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時の街-2

彼が久々に感じる人の中での平和。それだけならよかったのだが・・・

 兵士宿舎は、ほかの家々のように見たことが無い材質ではなく、木と麻など、僕の常識の範囲内でできたものだった。建物自体は平屋だがやはり普通の家よりも大きい。木製の入り口に来るまでに、建物が見えてからずいぶんかかった。

「騎士の中には街を転々とするものもいてね。できる限りどこの駐留でも同じ環境にしたいのだ。それに、どうもあのレンガ造りは好きでは無くてな」

 僕が他の建物と交互に見比べているのを見て、そう教えてくれた。

 中は広さの割に静かだった。人がいる気配もなく、部屋に着くまでの間も誰にも会わなかった。

「さぁ、ここだ。ここなら、話をじっくり聞ける」

 入った部屋は見たところ自室兼作戦室のようで、一般的な家具とベッドのほかに、木製の簡単な机と椅子、それからなにやら赤や青のマークや矢印がついた地図の広げられた広めの机がおかれていた。

 僕は勧められるままに椅子に座り、バルシュタットさんは僕と机を挟んで向かい側の、僕の座ったものと変わりの無い椅子に座った。なんか尋問みたいだ。

「尋問みたいだ、という顔をしてるな。まぁそう固くなることは無い。固いのはこの部屋の空気で十分だ」

「はい・・・」

「とりあえず、君について話してもらえるかな?もちろん話したくないことは話さなくてもかまわないよ」

 バルシュタットさんは肘を机に付き、神妙に指を組む。

「えっと、僕はある場所を探して旅をしているんです」

「さっきも言っていたな。どこを探しているんだ?」

「えっと・・・真っ白でとてつもなく大きい聖堂なのですが、それほど詳しくは・・・」

「聖堂・・・。この街にも確かに教会は存在するが、真っ白ではないしな・・・白い聖堂といえば鳥の城ウィンドフォウルくらいだが・・・」

「それ!どこにあるんですか!!」

 僕は希望と喜びで、立ち上がって聞いた。

「待て、鳥の城はここから人の足で行けるような距離ではない。騎士の馬を飛ばしても二週間はかかる。今までは無事に来れたようだが、その先は一人では無謀すぎる」

「そうですか・・・」

 僕はため息をついて座った。竜の羽ならばもっと早いかもしれない。けれど、それでもこれからますます危険なことが起こり得るということか・・・。

「話の途中で切ってしまったな。とりあえず全て話してもらおうか。質問はその後にする」

 僕は、とりあえず森にあった村から来たということにした。あの谷からここまでの道のりについても話した。道については、僕が方時計を見せたら納得してくれた。

「よくこんな希少のものを持っているな。これはベルタウンで作られているものだから、我々はあまり不自由していないが、土地によっては30倍の重さの金で取引される。注意するんだな」

「はい、気をつけます」

「赤の谷では、何者にも襲われなかったか?」

「いえ・・・人には会いましたが・・・」

「ふむ・・・負の投影砂ももろともしないか・・・。君は一体何者なのだね?これではまるで竜の使いだ」

「ぇ・・・」

僕は再びその言葉を聞くことがあるとは思っても見なかったから内心すごく驚いたけれど、なんとか押さえ込んだ。

「いや、ただの伝記の話だ・・・。まぁ、君が幻獣でないことは確認済みだし、私の剣も君のことを嫌ってはいないようだ。それにこれ以上追求するのもどうかと思う。どうかね、しばらくはこの宿舎に泊まっていかないか?宿屋に無駄な金をかけなくともよいだろう」

「ぁ、はい、よろしければ」

 実際、僕はこの街のお金を持っていなかったのだ。物々交換をどうしようかと悩んでいたところだったので、正直助かった。

「うむ。ではすぐに準備させよう。しばらく街の散策にでも行ってくるといい。この部屋を出て右の突き当たりにいる騎士を連れてな」


 僕はお礼を言った後、荷物をとりあえず置いて、早々にその突き当たりの部屋に行き、その扉を開けた。

 中は薄暗く、よく見えなかったが、誰かがいるのが分かる。

「なんだ?訓練で模擬刀でも折れたか・・・ってフィードかぁ。隊長に引っ張られたな?」

「うん・・・ちょっと怖い感じだったけれど」

「怖いのは顔と声だけさ。後は怒ったときと訓練の時と指令の時と・・・ってやっぱ怖いな」

 そう言って少し泥の付いた顔で笑うジンを見て、僕も固かった体がほぐれた。

 目がだんだんと慣れてくると、武器庫全体の様子が分かる。たくさんの剣が木の箱のようなものに突き立てられている。

「一応、この騎士団のほとんどの剣は今ここにあるはずだぜ?みんな今は訓練用のやつ持ってってるからな」

 僕はそれらについている玉・・・竜玉に目が奪われていた。一個一個、微妙に色も形も違う。中で何かがきらきらと燃えているようだった。それも、見たことがある炎。

「竜玉は、騎士の証なんだ。竜を殺して得られる」

「竜を!?」

「そうさ。まぁ大抵の剣は受け継がれたりすることのほうが多いけど、騎士になるための最終試験として竜を討伐する。そして倒した竜の瞳が、竜玉ってわけさ」

「そう・・・なんだ・・・」

(我らを哀れむ必要は無い、竜の同志よ)

それはどこからともなく聞こえた。部屋中の竜玉が光りだす。

(我らは選んで騎士の一部となったのだ)

(汝が竜の一部となったことと同じ)

(今こうやって騎士と共に歩めることは悪いことではない)

「竜玉が・・・一体どうなっているんだ」

 僕にたくさんの声が流れ込んできて、それが重なり響いて、突然体がふわっと軽くなり、立つこともままならず倒れてしまった。ジンが僕を何度も呼ぶ声が、最後に聞こえて、そして遠くなって、暗くなった。


 この感じ、覚えている。自分のベッドの上、テフヌトのベッドの上。久しぶりの普通としての目覚めだ。

 ベッドから見る外はもう朝のよう。気を失って、結局一日寝てしまったということか。

(すまなかった。我々がもう少し配慮していれば・・・)

 どこからかまた声が・・・。起き上がってみると、ベッドの床にはジンが眠っていた。傍らにあるジンの剣の赤い竜玉が光っている。

「いや、いいんだ。気にしなくていいよ。沢山の竜がいたからね」

 そう僕が言うと、竜玉は一瞬だけ瞬いて、元の玉に戻った。それと同時に、ジンが起きたことに気づいたのか動き出した。

「んん・・・あ、大丈夫か?すまなかった。フィードがそんな長旅をしてきてすぐとは思わなかったから・・・すぐに休ませるべきだったな。隊長も相当悔やんでたぜ」

「バルシュタットさんが?」

「そうそう。客人の疲労も考慮できんとは何たる失態だ、ってね」

 その口調の再現におかしくなって、僕は朝から楽しい気分になれた。

「そういえば、もう一人フィードの連れには連絡してないんだろ?心配してるんじゃないのか?カンザー・・・って奴?」

「ど、どうしてカンザーの名前を!!」

「そんなに驚くことないじゃないか・・・。昨日ずっとうなされながら助けを呼んでたからさ・・・」

 それを聞いて安心した。カンザーが捕まったりしたら・・・。いやその前に笛で合図をしなくては。カンザーが僕のことを心配になって街に突っ込んで来たりでもしたらそれこそ大変だ。

 僕はベッドの横にある背嚢から笛を取り出すと、窓を開けた。

 時々、カンザーが口ずさんでいる歌。カンザーは自分の歌っている歌など知らないといつも言うけれど、僕はあれが好きだ。悲しみを持ちながらも、それでも進んでいこうとする、そんな歌を。

 僕は朝日に向かってそのメロディを吹き続けた。高い城壁を越えて、果たして平原の果てに隠れているカンザーに聞こえるだろうか。いや、きっと聞こえているだろう。朝市の声も子供のはしゃぐ声も洗濯をする水の音も何もかもを超越して。

「いい曲だ。朝の恒例かい?」

「本当は日没に吹くべきだったんだけど、こうなっちゃったからね」

「確かに、音色は朝のためというよりは夕日のためって感じだったな。さて」

 ジンは床から跳ねるように飛び起きると、寝ていた毛布を片付けて鎧かけにある赤い鎧を手に取る。

「君の鎧はここにあるから。こんなに重いのよく着てられるな。俺の鎧より重いかも。それに下地は着てないようだったし・・・」

「ああ、ずっとこのままでいたから慣れちゃったんだ。それに、着れば重く感じなくなるし・・」

「そんなもんかな?俺は薄着一枚のほうが動きやすくていいぜ。さぁ朝飯だ。早く行かないと席が埋まる」

 そういいながらもゆっくりと僕の調子に合わせて、立ちあがるときにも心配してくれた。僕は何度もお礼を言ったけれど、ジンはまるで何に対してお礼を言われているのか分からないような様子だった。きっとそういう事が体に染み付いているんだな。

 ジンとこのベルタウンについて聞きながらも、一際広い食堂に到着した。窓から差し込む光が少しだけ篭った空間に筋になっている。テフヌトの宿舎と同じように、木で大きな机が作られ、そこに鎧を着た屈強な人や、今にも眠そうにしている人たちが個々で朝食をとっていた。ジンはさっと調理場の方へ行くと、食事の乗った木製のプレートを二枚持ってくる。

「本当は、俺は下座のほうの机に座るんだが、今日は君がいるから特別に上座だ」

「そんなことしなくてもいいよ。わざわざ泊めてくれたのも君らだし・・」

「いいのいいの。さぁ早く。俺だって上座に座れる機会を逃したくなーい」

 そう言いながら奥のほうの机に向かう。僕も仕方なく付いていく。上座といっても机や高さなどが違うわけではなく、ただ位置関係の問題らしい。食べているものもなんら変わりない。ただこっちの机にいる人のほうが、なんだか静かでありながら気迫みたいなものが違うように感じた。

 料理はやっぱり騎士の宿舎だけあって、バランスのとれたものだった。僕はその中でも、二回目に目にする魚の塩焼きはおいしく感じられた。そう、あの時の光景が思い出される。

「何ニヤニヤしながら食ってるのさ。うまいなら口で言えよ怖いぞ?」

 正面から犬歯だけはみ出た顔で僕の顔を覗き込む。

「ああごめんごめん。すごいおいしいよ。僕、魚あんまり食べたこと無いんだ」

「へー。森のほうから来たのに珍しいもんだな、嫌いなのか?」

 しまった。僕の三泊の心臓が瞬時に高鳴ったけれど、ジンは全く気にしている様子も無く、二切れのパンを平らげお代わりをせがみに行った。僕は嘘をつくのはやっぱり苦手のようだ。

「あれ、フィード。君なんでここにいるのさ」

 聞き覚えのある若々しい声に振り返ると、なんとそこには門で会ったフェンさんがプレートを持って立っていた。あの時と違い、鎧は身に着けず、ジンと同じような白い肌着一枚を着ている。体はそれでも何か鎧を着ているかのようにがっしりしている。茶色の髪が外の光に会ってきらきら輝いていた。

「フェンさん!バルシュタットさんが、僕をここに連れてきてくれたんです。やっぱり一人で入ってくるのは変だったようで、それで・・・」

「隊長への入城者の報告は義務だからそこは勘弁してくれよ。それより自分の名前を覚えていてくれて光栄だよ」

冗談っぽく笑いながら、僕の隣に座る。椅子も長い木で作られたもので、結果的には同じ椅子に座るようなものだ。

「実は最近、帝国がこの街を奇襲するという噂が騎士団に入ってきてね。まぁあんな辺境の場所からここを奇襲するなど不可能に近いからデマだとは思うんだが・・・」

 なるほど。だから僕は一層不審な人に見られたわけだ。

「まぁ、君が敵でないことは確実だよ。自分の槍は嘘をつかない。隊長もそれは分かってくれているようだし――――」

「なぁフェン、フィードとはどういう関係なのさ?」

「年上、それも自分より上級の騎士を呼び捨てか?ジーン三闘士?」

「はいわかりましたよ、フェン一闘士。これで満足?」

 わざとらしく足をそろえ左腕を胸に当てる。フェンさんはそれを見ずに魚を食べていた。

「はいはい。君もよりにもよってこんな寝坊助と知り合いになるとはねぇ。運が悪かったんだよ」

「なんつーストレートな嫌味。もう一度言ってみろ!」

 すらりとジンの攻めをスルーしながらも攻撃を続けるフェンさん。二人のやり取りに、僕はやっぱり人間のいる地に帰ってきたことを実感した。


 空が、丸く切り取られていた。穴の中は思っていたほど明るくなく、空の青をますます鮮やかにする。カンザーの鱗ほどではないけれど、白と青のコントラストは、ため息が出るほどに美しかった。

 それを囲むのは、たくさんの鐘。数え切れないくらいの、手のひらの大きさから人の背ほどのものまで、数知れず並んでいる。

「ここが時計広場さ。方時計とかは、全てこの時計と連動しているんだ。そして、世界中にある鐘もね」

「鐘?」

 僕は寝転んでいた時計の長いほうの針から身を起こし、短い針のほうに座るジンを見た。ジンは鐘を見回している。

「この土地には、双子石っていう石が出土するんだ。その石を半分に割って、それを二つの鐘に取り付ける。片方が鳴ると、もう片方も不思議と鳴るんだ。それを使って、ここにある鐘は、みんな他の町にある鐘と連動するんだよ」

「鐘が連動・・・つまり一斉になるってこと?」

「そう。世界の時間は一定ではない。だから、商隊の人とかも待ち合わせもできやしない。だから、鐘の鳴った数で統一しているのさ」

 完全には理解できないが、鐘を基準にしていることは分かった。

 下を見ると、地面の中でたくさんの歯車がせわしなく回り、カチカチと音を立てながら動いている。巨大な歯車もあれば、本当に小さい歯車もあり、そういったものがすべて噛み合っているようだ。僕はそれをまじまじと見た。

「これ、何で動いているんだろう」

「さぁ?魔法とか何かじゃないかな?方時計の動力もここから送られているらしいし・・・そろそろ行こう。12時にこの中にいるのは自殺行為だ」

 僕らが鐘の裏にある階段を上って上に上がったときに、時計の針は12時を指した。その瞬間、一回だけ全ての鐘が一斉に鳴った。空気が揺れるように響き、街中に音を響かせる。音の波が見えるかと思ったほどだ。

「中にいたら、耳がやられちゃうところだったんだね」

「その通り。さて、次はどこ行く?訓練休めるならどこだって連れてくよ」

「とりあえず、僕の目的地の“聖堂”についての情報を得たいんだ。つまり聞き込みだね」

「わかった。じゃあまずは教会からだな。れっつごー!」

 まるで子供のように進んでいき、僕を手招きするジン。僕はその腕白さにちょっと苦笑いしながらも、走って追いかけていった。

 その後、旅をして世界に詳しい商隊の人や、バルシュタット常駐騎士団以外の騎士の人、街の食堂や旅人らしい人から聞いて回ったが、ちらほら“鳥の城”ではないかという程度の情報で、それ以上は得られなかった。

「鳥の城に行ったことのある人なんてそうそういないさ。ずっとずっと遠いところにあるからね。この街の商隊の人たちの定期ルートの外ともなると、まさに異世界だな」

「馬なら二週間くらいなんでしょ?」

「馬で何も無ければね。でも途中は想像もできないような地をいくつも通らなければならない。魔物や幻獣、肉食植物とかも脅威だ。行こうと思っているなら自殺行為だ。やめたほうがいい」

「幻獣って一体何?」

「それは・・・・」

 ジンの顔が一瞬かげり、笑顔が蝋燭を消したように無くなる。が、すぐに戻った。

「人に幻を見せる獣さ。騎士の持つ斬幻剣でないと倒すことはできない。それも、強い心が必要だよ」

 間違いない。あの死の谷での奴らだ。よかった。あれはやはり人でなかったんだ。僕は心の奥底にあった何か黒い枷が、外れるのを感じた。

「僕、幻獣に遭ったことがあるよ!」

「そ、そんな馬鹿な!だったら生きていられるわけが無い。騎士でないものが奴らから逃れることはできないはずだ」

「あ、あの時は・・・逃げ切れたんだ」

「あーじゃあ幻獣じゃないよ。でも騎士の鎧を着てるし、幻獣も警戒したのかもなぁ」

 竜に助けてもらった、と僕は言えなかった。どんな混乱を招くか分からないし、知らないままでいられるならそれでいいと思った。カンザーの痛みを、広めたくは無い。

「そうだね。それに、もっと別のものだったのかも。僕もよく見てなかったから」

「ああ、騎士の俺が言うんだから間違いない。あーもうすぐ暗くなる。宿舎に帰ろうぜ」

「うん、でも日が沈む前に―――」

「あれだろ?分かってるって。なんなら宿舎の屋根で吹いてもいいぜ?屋根に穴さえあけなければ」

「あけないよ。ジンじゃないんだから」

「なんで俺だとあけるんだよ!」

 ジンは僕に軽くどついて走り出す。僕は嘘の罪悪感を振り払ってその姿を追いかけ始めた。


 夕食は朝食と違って皆一斉のようで、そこで僕は初めて隊長の名の下に紹介された。とはいっても、ほとんどの人は僕を知っているようだったし、僕もその後いろいろな人と話ができて知り合えることができた。この街を護衛するにあたっての逸話や、ジンの問題行動の数々など、楽しい時間を過ごせた。僕についてもいろいろと聞かれたけれど、竜と僕の本当の生まれについては僕にしては上手く避けれた。でも森での生活の話や、生まれの村の話などをして、僕が薬学に詳しいことを知るとこれでまた質問攻めだった。

 もう一つ驚いたのは大きな風呂だった。他の人と一緒に入るというのはかなり抵抗があったのだが、ジンに背中を押されたのと、上級の騎士なども全く関係なくたくさんの人が入っている空間にいつかは慣れてしまった。彼らは騎士の人たちでさえめったにない僕の体の深い傷跡に驚き、僕は魔物に襲われたという誤魔化しに悪戦苦闘した。なぜか最後には大人も含めたお湯のかけ合い大会になった。後で焚き付け班にこっぴどく叱られたのはいうまでも無い。

「あーなんか怒られちまったぜ。まぁ上の奴らの体流さなくていいだけましか。訓練ないとそれはそれで力が有り余っちゃってしょうがない。あんだけ動けてよかったぜ」

 肩をぐるぐる回しながら、言葉に反した物言いで言う。

「うん、楽しかった。なんか同じ騎士団の仲間になったみたいだ」

「みたい?いやいやフィードはもう騎士団の一員だぜ?フィード・サー=バルシュタット、なんてね」


 フィード・サー=バルシュタット・・・。うん、なんかいい響きだ。僕は声を上げて喜んだ。

 方時計の金属製の針が重なり、軋むような特有の音を出す。間違いない、午後十時。就寝時間だ。

「ごめんねジン。また床に寝かせてしまって」

「いやいや、俺が頼んでフィードと同じ部屋に寝かせてもらってるんだ。気にするな。俺は普段、相部屋だからな。じゃ、おやすみー」

 そう言うと、一枚だけの毛布をかけ、ジンはすぐに横になってしまった。僕は蝋燭の火を消し、再びベッドの上で眠りについた。カンザーのおやすみの咆哮も聞こえた気がした。


お疲れ様でした。ここまで読んでいただいていると思うとうれしいですwブログなどに一言残していただけると元気がでますのでお願いします。

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