焼却
森川宗はごく普通のごみ処理施設管理人である。毎日未分別のごみ袋を見てため息をつき、毎日ごみを焼却する、齢40のごみ処理施設管理人である。今日も今日とて、粗大ごみの回収受付をした後、行きつけのコンビニでキッチンポリ袋と作業用軍手を買って家路についていた―――のだが。
キュギュキュキキ―――ッ!キイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。森川宗の魂と、女神が対面している。
「森川宗さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
森川宗(40)
レベル20
称号:転生者
保有スキル:焼却
HP:13
MP:23
「というわけで、いきなり草原に放り出しましたね、なんという…ダメですよ、もう…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がごみ処理施設管理人の前に現れた!
「あーあ!スライムとか!燃えるゴミで出すやつだけど、水分多いから困るな…。」
うろたえる、ごみ処理施設管理人。
「うーん、保有スキルは焼却か、じゃあ燃やすか、ええと焼却開始ボタンはどこだ。」
うばほん!!!
ごみ処理施設管理人の手に、焼却開始ボタンが現れた!ぽちっとな。
ご――――――――――――――!!!
850℃~950℃の炎がスライムを包む!
じゅっ!!
一瞬でスライムは沸騰し、昇華した!
てれれてっててーーー!!!レベルが上がった!ごみ処理施設管理人はレベルが28になった!ペットボトル内部洗浄を覚えた!
「ぎゃあああああああああ!!!」
スライムを燃やしたところ、有害な気体が発生したようだ!それを吸ってしまったごみ処理施設管理人は絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
ごみ処理施設管理人は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
ゴミ処理施設管理人はコンビニでキッチンポリ袋と作業用軍手を買ってから帰路に就いた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっと早く通りかかってたらトラック廃車になってたやつだよ、恐ろしい。」
ごみ処理施設管理人は、毎日真面目に作業に取り掛かっていたのですがある時ごみの中に大量のお札を発見してしまい、それを警察に届けたところ持ち主を名乗る人が多発し第一発見者として誠実に受け答えをしていただけなのに多数の人たちから恨まれるようになり職場を追われたのち、ひっそり暮らしていたもののどこからともなく拾ったお金で暮らしている運のいいおじさんのうわさが流れてしまって、毎日気が休まらないまま60歳でこの世を去ったそうです。




