かまってちゃんMAX
先島豊はごく普通のよくばりである。毎日誰かの愛を求め、毎日何かが足りないと不満を漏らす、齢23のよくばりである。今日も今日とて、これ見よがしのため息をつきまくった後、行きつけのコンビニで犬漫画雑誌と眉カットはさみを買って帰路についていた―――のだが。
キュ―――キュキュキイッ!!キキキィィィィイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。先島豊の魂と、女神が対面している。
「先島豊さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
先島豊(23)
レベル3
称号:転生者
保有スキル:かまってちゃんMAX
HP:10
MP:2
「というわけで、いきなり草原に放り出された俺ってめっちゃ不幸じゃん…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がよくばりの前に現れた!
「うは?!スライムだよっ?!武器も何もないじゃん!どうしようもないじゃん!」
うろたえる、よくばり。
「あ、そうだ!保有スキル!どうにかなるかも?…かまってちゃんMAX?なにいってんのこれ!!俺別にかまってちゃんじゃねえし!そもそもかまってほしくても誰も構ってくんねーし!」
スライムはじゃあ自分がかまってやればいいのかなと思って様子を見ている!
「ツビッターのフォロワー数もたったの2000人しかいないし!学校の友達は毎日飲み会に誘ってくれないし!昔話しても同情してくんねーし!自慢話しても褒めてくんねーし!結局俺の話聞くしかないのに皆途中で逃げていくし!電話してもすぐ切られるしラインは既読無視されるしメールだって毎日六件くらいしか来ないし俺って友達いねえし!!!みんな俺のこと嫌いだし!!俺も嫌いだけどさあ!!!」
うへぇ…。スライムはなんだかおなか一杯になったのでそのまま逃げだした。
よくばりは、草原を一人で歩き回ってリンゴの木を見つけたのでそれをもぐもぐ食べて暮らしていたが、原住民がやってきたとき独り占めしようとして反感を買ってしまい、ある夜襲撃を受けて絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
よくばりは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
よくばりはコンビニで犬漫画雑誌と眉カットはさみを買って帰路についた。自宅近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「あとちょっと早く通りかかってたら死んでたやつじゃん!どうせ誰も葬式には来ないだろうけどさ。」
よくばりは、毎日周りの誰かに誰かの愚痴をこぼしつつしっかり自分の人生も嘆き、常に慰めてもらわないと生きていけないような人間になってしまったのでずいぶん孤立してしまったのですが、誰かを慰めずにはいられない博愛心の塊みたいなパートナーと出会ってからはどっぷり依存して幸せな人生を送る事になり71歳の時来世も絶対に一緒になってほしいとお願いしてこの世を去ったという事です。




