ゼロの戦士たちへ
やめろ、やめろ
心がどんなに叫んでも、
指先が勝手に動いてしまう。
テーブルの上をすべるマウス。
画面の人差し指は、いつもと同じ場所を差す。
もう止められない。
右手の人差し指がマウスの左側を軽く押す。
クリック、クリック
展開した画面は、いつもと同じ表示。
もうどのくらいこの画面が変わっていないだろう。
2カ月?
3カ月?
純粋に読んでもらいたいと、始めた4年前。
ポイントがついて、笑みがこぼれた。
感想が書かれ、喜んで返信した。
ある日、ポイントがなくなっていた。
感想がそれ以上書かれることはなく、
お知らせ欄は、運営からの同じ言葉が並ぶ。
1年で7本書いた。
2年目も、7本以上書いた。
3年目、さらなる上を目指して、結局及ばなかった。
反応を求めて、画面の上をクリック。
今日もゼロが並ぶ。
ランキングを見る。
上位の作品を読もうとする。
・・・・・だめだ、疲れる。
これは何を言いたい?
見えない、分からない。
でも、それは何十万もの読者に読まれ、店頭に書籍が並ぶ。
何が違う?
読むことができないのだから、分析なんかできるわけがない。
あがく。
少しでも、それに近づこうとして。
でも、たぶんそれには、近づいていない。
なぜなら、それは紛れもなく自分自身の延長だから。
独りよがりで、傲慢で、
だけど皆と喜びを分かち合いたくて、
自分に誠実なら、いつか誰かが気付いてくれると信じてる、
そんな、大馬鹿者のへたくそな真似事だから。
長々とした、散文のような題名が、同じ韻を踏んで並ぶ。
同じような題名なら読んでもらえる?
ゲームオタクが喜びそうなキーワードを並べ立てたらポイントは増える?
・・・・・何をしているんだお前は?
物を語るのに、分析は必要か?
マーケティングに基づいた物語に魂はあるか?
お前は何者だ?
お前は語り部で、媚びを売るものじゃないだろ?
ゼロが続く。
ゼロ、ゼロ、ゼロ・・・・・。
黒と白のモノトーンの画面が続いていた。
昨日までは。
でも、今日は違う。
青いラインがモノトーンの世界を切り裂く。
わずか一人の読者だけど、
その人が引いてくれたその青いラインが、
自分の心に拍車をかける。
もっと書け
もっと書け
お前に書いてもらいたい物語は、
こんなもんじゃ終わらない。
いや、その物語は、お前じゃなく、
別の誰かを待っているのかもしれない。
たとえ、ゼロが続こうと、
書くのをやめない、
その勇気ある戦士のために、
物語は待っている。
文字は踊る。
文字は奏でる。
文字は突きさす。
その文字が届いた人の胸の奥に眠る何かを。
数の多い方が勝ちなのか。
一人の人生の糧となれた方が勝ちなのか。
答はない。
物語の地平に果てはない。
だが、果てがないからとあきらめた者に、
喜びは訪れない。
それだけは真実。
だから、やめるな。
書くことをやめるな。
伝えたいことがあるものすべてに、
そのチャンスは、平等に与えられているのだから。
前の作品から、半年投稿していません。
パソコンに向かっても、文字が思い浮かばない。
その間に、二度も規約違反を指摘され、も一回やればアカウント抹消だそうです。
まあ、規約の読みが浅かったということでしょうが、まったくR18目的で書いた作品ではなかったものですから大混乱して、それよりも過激な作品はすべてノクターンとムーンライトに退避させました。
そのせいじゃないんでしょうが、純粋に書くことでワクワクしていた初心を思い出せなくなっている自分がいます。
決して書くことを諦めたわけじゃない。
今日、ブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」を聞いていて、その歌詞の力強さに触れた途端、文字が浮かんで、指が打つままにまかせてみました。
自分も書くことを諦めないので、とんだひねくれものではございますが、こんな自分の心を揺り動かすような作品を、皆さんもぜひ書いてください。