よ」
健斗は静かに頷いた。
その日、いろいろあったが、三人は満足感を抱きながら帰宅した。
ここまでお付き合い、有難うございます。
毎日投稿頑張ります。
明日は、明日も五時ごろに投稿します。
【余談】
久々にサウナに行った。
お爺さんが水風呂に、頭からすいちょくに落ちた。
足が天井に向かって、のびていた。