接客
岡田佐紀はごく普通のキャバ嬢である。毎日水割りを作り、毎日髪をド派手に巻く、齢23のキャバ嬢である。今日も今日とて、おじ様たちに癒しを与えた後、行きつけのコンビニでバージニラツリムとアメリカピンを買って家路についていた―――のだが。
キキイッ!!キュキキキキキイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。岡田佐紀の魂と、女神が対面している。
「岡田佐紀さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
岡田佐紀(23)
レベル43
称号:転生者
保有スキル:接客
HP:28
MP:23
「というわけで、いきなり草原に放り出されちゃったよ!髪崩れるじゃん!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がキャバ嬢の前に現れた!
「ちょ?!スライム?!武器も何もないあたしのこと、襲うっての?卑怯者―!」
うろたえる、キャバ嬢。
「ちょっとまってよ、保有スキル!これ使えるよね?!接客?!こいつお客さんなのかよっ!やったるわ!」
うばほん!!!
キャバ嬢の前にキャバクラのテーブルセットが現れた!
「社長さんは水割りでよかったですか?毎日お疲れ様です!ここで疲れ、取ってってくださいね?うららと申します!よろしくね?うふ!」
キャバ嬢は極上の笑顔を振りまきながら名刺を渡した!スライムはデレデレしている!!キャバ嬢は少しきつめに水割りを作ってスライムにすすめた!スライムはいいところを見せようと、ぐびぐび水割りを飲んでいる!
「あらいい飲みっぷり!さすが人の上に立つ方は勢いが違いますね!すごぉーい!ほれぼれしちゃう!」
そうだろう、そうだろう!!いい気になったスライムは気がでっかくなって、キャバ嬢の肩を思いっきり抱いた!!じゅわー!!
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
キャバ嬢はいきなりのスライムの不躾な抱擁で肩から猛毒を浴びてしまい絶命した。
「う、うーん???あれ??」
キャバ嬢は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
キャバ嬢は行きつけのコンビニでバージニラツリムとアメリカピンを買った後家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「あとちょっと早く通りかかってたらひかれてたよねえ…怖いなあ、ホント…。」
キャバ嬢は、毎日おじさまがたに笑顔を振りまいていましたが無理がたたって体調を崩してしまい、廃業を考えていた時になじみの社長さんが連れてきた何も知らない純情な青年と恋に落ちてそのまま家庭に入り、普通のお母さんになって、普通のおばあちゃんになって、70歳になった冬の日に穏やかな人生を終えたという事です。




