料理
「どこから見た?」
俺は正直に桃坂カスミの質問に答える。
「えー、「それじゃあ!」ぐらいからです」
俺は桃坂カスミが言ったことを声真似した。
すると、桃坂カスミは顔を真っ赤にし、手で顔を覆う。
と桃坂カスミは思い出したかのように問いかける。
「ところであなた誰?」
「今日ここに引っ越して来た進藤拓也です」
俺は自己紹介をした。
「今日からここに住むってことよね?」
「そうですけど・・・なにか・・・」
俺はなにか問題があるのか聞くと、
「料理できる?」
「一応出来ますけど・・・」
俺はそんなにこった物は作れないが、ハンバーグとか唐揚げは作れる。でもなぜ。
「実は、私ずっとカップラーメン生活してたのよ」
「もしかして、料理作れない?」
「わ、悪い?女子はみんながみんな作れるわけないからね」
俺はなにか怒らせること言ったか?女子はよく分からん。
そう言えば、名前聞いてなかったな。それになぜさっき叫んでたのかも聞きたい。
「えーと、あなたの名前は?」
「っていうか、敬語じゃなくていいよ。同い年ぐらいじゃない?」
俺の質問を無視した。
「あ、わかった」
「あ、そうだ、名前ね、私は桃坂霞って言うの。」
桃坂霞と覚えた。
俺の脳内にインプットした。
「あともう1つ聞きたいんだけど、なんでさっき叫んでたの?」
俺の質問に対して霞は
「あ、まぁ、言ってた方がいいのかな、一緒に住むし、それに・・・」
「それに?」
「あ、いやなんでもない。」
「それに」が気になったが今は叫んでた理由だ。
「実は私、VTuberなの」
VTuber・・・?なんか聞いたことある。
「顔出しはしないでアニメキャラになって、配信するってやつ。」
「あ、なるほど・・・」
YouTubeでときどき見るな。
「料理して」
霞は言った。俺はシェフじゃないぞ、と言いたいとこだが、どうやら彼女はちゃんとしたご飯が食べたいらしい。
「いいぞ。なにが食べたい?」
「うーん、カレー、ハンバーグ、ナポリタン、ハンバーガー、寿司・・・それに」
「ちょっと待て待てそんな食べ切れるか?」
太るぞ、と言いたいところだが、さすがに女子の前では言えない。多分殴られるだろう。
「んー、迷う」
「どれか1つな」
「それじゃあー、ハンバーグ!」
「わかった、待ってろ、作って来る」
と俺は言うと、霞は、
「私も手伝う」
と言って、一緒に台所に向かった。
俺は野菜を切りながら、霞と話していた。
「実は私、料理できる人好きなんだよねー」
俺は顔を赤くするが頑張って隠した。
「そ、そうか」
俺は話を変えるべく違う話を始めた。
「ところで霞さんはVTuberの方はどんな名前でやってんの?」
「桃坂カスミって名前で活動してる」
「本名じゃないですか」
「違うよ、本名は「かすみ」を漢字で書いて桃坂霞、VTuberでは「かすみ」をカタカナで書いて桃坂カスミ。」
なるほどな。
「それに、「霞さん」じゃなくて、霞でいいよ。私も拓也って呼ぶから。」
まぁいいか。
「わかった」
俺はハンバーグを焼きながら言った。
いろいろ話している間にもハンバーグは出来た。
俺は皿に盛り付けたハンバーグを霞がいる台まで運ぶ。
「俺特製のスペシャルハンバーグでーす」
俺は自慢げに言うと、霞はとても可愛い表情で、
「うわーすごーい!いただきまーす」
霞は手を合わせて言った。
「どうぞ、召し上がれ」
と俺は返した。
「どうか上手いか?」
俺は霞の表情を見た。可愛い。
「おいしい!拓也!」
そうか、それは良かった。
俺と霞はお腹を満たすと、それぞれの部屋に戻る。
「それじゃあーまた明日」
「おーう」
俺は言って今日の別れを言った。
明日は遂に入学式だ。