エスパー
佐藤悟はごく普通の超能力者である。毎日スプーンを曲げ、毎日透視をしたいと思いつつしたらダメだろと自戒する、齢18の超能力者である。今日も今日とて、取っ散らかる予知夢の考察をした後、行きつけのコンビニでプラスチックスプーンとイカフライスナックを買って帰路についていた―――のだが。
キュキュキュキイッ!!キキキィィィィイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。佐藤悟の魂と、女神が対面している。
「佐藤悟さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
佐藤悟(18)
レベル210
称号:転生者
保有スキル:エスパー
HP:10
MP:2200
「というわけで、いきなり草原に放り出されてしまったんだけど、うーん、転生ねえ…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が超能力者の前に現れた!
「さすがだな、スライムかあ。仲間にできるかも?」
うろたえない、超能力者。
「保有スキルはエスパーなんだけど、どこまでできるんだろう。テレパシーは非接触型でいけるのか?テレキネシスで飛ばしてもいいけど、できればこの世界の内情を知る仲間が欲しいな、触るか、触らないでおくべきか…。」
スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!
超能力者はテレキネシスを使ってスライムを空中に浮かばせた。スライムが、空中でじたばたしている。
「予知能力が、ビシバシ危険を告げてくるな。さわるのはキケンだ、まずは非接触テレパシーを試してみよう。…僕の声が聞こえますか?答えてください、仲間になってくれませんか。」
―――仲間。
スライムは仲間という響きに心が躍った!テンションが上がったその時、超能力者の顔にスライムの体から体表の毒の粘液がたらりと垂れた。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
超能力者は毒が全身に回って絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
超能力者は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、なんとなく違和感を覚えただけで時に気にする様子はない。
超能力者はコンビニでプラスチックスプーンとイカフライスナックを買って帰路についた。自宅近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もう少し早く通りかかってたら事故回避することができたかもしれないな、間に合わなくてごめん。」
超能力者は、自分の能力を隠したまま普通の人としての生活を続けつつぼちぼち事件解決したりしていたのですが、ある時中途半端な能力者に見つかってしまい勝手に敵対されて勝手に敵認定されて勝手に成敗されそうになったので憤慨してうっかり半殺しにしてしまい、いつの間にやら世界を牛耳るドンになってしまったのですが、メンドクサイのでいつも逃げ出してばかりの生活を続けたのち、普通っぽい一生を56歳で終えたという話になっていますが、たまに空中に現れるのを複数の人に目撃されているそうです。




