ま、いっか!!!
光岡玉一郎はごく普通の能天気である。毎日何とでもなるわと前を向き、毎日まあいっかと結論付ける、齢37の能天気である。今日も今日とて、リビングの網戸をぶち破ったのをほったらかしにした後、行きつけのコンビニで適当なお茶と適当なコーヒーを買って家路についていた―――のだが。
キュギュキュ―――キキ―――ッ!キイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。光岡玉一郎の魂と、女神が対面している。
「光岡玉一郎さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
光岡玉一郎(37)
レベル23
称号:転生者
保有スキル:ま、いっか!!!
HP:70
MP:2
「というわけで、いきなり草原に放り出すとか、うん、時を戻そうって戻らないんかいっ!がはは!!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が能天気の前に現れた!
「おほっ!スライムだなあー?!ぶっちゃけモンスターでいっちゃん弱いやーつ!とはいえ、武器もなんもねえわ、ウッキ―!!どうすんじゃ。」
うろたえる、能天気。
「そうそう、保有スキルはためしとかないとあかんな、ま、いっか?なんだ、どうにでもなるんかい!確かにこんな状況だけどさ、ある程度諦めも肝心だわな。なんでもうまくいくもんだって、わりとマジな話さあ。常識にこだわるのもなんだし、この場合は様子見が正解ってことで良い?」
スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!
「おお?なんでとびかかろうとしてんの?まあまあ、いいじゃん、おちけつ、おちけつwwwまあいっか、まあいっか、…」
能天気は魔力枯渇で倒れた!スライムは遠慮なく能天気を捕食した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
能天気は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
能天気はコンビニで適当なお茶と適当なコーヒーを買ってから帰路に就いた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょい早く通りかかってたらすげえ瞬間見れたんじゃね?!しまったー!惜しかったー!」
能天気は、ずいぶん無鉄砲な言動をしてずいぶん周りの人を翻弄したものの、落ち込む人を豪快に励ましたり悲しみにくれる人を乱暴に連れまわしたりして元気をまき散らしつつ、自分の失敗も他人の失敗もまるで気にすることなく我が道を行き、77歳で病気になってそのうち治るわと笑い飛ばした二週間後にこの世を去ったという事です。




