熱血教師
峯田康煕はごく普通の体育教師である。毎日ジャージを着て、毎日竹刀を振り回す、齢28の体育教師である。今日も今日とて、体育館の施錠をした後、行きつけのコンビニでアクアリアスと焼き鳥を二本買って家路についていた―――のだが。
ギュキュキキイッ!!キ―イイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。峯田康煕の魂と、女神が対面している。
「峯田康煕さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
峯田康煕(28)
レベル16
称号:転生者
保有スキル:熱血教師
HP:80
MP:3
「というわけで、いきなり草原に放り出すとはいい度胸だ!!俺を試そうというのか!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が体育教師の前に現れた!
「ほお!スライムだな?!武器も何もないこの俺に!立ち向かうというのか!!卑怯者め!!!」
うろたえない、体育教師。
「ふっふっふっ!保有スキルというものがあるんだよ!熱血教師?…俺のこと、だぁああアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
スライムは、体育教師の咆哮に怯えている!辺りからモンスターの気配が一切消えた!
「お前はっ!俺がっ!たおぉおおおおおおおおおおおおおおおスゥうううううううう!!!」
ずざんっ!!!体育教師が華麗にはなった蹴りは、スライムに命中!
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!」
そうですね、そうなりますよね、体育教師はスライムの毒が全身に回って絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
体育教師は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
体育教師は行きつけのコンビニでアクアリアスと焼き鳥を二本買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「あと少し早く通りかかってたら生徒指導もなんもできなくなっとったな!まあそんなことはあり得ないがね、ハハハハハ!!!」
体育教師は、ずいぶんゴーイングマイウェイな人だったものの、自己主張のできないタイプの子供が増えていることもあってその強引さに魅力を感じる生徒も多く、四月のクラス替えの時の担任発表では嬌声に包まれるほどの人気を誇りましたが、50を過ぎたあたりから強引さはなりを潜めて落ち着きと穏やかさを前面に出す教師となり、同窓会に出席した生徒たちを驚かせまくった後80歳でこの世を去ったという事です。




