第18話『逸れる前に集合場所を決めよう』
「オレの故郷に伝わる古い魔獣の話を思い出した。オレの故郷には、人に化けて人を喰らう、化け猫がいるんだ。爺さんを嬲り殺したのは、猫だ」
「猫……?」
私はニナの言葉に唖然とする。
確かに、犯人じゃないならどのタイミングで猫がキースさんの部屋に入ったのかわからない。けれど、キースさんが猫に殺されたなんて、にわかには考えられない話だ。だって、化け猫がキースさんをピンポイントで殺す理由がわからない。
同じことを考えたようで、ヴァンデロさんも真面目な顔でニナの発言を咀嚼したあと、ひとまず『なるほどな』と肯定し、
「犯人が人を喰らう猫なら、キースの死体がねェのも、偽オスカーが武器を持ち込まなかったのも頷ける。だが、それならなんでキースが狙われた? 逆に言えば、なんでキース以外は狙われなかった?」
「……アジトに帰る爺さんを、外からずっと尾けてたんじゃないのか? 事件の日、爺さんが1人で出かけたかわからないのか」
「事件の日は……あー、いや。出かけてねェな。その前日歩き回った影響で腰痛を悪化させたから、丸一日部屋で過ごしてたんだった」
「……腰痛になってたのか、キース」
ぽつりと呟くオスカーさん。その姿は少し寂しそうに見えた。オスカーさんがギャングだった3年前は、まだキースさんは腰痛を持ってなかったんだろう。親しい人が明確に老いていたことを聞かされる気分を想像して、少し胸が苦しくなる。
けど、
「なんで歩き回ってたんですか?」
「わからねェ。どこに行くんだって聞いても『探し物』の一点張りだ。新入りの男に尾行させてみたが、路地をグルグル回ってたことしかわからなかった。で、やっと帰ってきたのがアジトを出た6時間後だ。探し物って時間じゃねェだろ」
「歳なんじゃないのか? 何を探してるのか、どこを歩いてるのか自分でもはっきりしてないんだろ」
「キースはそこまでボケてねェよ。まぁ、ボケてねェから謎なんだが……別にボケてねェ、腰痛持ちの老人が、同じ場所を6時間歩き回る理由ってなんだ?」
うーん……探してたものがすごく大事なもので、具体的にどこに落としたかは覚えてないけれど、路地で落としたことは確信してた、とかかな。
でも、6時間探してなかったら諦めない? それか、ヴァンデロさんや他のギャングたちに手伝ってもらおうってならないのかな? 私だったらついつい頼ってしまいそうだけど……もしかして、見つかりたくないものだったのかな?
大事なものだけど、1人で見つけたくて、同じ場所を何回も探すもの……。
「もしかすると、動くんじゃないのか? キースの探してたものは」
口を開いたのは、熟考していたオスカーさんだった。
「動く……生き物ってことですか?」
「はい。というより、キースは化け猫を探してたんじゃないかと。……俺の思う、事件の流れはこうです」
オスカーさんは語り始めた。要約するとこんな感じだった。
何日か前、路地を通りがかって偶然猫……例の化け猫を見つけたキースさん。化け猫はお腹が空いているか、弱っているように見えたので、キースさんはこっそりアジトに連れて帰り、ヴァンデロさんたちに内緒で化け猫の回復に努めた。
回復していく中、何かのタイミングで化け猫はオスカーさんの容姿を知る。そしてある程度回復した段階でアジトから脱走。
完全回復に至っていなかったため、逃げた化け猫が心配になったキースさんは、やはり化け猫のことを秘密にしたかったので単身路地を捜索。腰の痛みにも耐え、6時間かけて探し回ったけど、その日は見つけられずアジトに帰還した。
しかし翌日、アジトの場所を覚えていた化け猫がなんらかの理由で戻ってきてオスカーさんに変身。殴り殺したキースさんを食べて、再びどこかに逃走した――。
「……俺の姿を知っていること、キースを狙い撃ちしたことを考えると、化け猫は事件より前の日からアジトにいたんだろう。キースが隠していたから、知らなかっただけで。……なんで、猫を隠そうとしたのかはわからないが」
「まぁ、ありえない話ではなかったな。キースならやりかねない」
「あぁ」
キースさんに育てられた人同士、わかるものがあるらしい。表情を曇らせて口をつぐむ2人に、私も思わず黙り込んだ。もしかすると2人も、かつては仮説の化け猫のように、行き場もなく弱っていた時期があるのかもしれない。
「ところで」
いつも通り、空気を読まないニナが口を開いた。
「どうやって猫を探し出すつもりなんだ?」
「あー……これだけ大食らいの化け物だ、おそらくキース以外にも被害に遭った奴はいるだろう。本来なら、そいつらが襲われた場所を調べて、法則性を見つけ出すんだが……それだと時間がかかる。化け猫が遠くに逃げるかもしれない」
そう言って、ヴァンデロさんは私のほうを見た。え、なんか嫌な予感。
「手っ取り早いに越したことはねェからな。……おいガキ、目を逸らすな。こっちを見ろ」
「い、嫌です」
「嫌ですじゃねェんだよ、消去法でテメェが1番適任なんだ。それともなんだ? テメェが化け猫と戦いたいかよ。ほら、テメェの根性を試してやる」
私の顎を鷲掴み、無理やり自分のほうを向かせるヴァンデロさん。強い力でほっぺたを潰されて、私はタコみたいに口を尖らせる。それをサングラス越しに見下ろしながら、ヴァンデロさんは『説明してやる』と至近距離で言い、
「化け猫を殺す準備が整ったら、まずテメェに俺の魔法をかける。五感を狂わせる魔法の応用で、嗅覚を気が狂わねェ限界まで引き上げるんだ」
「は!?」
「それで、この部屋に残った化け猫の匂いを覚えて追跡しろ。俺とこっちのガキは戦闘要員だ、オスカーはもしものときの回復用に下がらせておく必要がある。どっちも激臭でダウンするわけにはいかねェ。わかるか、テメェしかいねェんだよ」
「そっ、そっ……」
それって、遠回しに『お前やることない』って言われてるのでは!? いや、否定はできないけど! ヴァンデロさんやニナみたいに自由に戦える力はないし、治癒魔法だって簡単なのすら覚えてないけど! くそ! 正論だから腹が立つ!
というかこの人当たり前みたいに話してたけど、私が戦えなくて、治癒魔法も使えないことなんで知ってるんだ……!? 身体から無能が滲み出てるのか……!?
「――あ、それならいい案がある」
ニナがぽんと手を打った。私は身を強張らせる。彼のいい案って、悪い案な気がしてならないんだけど。
「……なんですか?」
おそるおそる尋ねると、ニナは胸を張った。
「お前の手助けをしてやる。ひとまず、5時間くらいくれるか。さっき葉巻野郎が拾った猫の毛を使って、オレが変身薬を作る」
「はぁ」
変身薬。そんなものがあるんだ。そういえば独房でニナと会ったとき、変装が得意って言ってた気がするけど、もしかして変身薬を作れるってことだっ――
「そうしたらオレがそれを飲んで、化け猫の姿になる。だから、ビーム女は直接オレを嗅いで匂いを記憶しろ。その方が覚えやすいだろ」
「……は、え?」
さ……さっき猫がダメって発覚した私には、殺意の湧く提案なんだけど。猫の毛ですら涙と鼻水とくしゃみが止まらない私が、直接猫を嗅いだらどうなってしまうんだろう? 大丈夫かな? 死んだりしないかな?
私はヴァンデロさんに顔を潰されながら、助けを求めてオスカーさんを見る。彼は申し訳なさそうに眉を下げた。
「……拒否反応が弱まるように、少年を嗅いでいる間は治癒魔法をかけ続けます」
「オォン」
助けてもらえなかった。いや、他の人たちに比べたら優しいし、葛藤してくれてたからいいんだけど。そうか、私が犠牲になるのが1番の近道なのか……。
私はヴァンデロさんの手首を掴んで、頭を左右に振り、彼の手中から抜け出す。そしてヴァンデロさんを下から睨み返し、
「……っ、わかりました。私が化け猫を探します。その代わり、見つけたら絶対に倒してくださいね。絶対ですよ」
私が念を押すと、ヴァンデロさんは『ふん』と鼻で笑い、私の手を振り払った。
「当然だ。親父を殺した畜生には、必ず落とし前をつけさせる」
*
私たちとヴァンデロさんが手を組んだことをヴァンデロ一家に告知し、戦う手筈を整え、ニナの変身薬が完成するのを待って、ホーエンハイムさんのご飯で腹ごしらえをした午前8時。私たちは、再びキースさんの部屋に集まっていた。
「――まず、オレが化け猫になる。薬の効果時間は1時間だ。その間、オレは人の言葉を喋ることが出来ない。だから、話す必要があることはここで話してほしい」
「俺がテレパシーで仲介すりゃァいい」
「じゃあ問題はないな。次に葉巻野郎と無口野郎が、五感を狂わせる魔法と治癒魔法をそれぞれビーム女にかける。嗅覚が強化されたビーム女は、猫になったオレの身体を吸って、化け猫の匂いを覚えてそれを辿る。いいな、ビーム女」
「はい……」
私が弱々しく答えると、ニナは背中から小瓶を取り出した。中には嘘みたいに真っ黒な液体が入っている。飲んでもいいものには見えなかったけど、ニナはジュースでも飲むみたいな気軽さでくいっと飲み干した。
直後、ニナの身体が赤く発光し、形を変えながら収縮する。そうして彼がいた場所には、丸いものを閉じ込めたニナの服が残った。
それがモゾモゾと動いて、出てきた黒猫がにゃあと鳴く。
「ん、あれ、ちょっと待ってください……?」
……これ、下手すると元の姿に戻ったとき、素っ裸になってしまうのでは?
《あ、説明し忘れた。誰かオレの服を持っていってくれ》
ヴァンデロさんが仲介してくれたらしく、頭の中にニナの声が響いた。悪びれても恥ずかしがってもいない。嘘でしょうこの人。
私がドン引いていると、いつのまにか後ろに回っていたヴァンデロさんに肩をつつかれた。何の疑いもなしに振り向くと、ふうと煙を吹きかけられた。
「げほっ!? げほっ、げほっ、けほ……な、何を……!?」
「何って……お前の嗅覚をいじるからな。煙を吸わせなきゃならねェだろ」
「先に言ってくれません!? けほっ、けほっ……」
不意打ちされたせいで、思いっきり煙を吸い込んでしまった。こんなに吸い込む必要なかったでしょ。私が長らくむせていると、急に煙の匂いを強く感じ始めた。ヴァンデロさんとの距離は変わっていないから、魔法にかかったみたいだ。
他にもいろんな匂いが漂ってきた。オスカーさんのワックスの匂い、ニナの森っぽい匂い、部屋に染みついたお酒の匂いに、さっき食べたたまごサンドの匂い。
今まで気に留めていなかった匂いが、突きつけられたみたいに強く香ってくる。う、なんだか気持ち悪くなってきたな……。
「《ラディエボルパ》」
不意にオスカーさんの声がして、オレンジ色の光が私に降り注いだ。途端、煙を誤飲して悲鳴を上げていた肺からすうっと痛みが引いていく。強烈な匂いをいくつも嗅いで生じた吐き気も、少し和らいだような感覚がした。
「あ、ありがとうございます……!」
《あとはオレの匂いを覚えるだけだ》
化け猫の姿になったニナが、後ろ足で立って私の膝を触る。なんだか触られたところが痒いんだけど、本当に直接吸って大丈夫なのかしら。
私は不安になりながらしゃがみ込み、丸くなったニナに顔を寄せ、少し離れたところから匂いを嗅いでみた。すると、獣っぽい匂いが脳にがつんと来た。
「うっ……」
吐きそう。けど、耐えなきゃ。キースさんの部屋で吐いたら燃やされる。あと、嗅覚が過敏な今吐いたら終わる。嘔吐の永久機関の完成である。
私は頭を振って意識を取り戻した。幸い匂いは覚えられた。化け猫の匂いがどこに続いてるかもなんとなくわかる。化け猫はドアから部屋の外に出たみたいだ。
「……行きましょう」
私は鼻を摘みながら3人を先導した。継続して匂いを嗅いでいると気が狂いそうだったので、適当に決めたポイントで匂いがどこに続いてるのかを嗅ぎ分けて、ポイントからポイントへの移動中は匂いを嗅がないことにした。
そうして6階に降りた私たちは、窓辺で匂いが途切れていることを確認。化け猫は6階の窓から外に出たのだと推察して、私たちも外へ出ることにした。
店じまいを始めていた屋台街を通り過ぎ、私たちは水路の脇の歩道を歩いて路地裏に入る。路地裏は真っ暗だったけど、ヴァンデロさんが火の玉を作ってくれたので問題はなかった。ただ、野良猫と思しき匂いが混雑していて少し厄介だった。
私たちは行ったり来たりを繰り返し、どうにか化け猫の匂いを拾いながら、見覚えのあるカフェを通り過ぎる。そして見覚えのあるホテルを遠目に見つつ、
「ここって……」
先日オスカーさんと訪れた、火の国の港に到着した。
港の周りはレンガの塀で囲われていて、門も完全に閉まっていたけど、猫のニナやヴァンデロさんは当たり前のように塀を飛び越えていった。
「え、えぇ……」
む、無理なんだけど。ジャンプしても手が届かないんだけど。
私が長らくぴょんぴょんしていると、オスカーさんが私の横に立った。
「……プリマステラがよろしければ、肩車をしましょうか」
「えっ、いいんですか!?」
「はい」
その場にしゃがみ込むオスカーさん。安定感のありそうな広い背中が誘惑的だ。彼の申し出をありがたく受け入れ、おそるおそる『失礼します』と肩に乗せてもらうと、私の足を持ったオスカーさんがゆっくり立ち上がった。
うわ、めちゃくちゃ視線が高い! でも、安定してて全然怖くない……!
「すご……」
「届きそうですか?」
「あっ、は、はい! 余裕です! ありがとうございます!」
私は塀にしがみつき、どうにか港の中に入る。頑張って飛び降りたらかかとが死んだけど割愛。レンガ倉庫に囲まれた広い場所で、私たちは一旦足を止めた。
ちょうど1時間が経ったみたいで、腕時計を見ていたオスカーさんが猫のニナに服を被せてあげる。すると膨らみが大きくなって、下からニナが顔を露わにした。
「寒い」
「ウワーーーッ!?!?」
普通に立って着替えようとするニナに、私は雄叫びを上げて後ろを向いた。
「なんで普通に着替えようとするんですか!?」
「……? ダメなのか? お前が気にしなければいいだけだろ。……あ、もしかしてお前『タカンナトシゴロ』ってやつか。聞いたことあるぞ。お前もそういうのあるんだな。でも、さっき降りてくるときスカート捲れ上がってたぞ」
「こっっっっ、の……!!」
いろいろ違うし、馬鹿にされてるし、捲れてるのは見なくていいし! 胸ぐらを締め上げて怒りたい気分だけど、まだ布擦れの音が聞こえるから振り向けない。行き場のない怒りに悶々としていると、後ろから『もういいぞ』と声が聞こえた。
「……オスカーさん、本当に大丈夫ですか?」
「……大丈夫です」
「おい、なんで確認をとる。オレが信用できないのか」
「逆になんで信用されてると思うんです!?」
私がムスッとして振り向くと、着替えていたニナはわからないと言いたげな顔をしてヴァンデロさんを見た。葉巻を蒸していた彼は肩をすくめ、
「今のところ、テメェが悪いと思うぜ」
「……わからない」
同じくむすくれるニナ。お互いにムスッとしていると、ヴァンデロさんは呆れたように吐息をして、手近なレンガ倉庫に近づいた。レンガ倉庫の扉は南京錠で固く閉ざされている。ヴァンデロさんは南京錠を掬って観察したのち、
「青いガキ、これ壊せるか」
「ニナだ。当たり前だろう」
「テメェに呼び名を訂正される義理はねェんだがな」
しっかりとツッコミを入れて、扉から離れるヴァンデロさん。代わりに扉に近づいたニナは、背中から鎖鎌を取り出した。え、本気で壊すの? 私がおろおろしていると、ニナが鎌の刃を南京錠に通した。南京錠がスパッと切れて地面に落ちる。
「開いたぞ」
ニナは誇らしげにそう言って、扉の取っ手に絡みついた鎖を解いた。
「でかした」
ニナの肩を叩き、倉庫に入っていくヴァンデロさん。え、なんかニナへの好感度高くない? どこで差がついたんだろう。疑問に思いながら、私も倉庫に入る。
倉庫の中は明かりがなくて、天井付近にぴっちり張られた、大きな窓から差し込む月明かりだけが、私たちの視界の支えになっていた。
「《オロウスラ・エロティダルト・リオレクルブ》」
「《ラディエボルパ》」
「《イグロブ・アボドロエン》」
ヴァンデロさん、オスカーさん、ニナが一斉に呪文を唱え、手の内に火の玉を生み出す。辺りが少し明るくなった。真っ暗なのは私の周りだけだ。
え、プリマステラ・ファイヤーとか言ってみる……? いや、間違えてビームが出たら倉庫の貨物を全部焼き払ってしまう。やめておこう。
仕方なく闇と同化していると、ヴァンデロさんたちはどんどん進んでしまった。唯一救いのオスカーさんもいつのまにかおらず、気がつけば辺りは私1人に。
いや、それはちょっとまずい。私は慌てて彼らを追いかけた。けれど、迷路を作るように置かれた大小様々な木の箱は、いとも容易く彼らの背中を隠した。
えっ……どこ? 本当にどこ?
木箱の迷路をあちこち歩く。月明かりだけを頼りに、ブロンドの三つ編みを、怪しく光る鉛色の鎖鎌を、黒革のジャケットを私は探した。
間もなく、大きな足音が聞こえてきた。はっとして振り向くと、そこには夜闇を双肩で掻き分ける褐色肌の青年がいた。
「オスカーさん!」
彼の名前を呼ぶ。私がいないことに気づいて、戻ってきてくれたんだ。やっぱりオスカーさんなんだよ。もうオスカーさんに一生ついていきます。
やっぱり薄情者共はいないみたいだけど、きっとオスカーさんが居場所を知っているはずだ。よかった、このまま誰も見つけられないのかと思った。
私はほっとして、オスカーさんに駆け寄ろうとした。駆け寄ろうとして、
――あれ?
ふと、違和感に気づく。オスカーさん、火の玉持ってなくない?
足を止める私。それでも、オスカーさんは変わらない速度で迫ってくる。地面を踏み鳴らすように、怒りを体現するように大きな足音で。――違う、オスカーさんはこんな歩き方じゃない。この歩き方は、違う、まさか!
あることに気づいたそのときには、オスカーさんは私の目の前にいた。そして、
「え」
私の顔面を、殴り払った。




